インドとシナの曲を奏する人々を従えた馬上の若者の物語
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「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「インドとシナの曲を奏する人々を従えた馬上の若者の物語」の解説
若者は昔、バグダードの貧しいきこりであったが、妻がとんでもない悪妻で、常に夫である若者の悪口ばかりを言い続けていた。ある日、切った薪を縛る縄が擦り切れたので、縄を買う金を出すよう妻に言うと、妻は夫を長い時間罵り、金を渡すと無駄遣いするに違いないと言って、市場まで付いて来て、さんざん値切って縄を買った。妻はさらに罵りながら山まで夫に付いて来た。夫は、妻の際限ない悪口に心休まる気持ちがせず、一計を案じ、山の中の古井戸を指して、「実は井戸の底に宝があり、それを取るために縄を買った。」と妻に言った。妻は自分が宝を取りに行くと言って聞かず、縄の一端を夫に持たせて井戸を降りていったが、夫は妻が井戸の底に降りると、縄を井戸に投げ捨て、妻が井戸から上がって来られないようにし、心安らかに樵の仕事をし、家に帰った。 しかし、2日すると罪悪感を感じたので、新しい縄を井戸に降ろし、妻に登ってくるよう声を掛けたが、縄を引き上げると、何と魔神(ジン)が縄をつたって出てきた。魔神が言うには、2日前にとんでもない女が井戸に降りてきて、悪口を言い続け、心休まる気がせず、たまらず長年の住処の井戸から逃げて来たということであった。魔神は、お礼がしたいと言い、インドの国の王女の体に入って王女を精神病にするので、インドに来て王女を治すようにと言って消えた。 若者がインドに行くと、王女は14歳3ヶ月の美しい盛りの乙女で、精神病になっており、治した者は王女と結婚できるということになっていた。若者が娘を診ると、魔神は王女の体から出て行き、王女の病気は治った。若者は王女と結婚した。 しばらくすると、シナの国から使者が来て、シナの国の王女も14歳3ヶ月の美しい盛りの乙女だが、同じ精神病の症状が出たので、若者に診て欲しいというものであった。若者がシナに行くと、王女には例の魔神が憑いていたが、若者が魔神に出て行くように言っても、魔神はシナの王女の体が気に入っていると言い、出て行かなかった。そこで若者は「あの女が井戸から抜け出し、すぐ近くまで来ている」と言うと、魔神は悲鳴を上げ、王女の体から抜け出し、どこかへ行ってしまった。こうしてシナの王女の病気は治り、若者はシナの王女を第2の正妻とした。 若者は故郷バグダードをもう一度見たいと思い、2人の妻とインドとシナの楽隊を連れてバグダードに来たのであった。
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