《よいお年を》の敬語
「よいお年を」の敬語表現
年の瀬における定番の挨拶として「よいお年を」というものがあります。カジュアルな表現なので、親戚や友人などの親しい相手に使うことは問題ありませんが、目上の相手に対してはより丁寧な伝え方が求められます。「よいお年を」は「よいお年をお迎えください」を省略した表現です。昔の日本では、年内の買い物を年末にまとめて支払う「ツケ」という習慣が一般的でした。たまったツケを精算しスッキリとした気持ちで新年を迎え入れることができるよう、お互いに忙しい年末をねぎらう意味を込めて「よいお年を(お迎えください)」という挨拶をしていたと言われています。ほかにも、年末に大掃除をして神様を迎える準備をすることで、来年を良い年にしようという考え方もありました。敬語として使うには、略さずに「よいお年をお迎えください」としてそのまま使用するほうが丁寧な印象になります。
「よいお年を」の敬語の最上級の表現
「よいお年をお迎えください」は「よいお年を」を表す敬語の最上級の表現に相当します。さらに丁寧に表現したい場合は、「どうぞよいお年をお迎えください」「よいお年をお迎えくださいませ」のような形で使うこともできます。「よいお年を」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「よいお年を」を意味する敬語表現を取り入れた、ビジネスメールや手紙で使用できる例文を紹介します。・来年も変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。時節柄ご自愛のうえ、どうぞよいお年をお迎えください。
・新年にまたお目にかかれますことを心待ちにしております。どうぞよいお年をお迎えください。
・まだまだ寒い日が続きますが、お体に気をつけて、どうぞよいお年をお迎えください。
・昨年は大変お世話になりました。来る年も皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
・貴社には本年一年にあたり、大変お世話になりました。来るべき年が皆様にとって幸多き年でありますようお祈り申し上げます。
・来年もより一層のご満足をいただけるよう、業務に励む所存ですので、何卒よろしくお願い申し上げます。来る年の皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
「よいお年を」を上司に伝える際の敬語表現
上司に対しては、年内最後の出社日に「よいお年をお迎えください」と直接伝えるのが基本的なマナーです。不在などで顔を合わせて挨拶ができない場合は、メールで送っても構いません。その際は「直接ご挨拶できなかったためメールにて失礼します」のような一言を添えましょう。より丁寧に表現したい場合でも、取引先や顧客への挨拶のように「来年も変わらぬご愛顧を」や「またお目にかかれますことを」などの言葉を上司に対して使うのは不自然です。来年もお世話になりますという意味を込めて、「来年もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」といった表現を使用するのがいいでしょう。「よいお年を」の敬語での誤用表現・注意事項
「よいお年を」の敬語表現を使う際には、誤用や注意事項について知っておく必要があります。「よいお年をお過ごしください」というフレーズが使われることがありますが、これは適切ではありません。「よいお年を」はあくまで次の年(新年)に対して使う表現であり、今年の締めくくりをいいものにしましょうといった意味はありません。「お過ごしください」としてしまうと本来の意味から離れた使い方となるため、言われて違和感を覚える人も多いようです。今年に対して使いたい場合は「よい年の瀬をお過ごしください」のような表現を選びましょう。
また「よいお年をお迎えください」は、12月中旬あたりから12月30日までに使われる表現です。大晦日である31日に使用すると、相手が新年を迎える準備をまだできていないといったニュアンスに捉えられてしまう可能性があります。大晦日の挨拶としては「今年もお世話になりました」「来年もよろしくお願いいたします」などの表現だけで十分です。
相手や自分自身が喪中の場合、「よいお年を」のような言葉を使ってもいいのか迷うかもしれませんが、正確には使用すること自体に問題はないとされています。とはいえ相手によっては、喪中において多少控えめな挨拶を好む場合もあるため、念のため大晦日の例に挙げたような表現を使うことをお勧めします。
「よいお年を」の敬語での言い換え表現
「よいお年を」はほかにも以下のような敬語表現で言い換えることができます。・来る年も皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
・来るべき年が皆様にとって幸多き年でありますようお祈り申し上げます。
・来る年の皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。
・来る年が皆様にとりまして幸多き一年となりますよう心からお祈りいたします。
来年を指す「年」は、「来る年」「来るべき年」などに置き換えることができます。さらに文末を「お祈り申し上げます」や「お祈りいたします」とすることで、良いことが相手に起こるように願う意味になります。年末の挨拶としてどれもふさわしい表現ですが、相手が個人なのか企業なのかといった点や、自分との関係性などを考慮したうえで、一番適切と思えるフレーズを選択して使うようにしましょう。
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