カータル・ソネット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 03:15 UTC 版)
カータル・ソネット(curtal sonnet)は、ジェラード・マンリ・ホプキンスが発明した詩形で、ホプキンスは3つの詩でそれを使っている。 カータル・ソネットは11行、正確には10 1/2行から成るソネットである。イタリア風ソネット(ペトラルカ風ソネット)を、そのままの比率で、厳密に3/4に圧縮している。従来のソネットの前半の八行連はカータル・ソネットでは六行連に、従来の後半の六行連部は四行連プラス1/2行の「tail piece」に変換される。ホプキンスは最終行を1/2行と言ったが、実際にはホプキンスお得意のスプラング・ライン行の半分よりも短いかも知れない。『Poems』(1876年 - 1889年)の序文で、ホプキンスはイタリア風ソネットとカータル・ソネットの関係を数学的に表した。もし、イタリア風ソネットが、8+6=14としたら、次のようになる。 12 2 + 9 2 = 21 2 = 10 1 2 {\displaystyle {12 \over 2}+{9 \over 2}={21 \over 2}=10{1 \over 2}} ホプキンスがこの詩形で作った詩は、『Pied Beauty』、『Peace』、『Ash Boughs』である。 Glory be to God for dappled things—For skies of couple-colour as a brinded cow;For rose-moles all in stipple upon trout that swim; Fresh-firecoal chestnut-falls; finches' wings;Landscape plotted and pieced—fold, fallow, and plough;And áll trádes, their gear and tackle and trim. 12 2 = 6 {\displaystyle {12 \over 2}=6} All things counter, original, spare, strange;Whatever is fickle, freckled (who knows how?)With swift, slow; sweet, sour; adazzle, dim; He fathers-forth whose beauty is past change:Praise him. 9 2 = 4 1 2 {\displaystyle {9 \over 2}=4{1 \over 2}} -- 『Pied Beauty』(数字の部分はイタリア風ソネットの比例を示すもので、元々の詩にはない) 文芸評論家たちは一般的にカータル・ソネットを、ホプキンスが信じていたほど、ソネット形式の解釈としての新しい詩形ではないと考えている。エリザベス・W・シュナイダーは、カータル・ソネットはすべてのソネットの数学的比率に対するホプキンスの真剣な興味を表していると述べている。ロイス・ピッチフォードはホプキンスの3つの詩に対して徹底的な分析を行っている。以降、カータル・ソネットは時々使われたこともあったが、もっぱら目新しさからで、ホプキンスの真面目な使い方とは対照的である。
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