デジタルマイクロ流体力学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/25 16:11 UTC 版)
「マイクロ流体力学」の記事における「デジタルマイクロ流体力学」の解説
上述の閉チャネル連続流れ以外の新たな対象として、エレクトロウェッティングを用いて開放された基板上で液滴駆動を行う系が上げられる。デジタルマイクロエレクトロニクスのアナロジーから、このアプローチはデジタルマイクロ流体力学(英語版)と呼ばれる。Le Pesant らは電気毛管力をもちいてデジタルトラック上で液滴駆動を行うという方式を開発した。Cytonix(英語版) が開発した「流体トランジスタ」もこの分野に寄与している。その後、この技術はデューク大学により商用化された。不連続な単位体積をもつ液滴を用いることにより、マイクロ流体力学的機能は単位流体を単位長さだけ動かすという基本操作の繰り返しに還元することができる。この「デジタル化」された手法により、階層的で細胞ベースのマイクロ流体バイオチップ設計が可能となる。この結果として、デジタルマイクロ流体力学は柔軟でスケーラブルなシステム構成だけでなく、高いフォールトトレランス性をも実現する。加えて、液滴を独立に制御することが可能なため、マイクロ流体アレイ上の単位胞群をバイオアッセイの実行と同時並行して機能変更するといった動的再構成が可能なシステムが実現できる。液滴が閉じられたマイクロ流体チャネル上で操作されている場合でも、液滴の操作が独立して行われない場合、「デジタルマイクロ流体力学」としては扱われない。デジタル流体力学において一般的な駆動方式として、誘電体上エレクトロウェッティング (EWOD) が挙げられる。多数のラボオンチップ応用例がエレクトロウェッティングを用いたデジタル流体力学のパラダイムに基いて実証されている。近年では、表面弾性波、オプトエレクトロウェッティング(英語版)、機械的駆動などを応用した液滴駆動手法も実証されてきている。
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