NANDゲート NANDゲートの概要

NANDゲート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/21 06:05 UTC 版)

入力 出力
A B A NAND B
L L H
L H H
H L H
H H L

NAND論理の完全性(en:Functional completeness)により、いかなる組合せ論理回路の論理もNANDゲートの組合せで実装できる。

汎用ロジックICシリーズにおいて、最も基本的な製品群として大量生産されたのは、完全性という論理的な理由よりも、実装の容易さ等による面が大きい。

NANDゲートのみで構成した全加算器

記号

MIL論理記号及びANSIIECDINのそれぞれにおけるNANDの記法を以下に示す。

MIL/ANSI 記号 IEC 記号 DIN 記号

汎用ロジックIC

7400と4011のピン配置

NANDは、汎用ロジックICでは基本的な製品として、バリエーション等が最も豊富な一群のひとつである。74シリーズについてはTTLの7400等の他、74HC00他のCMOS版など多数のバリエーションがある。

  • 74シリーズ
    • 7400: 2入力NANDゲート×4
    • 7410: 3入力NANDゲート×3
    • 7420: 4入力NANDゲート×2
    • 7430: 8入力NANDゲート×1
  • 4000シリーズ(CMOS)
    • 4011: 2入力NANDゲート×4
    • 4023: 3入力NANDゲート×3
    • 4012: 4入力NANDゲート×2
    • 4068: 8入力NANDゲート×1

実装

Transistor-transistor logic(TTL)の場合、複数のエミッタを持つトランジスタ (マルチエミッタトランジスタ) を使い、他のゲートよりも少数のトランジスタで構成できるという特徴があり、74シリーズのトップナンバーである7400がNANDであるのもそういった理由による。CMOSにおいても、特性的に不利なPチャネル側が並列で、特性的に有利なNチャネル側が直列になることから、例えばそれが逆になるNORゲートよりも少しだが優位がある。

TTL型NANDゲート
NMOS型NANDゲート
CMOS型NANDゲート
CMOS型NANDゲートの物理レイアウト

NANDゲートの完全性

NANDゲートは極小完全[注釈 1]な論理関数を実現した回路であり、任意の組み合わせ回路はNANDゲートのみで生成できる[1]。つまり、NOTANDORXOR などの基本論理回路をはじめ、加算器デコーダエンコーダなどの複雑な組み合わせ回路をNANDゲートだけで作ることができる。

また、最も基本的な順序回路であるRSフリップフロップ回路はNANDゲートの組み合わせで実現できることから[2]、任意の順序回路もNAND回路だけで生成することができる。


注釈

  1. ^ ANDとNOTがあれば全ての論理関数が合成できるので「完全」、ANDあるいはNOTのいずれかが無ければ完全ではなくなるので「極小」という。

出典

  1. ^ 髙木 2010, p. 42.
  2. ^ 髙木 2010, pp. 90–95.


「NANDゲート」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「NANDゲート」の関連用語

NANDゲートのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



NANDゲートのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのNANDゲート (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS