老人保健制度(ろうじんほけんせいど)
高齢社会にふさわしい良質で、しかも適切な医療を確保するため、老人保健法に基づき実施されている。現在、医療費に関する国民健康保険の財政難が大きな課題だ。
1982年に老人保健法が制定された。この法律によると、70歳以上の高齢者が医療機関で傷病の治療をする場合、原則として医療費の1割を患者本人が負担する。患者の負担分を除くと、医療費の30%は公費で、残りの70%は保険者(国民健康保険)の負担でまかなうことになっている。
高齢社会の進展にともない、日本全体での老人医療費は年々増加してきた。1997年には、ついに10兆円を越える水準にまで達した。また、一人あたりの老人医療費は年額約80万円で、国民全体での平均医療費の3倍を超えている。
そもそも、1973年から1982年までは、老人医療費は全額支給されていた。しかし、少子高齢社会のさらなる進行とともに保険財政が圧迫され、高齢者にも負担を求める方向に向かっている。厚生労働省は先月、高齢者医療の対象年齢を現行の70歳から75歳に引き上げることなどを盛り込んだ医療制度改革の試案を公表した。
その試案によれば、これまで割安だった老人医療費の定額制をすべて廃止し、患者の1割負担を徹底するとともに、所得に応じて2割負担も求める考えだ。早ければ、来年の通常国会で関連法案を成立させ、2002年度からの実施を目指すとしている。
(2001.10.05更新)
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