ウガリットのアルファベット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/14 05:04 UTC 版)
「ウガリット」の記事における「ウガリットのアルファベット」の解説
ウガリットから発見された文書は、紀元前1400年頃にウガリット文字が生まれたことを示している。これは楔形文字をもとにしたもので粘土板に葦の茎を押し付けて書かれるが、表意文字として使われるシュメール語などの楔形文字とは異なり、母音を表示せず子音のみを表す表音文字(アブジャド)であり字数も合計30文字しかない。 現在のアルファベットの起源となるフェニキア文字(原カナン文字・原シナイ文字、さらにはエジプトのヒエログリフをもとにしている)が先に生まれたのか、ウガリット文字が先に生まれたのかについては議論がある。もしフェニキア文字が先に誕生していたとすれば、ウガリット文字はフェニキア語のアルファベットにならって、同じセム語派のウガリット語を表記するために楔形文字を簡略化して作られたことになる。これらの文字の多くは形態はあまり似ていないが、標準的な文字の並び順(ラテン文字で言えば、A、B、C、D・・・にあたる)は強い類似性を示しており(’a、b、g、ẖ (x) 、d、・・・)、二つの文字体系が完全に独立して作られたのではないことを示唆する。フェニキア文字はその後交易を通じギリシャなどに広がり、ギリシャ人の手でいくつかの文字が母音を表すように変えられ、現在のギリシア文字へ、さらにローマに伝わりラテン文字へと変わっていったが、ウガリット文字の方は現在の文字体系へつながっていない。
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