罪の女 姦通の女

罪の女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/04 00:09 UTC 版)

姦通の女

ヨハネによる福音書第8章2節-11節に次のような記述がある。

朝早くまた宮にはいられると、人々が皆みもとに集まってきたので、イエスはすわって彼らを教えておられた。

すると、律法学者たちやパリサイ人たちが、姦淫をしている時につかまえられた女をひっぱってきて、中に立たせた上、イエスに言った、

「先生、この女は姦淫の場でつかまえられました。

モーセは律法の中で、こういう女を石で打ち殺せと命じましたが、あなたはどう思いますか」。

彼らがそう言ったのは、イエスをためして、訴える口実を得るためであった。しかし、イエスは身をかがめて、指で地面に何か書いておられた。

彼らが問い続けるので、イエスは身を起して彼らに言われた、「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」。

そしてまた身をかがめて、地面に物を書きつづけられた。

これを聞くと、彼らは年寄から始めて、ひとりびとり出て行き、ついに、イエスだけになり、女は中にいたまま残された。

そこでイエスは身を起して女に言われた、「女よ、みんなはどこにいるか。あなたを罰する者はなかったのか」。

女は言った、「主よ、だれもございません」。イエスは言われた、「わたしもあなたを罰しない。お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように」。〕 — ヨハネによる福音書(口語訳)8:2-11
イエスと姦通の女
ギュスターヴ・ドレ(19世紀)

イエスを試すために、律法学者たちやファリサイ派の人々が、「姦通の現場で捕らえられた女」を連れて来た。律法では石打ちの死刑に値する。イエスは「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。」と言った。これを聞いた者は全員、自分が罪を犯したことがあると知っているので、誰も女に石を投げることができず引き下がった。また、イエスも女の罪を許した。

罪を犯しながらイエスに許されるこの女もまた、マグダラのマリアに重ねられることも多い。 キリストを描いた映画には好んでこの逸話が挿入される。たとえば『偉大な生涯の物語』(1965年)は、これをマグダラのマリアを紹介するシーンとして使っている。このため、この女性こそマグダラのマリアであると誤解する人が多いが、これが教義として教えられてきたわけではない。

「姦通」の語は新共同訳による。

また、キリストを題材とした絵画でこのシーンを描いたものも多い。ハン・ファン・メーヘレンによる「キリストと悔恨の女」もこのシーンを題材としたものである。


注釈

  1. ^ 女が流した涙の量が尋常ではなかったことがわかる。
  2. ^ 当時の習慣では、食事の時は、はきものを脱ぎ、体を横たえ、足をのばしていた。それで、この女はイエスのうしろに回って涙で足を洗い、せっぷんし、香油をぬった。これによって、イエスに対する深い愛と尊敬を表した[1]

出典

  1. ^ 『新約聖書』フランシスコ会聖書研究所訳注。<ルカ7:38> 213頁注(7)。
  2. ^ 加藤常昭(1989)pp.103-107
  3. ^ 加藤常昭(2000)pp.87-93。
  4. ^ 『新約聖書譬喩略解』p.112。
  5. ^ 『新約聖書』フランシスコ会聖書研究所訳注。<ルカ7:47> 213頁-215頁注(8)。
  6. ^ マタイ26:6-13,マルコ14:3-9
  7. ^ ヨハネ12:1-8
  8. ^ マルコ16:1, ルカ24:1
  9. ^ マルコ16:9, ルカ8:2
  10. ^ ヨハネ20:1-2, 11-18
  11. ^ 『新約聖書』フランシスコ会聖書研究所訳注。マルコ(14:3) 167頁注(3)。


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