YF-29 デュランダル 機体解説

YF-29 デュランダル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/30 00:18 UTC 版)

機体解説

諸元
YF-29 デュランダル
所属 S.M.S
ケイオス・リスタニア支部
開発 新星インダストリー(マクロス・フロンティア工廠) / L.A.I
全高 3.88m(ファイター時、主脚含まず)
全長 18.73m(ファイター時)
全幅 14.15m(ファイターでの主翼展開時)
空虚重量 11920kg(宇宙空間装備含まず)
機体設計最大荷重 32.5G
エンジン 新星/P&W/RRステージII熱核反応タービン FF-3001/FC1×2
新星/L.A.I/RRステージII熱核反応タービン・ラムジェット FF-3003/FC1×2
推力 (FF-3001/FC1)2105kN+×2、(FF-3003J/FC1)1470kN+×2
(宇宙空間最大推力、大気圏高速モード時は
ラムジェットに切り替えて推力増加可能)
最高速度 M5.5+(高度10000mにおける耐熱限界速度、
短時間ならM10以上まで加速可能)
武装 ラミントンES-25A 25mm高速機関砲×2
ハワード/L.A.I HPB-01A 重量子ビームガンポッド×1
TW2-MDE/M25 隠顕式連装MDEビーム砲×1
ビフォーズMBL-02 マイクロミサイルランチャー×12
アサルトナイフ×1ほか
防御装備 追加重装甲大型シールド×1(左腕に装備)
エネルギー転換装甲SWAGシステム一式
ピンポイントバリアシステム一式
アクティブステルスシステム一式
チャフフレアースモークディスチャージャーシステム一式
特殊装備 フォールドウェーブシステム
乗員人数 1+1名(後部座席展開時)
搭乗者 早乙女アルト
マクシミリアン・ジーナス

新星インダストリー社MF(マクロス・フロンティア)工廠とL.A.I社が、YF-24 エボリューション-を原型に共同開発した「超可変戦闘機」とも呼ばれる試作機[1]。同じくYF-24から派生したVF-25 メサイアやVF-27 ルシファーの姉妹機でもある。

設計段階から対バジュラ戦を想定した初の機体であり[1]、多数の火器に加えて超高純度の「フォールドクォーツ」を用いた「フォールドウェーブシステム」を採用したことで、他の系列機を凌駕する高性能を発揮する。肝心のクォーツが標的であるバジュラ自身の体内でしか精製できない稀少物質ゆえに開発は大きく難航していた[7]。のちにマクロス・フロンティア船団が、バジュラとの戦闘で大量のクォーツを入手したことでようやく完成に至る[1]

主翼形状は、大気圏内での運動性向上に有利な前進翼を採用。これは、VFシリーズとしてはVF-9 カットラス、VF-19 エクスカリバーに続いて3例目となる。左右の脚部と外翼に各1基ずつ、計4基のステージII熱核反応タービンエンジンが搭載されており、ノーマル状態でもスーパーパック装備のVF-27と同等の機動性を発揮する。主翼と外部エンジンポッドには翼面と推力の偏向機能が備えられており、トルネードパックのようにノズル角度を適宜を変えることで、通常の機体では行えないような複雑な機動を実現している。また、機体側とエンジンポッド間の内翼部分を縮めることで、大気圏内用の高速モードとなる。

YF-24シリーズの特徴であるコックピットの「EX-ギアシステム」やフォールドクォーツを用いた慣性蓄積コンバーター「ISC」などの諸機能も完備されているが、使用されているクォーツの総量に比例してISCの対G限界が大幅に高められている[注 2]。そのため、サイボーグ兵専用であるVF-27を上回る機動性にもかかわらず生身の人間が操縦できる。

VF-25のトルネードパックは、もともとはオプション装備でYF-29の性能に近づけるために製作されたもので、YF-29用の装備を開発するためのテストに用いられていた[8]。またVF-27はL.A.I経由でリークされたYF-29の情報をもとに開発されたために、4発エンジン装備など機体構成はYF-29に近いものとなっているほか[8]、『マクロスF』の約1年前を舞台とする小説『マクロス・ザ・ライド』においても、YF-28もしくはYF-29と推測されるデータを入手しているとギャラクシー船団側の人間から言及がある。

YF-29の持つ能力でとくに重要なのはバジュラとのコミュニケーション能力である。YF-29は大出力のフォールドウェーブプロジェクターを搭載しており、シェリル・ノームランカ・リーの歌をバジュラに届ける役割を果たし、戦争終結に貢献する。

武装

ラミントンES-25A 25ミリ高速機関砲
VF-25とVF-27では主翼基部に固定装備されている実弾砲。頭部の両側に計2門を装備している。
ハワード / LAI HPB-01A 重量子ビームガンポッド
本機専用に開発された携行式の大型ビーム砲。ファイター形態では通常のガンポッドと同様に機体底面に懸架される。通常時は連射式のビームガトリングであり、バーストモード時には展開して重量子ビーム砲となる。
TW2-MDE/M25 隠顕式連装MDEビーム砲
VF-25用トルネードパックに搭載されていた連装式ビーム砲の改良型。ファイター形態時は機体上面尾部に収納され、ガウォーク・バトロイド形態では上面のフレームが外れて砲身が伸長することで旋回式のビーム砲となる。
ビフォーズMBL-02 マイクロミサイルランチャー
外翼エンジンポッドに各2基、肩や両脚のコンフォーマル武装パックに各4基ずつ計12基設置されたランチャーに最大100発のマイクロミサイルを格納する。対バジュラ用のMDE(マイクロ・ディメンション・イーター)仕様弾頭に対応している。
アサルトナイフ
VF-25と同じ仕様のものを左腕シールドに装備している。劇中ではバジュラをインプラントから解放する際に使用。

フォールドウェーブシステム

YF-29をほかのVFと一線を画す「超可変戦闘機」たらしめているシステムとして「フォールドウェーブシステム」が挙げられる[1]。これは1000カラット級[7]の超高純度フォールドクォーツ「賢者の石」から無尽蔵のエネルギー供給を可能にする代物で、機体各所にそれぞれ4基のフォールドウェーブデバイスを搭載している。ペットネームの由来となった聖剣デュランダルの黄金の柄には4つの聖遺物が収められていたという話にならい、4基のデバイスも右翼基部「聖ペテロの歯」、右翼エンジンポッド部「聖バジルの血」、左翼エンジンポッド部「聖ドゥニの毛髪」、左翼基部「聖母マリアの衣片」の名称が付けられている[1]

このシステムの働きにより、熱核タービンエンジンの性能を限界以上まで引き出し、エネルギー転換装甲の常時フル稼働を可能にした[1]。さらにフォールドウェーブの解析・増幅・探知の機能も有する[1]。フォールドクォーツの力を解放したオーバードライブ状態では機体が金色の光で包まれ、機体性能がさらに飛躍的に高まる。

オプションパック

スーパーパック
高機動 / 推進剤パック、大出力フォールド・ウェーブ・プロジェクター / マイクロミサイルポッド×2、化学ロケットブースター(SLE-7A ロケットエンジン)およびシールド用追加装甲ユニットで構成される大気圏内外兼用オプションパック。装備状態は「YF-29スーパーパック装備[4]」と呼称される。
宇宙空間用推進剤ポッドと高機動スラスターで構成される高機動 / 推進剤パックは、外翼エンジンを覆うように装着。さらにそこから伸びる翼状の装甲の先端に、ミサイルポッドおよびフォールド・ウェーブ・プロジェクターが一体化した複合武装ユニットが取り付けられている。高機動 / 推進剤パックと複合武装ユニットは併せて外翼全体に被せて装着する形式のため、翼が一回り大きくなる。そのため、主翼を高速モード形態で収納して縮小している[4]。VF-25用スーパーパックから流用した化学ロケットブースターは主翼後端に装着する。シールド用追加装甲はVF-25用と同じくシールドの表面に追加パーツが装着されるが、側面や先端(ファイター時の後端)も一部カバーするかたちになっている点が異なる。その際、シールド内部に収納されているアサルトナイフの使用を妨げないように設計されている。
大気圏外と大気圏内では形状が異なる。大気圏外ではフォールド・ウェーブ・プロジェクターを展開するが、大気圏内では空力の関係でプロジェクターを収納する。また、高機動 / 推進剤パックのうち推進剤タンクを、さらには燃料を使い切った場合化学ロケットブースターを大気圏内では排除する。
劇中において最後の決戦に使用され、そのなかでAIF-9V(ゴーストV-9)を3機随伴したスーパーパック装備のVF-27と対戦する。1対4の戦力差にもかかわらず互角以上の戦闘を展開し、ゴーストV-9を本体は無傷のまま全機撃墜する。スーパーパックは最後のゴーストとの戦闘中に左翼側ユニットに被弾。そのままパージして空中でのミサイル発射台として使用し、ゴーストを撃墜する。

注釈

  1. ^ VFシリーズにおけるブースターとミサイルランチャーを組み合わせた火力と機動力を向上させる追加装備。
  2. ^ キャノピーはフォールドクォーツでコーティングが行われ、操縦席の空間自体がこれで覆われているといってもいい状態になっている。キャノピーがフォールドクォーツと同じ紫色なのもこのためである。そしてその操縦席の空間ISCとEXギア内ISCの二重のISCかつ高純度の大型フォールドクォーツにより、高性能のISCが実現できている。
  3. ^ 河森正治は「アルトが戻ってくるのか、それともオズマが乗るのか……。それとも新しいパイロットが出現しているかもしれないですね。」と語っている[15]

出典

  1. ^ a b c d e f g h 『劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜』パンフレット、ビックウエスト、2011年、14頁。
  2. ^ 星★馨介「Dr.チバに聞く期待の最新鋭VF YF-29デュランダルの力とは!?」『グレートメカニックDX16』双葉社、2011年、103頁。
  3. ^ 『グレートメカニックDX18』双葉社、2011年、99頁。
  4. ^ a b c 『劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜』パンフレット、15頁。
  5. ^ BD/DVD『劇場版マクロスF サヨナラノツバサ』収録「完結ですか?YF-29は29周年記念機体ですか?」 。
  6. ^ 『週刊ファミ通 No.1233』エンターブレイン、2012年、181頁。
  7. ^ a b 星★馨介「Dr.チバに聞く期待の最新鋭VF YF-29デュランダルの力とは!?」『グレートメカニックDX16』100頁。
  8. ^ a b 星★馨介「Dr.チバに聞く期待の最新鋭VF YF-29デュランダルの力とは!?」『グレートメカニックDX16』102頁。
  9. ^ 星★馨介「Dr.チバに聞く期待の最新鋭VF YF-29デュランダルの力とは!?」『グレートメカニックDX16』98頁。
  10. ^ ロッド・バルトマー”. マクロス30 銀河を繋ぐ歌声 バンダイナムコゲームス公式サイト. バンダイナムコゲームス. 2012年12月23日閲覧。
  11. ^ 『月刊ホビージャパン』、ホビージャパン、2021年12月、124-131頁。
  12. ^ HG 1/100 YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)”. バンダイホビーサイト. BANDAI SPIRITS. 2023年7月9日閲覧。
  13. ^ HG 1/100 YF-29 デュランダルバルキリー(マクシミリアン・ジーナス機)フルセットパック”. バンダイホビーサイト. BANDAI SPIRITS. 2023年7月9日閲覧。
  14. ^ HG 1/100 YF-29 デュランダルバルキリー(早乙女アルト機)拡張セット”. プレミアムバンダイ. バンダイナムコグループ. 2023年8月30日閲覧。
  15. ^ a b 監督・バルキリーデザイン 河森正治 マクロス30周年スペシャルインタビュー”. 魂ウェブ (2012年9月26日). 2012年10月27日閲覧。






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