ダルマとヒロイズム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 06:45 UTC 版)
「バガヴァッド・ギーター」の記事における「ダルマとヒロイズム」の解説
『バガヴァッド・ギーター』がその一部として組み込まれている『マハーバーラタ』では、クシャトリヤ(戦士)のダルマ(神聖な義務)すなわちヒロイズムと、そしてバイタリティ、帰依、献身、これらに大きな価値を置いている。アンジェリカ・マリナー(ドイツ語版)いわく、『マハーバーラタ』において両軍の間にある紛争の原因は「英雄の規範(あるいは義務)」はどのようにして定義されるかという問題に他ならない。マリナーはその答え、クシャトリヤのダルマを『マハーバーラタ』の第5巻に求めている。 この義務は第一に、その人の固守している地歩と、地位のための戦いに存在する。戦士としての主な義務はなんぴとにも屈しないことである。ともすれば戦いを避けたがるような、いかなる自己防衛の衝動にも抗うこと。言ってしまえば男でなければならない(puruso bhava; cf. 5.157.6; 13;15)。もっとも豪快な解釈は英雄的資質(クシャトリヤダルマ)の真髄、本質は家族の女性からくるというものだ。彼女らは、家に弱い男を持つ恥は言うに及ばず、そしてそれが夫であれ息子であれ兄弟であれ、こと地位と名誉を失うことに関してはとにかく不寛容である。 アクセル・マイケルズ(英語版)はヒロイズムを「救済への欲求と同質化した力」と定義した。マイケルズは以下のように語っている。 『マハーバーラタ』のストーリー自体は比較的単純なものと言えるが、この叙事詩はヒンドゥーヒロイズムにとって際立った重要性を持っている。パーンダヴァのヒロイズムと、戦いに身を投じる名誉と勇気の理念。その物語の中で、これらが犠牲ではなく、逃避ではなく、深い知識ではないが、しかし活力であると、そして帰依と献身であると説く普遍不断の論文である。(中略)つまりパーンダヴァが、とりわけて彼の御者であるクリシュナに、躊躇いを捨てクシャトリヤとしての義務を遂行し殺せ、と強く勧められるという哲学的で有神論的な学術論文、それが『バガヴァッド・ギーター』である。 マリナーは言っている。「彼をこの悲劇的な戦争へと追い詰めるに至ったアルジュナの危機といくつかの議論は5巻、ウドヨガ・パルヴァ(英語版)での戦争と平和に関する議論につながっている」マリナーによれば、ウドヨガ・パルヴァは人は運命に耐えなければならないと強調している、一方で『バガヴァッド・ギーター』は、「絶望的な運命を受け入れることは、このクリシュナと彼の根源に帰依する行為だ、という運命に対する別の見方を提示している」
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