ゲノム解析から推定されるアイヌの遺伝的形成過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:43 UTC 版)
「アイヌ」の記事における「ゲノム解析から推定されるアイヌの遺伝的形成過程」の解説
2010年代以降のゲノム解析に基づく研究は、アイヌの遺伝情報の多くが縄文人に由来していることを示している。2019年に発表された、北海道の礼文島の船泊遺跡から出土した縄文人の人骨(F23)のゲノム解析によれば、アイヌの遺伝情報の66%が縄文人に由来する。また、2020年に発表された、愛知県伊川津貝塚遺跡出土の縄文人骨(IK002)のゲノム解析においても縄文人とアイヌの遺伝情報の高い共通性が示され、アイヌの遺伝情報は平均して79.3%が縄文人に由来することが示唆されている。アイヌの遺伝情報の他の由来についてはすでに人骨の形態とミトコンドリアDNAの解析からオホーツク文化人との遺伝的交流が想定されていたが、ゲノム解析の結果もその想定を支持している。2021年に発表されたオホーツク文化人のゲノム解析研究においてはアイヌの遺伝的形成過程について、縄文人とオホーツク文化人、日本本土人(大和民族・和人)との混血が想定され、そのうち最も蓋然性が高いとされる想定によれば、まず、縄文人69%、オホーツク文化人31%の割合で混血が行われ、さらにその集団71%に対して日本本土人29%の割合で混血が行われることにより現代のアイヌの遺伝情報が形成されたと考えられている。この想定によれば結果的にアイヌの遺伝子の49%が直接縄文人に由来し、22%がオホーツク文化人に、29%が日本本土人に由来することになる。また、この想定の場合、オホーツク文化人が20%程度、日本本土人が10%程度縄文人由来の遺伝情報を持っているため、最終的にアイヌが受け継ぐ縄文人由来の遺伝情報は49%よりも高くなる。
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