MiG-19 (航空機) 運用国

MiG-19 (航空機)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/20 13:41 UTC 版)

運用国

 朝鮮民主主義人民共和国

評価

MiG-19は、世界初の超音速戦闘機であるアメリカ合衆国F-100にわずかに遅れた1954年1月5日に初飛行を果たした。両機を比較すると、MiG-19は空中格闘能力においてF-100より優れている一方で、兵装搭載量が少ない、航続距離が短い、などといった欠点があった。また、両機は共に国家初の超音速戦闘機として開発されたものの、低機動性を逆手に取って爆撃機に発展したF-100と少ない兵器搭載量から格闘戦闘機に発展したMiG-19とではその性格は対照的であった(ただし、F-100は本来F-86戦闘機の後継となる制空戦闘機として開発されたものであり、低機動性故に戦闘爆撃機に転用されたのは当初の開発意図から全くもってかけ離れているといえる)。もっとも中国ではMiG-19の発展型として地上攻撃機のQ-5/A-5が開発されていることを考えると、万能機としての能力を発揮する素地はあったといえるだろう。

本機のもう一つの欠点として、致命的なほどのエンジン寿命の短さが挙げられる。そのため頻繁にオーバーホールをする必要があり、運用効率が非常に悪かった。しかし整備において要求される技術レベルはさほど高く無いため途上国においても維持・運用は簡単であり、むしろ廉価で使い勝手がよいと評価された面もある。

MiG-19は、西側諸国では「MiG-15の二番煎じのMiG-17と、MiG-21との間のつなぎ」という低い評価が与えられていた。しかし当のソ連では、MiG-19の運動性や推力重量比(ひいては上昇能力)がMiG-21を上回っていたため、しばらくはMiG-19とMiG-21が平行して生産され主力戦闘機と位置づけられた(後にMiG-23を配備した際もMiG-21を全機更新せず、80年代初頭まではMiG-23と並行してMiG-21が第一線機として使われている)。本機あるいは中国製のJ-6を配備した途上国においては、さらに長期間に渡り使用が続けられた。

エジプト軍のMiG-19Sと交戦したイスラエル軍の戦闘機パイロットは、MiG-19を「最高の格闘戦闘機」と評している(とはいうものの、戦闘では常にイスラエルのミラージュIIIが勝利しており、この言葉は「勝者の余裕」であるとも受け取れる)。[1]

MiG-19からは多くの試験機体が開発された。MiG-19をベースに開発された機体の種類と数は、MiG-15やMiG-21など他の機体の派生型と比べはるかに多く、その後のソ連戦闘機の発展に大きな貢献をした。

主要生産型

MiG-19 (МиГ-19)
少数生産・配備された初期型。他の派生型に比べて垂直尾翼が小型であるなどといった相違点がある。量産化が急だったために性能上不満足な点が多かったとされる。武装は23 mm機関砲NR-23が3門。
MiG-19S(МиГ-19С)
本格的な配備型。さらに数種類のヴァリエーションに分けられる。初期の武装は30 mm機関砲NR-30 3門及び57 mmロケット砲のみであったが、後にR-3(K-13)赤外線誘導ミサイル2発を搭載できるよう改修された。その他武装にもいくつかのヴァリエーションがある。また、チェコスロヴァキアのアヴィア社でライセンス生産されたS-105では、垂直尾翼が大型化されている。MiG-19Sの後期型はMiG-19SF(МиГ-19СФ)と呼ばれる。
MiG-19P (МиГ-19П)
イズムルード・レーダー搭載型。武装は23 mm機関砲2門及び57 mmロケット砲のみだったが、MiG-19S同様にR-3赤外線誘導ミサイル2発を搭載できるよう改修され、この改修型はMiG-19PT(МиГ-19ПТ)と呼ばれた。
MiG-19PM (МиГ-19ПМ)
イズムルード・レーダー搭載型。武装はK-5(RS-1/RS-2U)指令誘導ミサイル4発のみ。MiG-19Pとは垂直尾翼の大きさが異なる。
殲撃六型 (殲-6, J-6, F-6)
中華人民共和国でライセンス生産された機体。複座の殲教六型(JJ-6FT-6)や偵察機型の殲偵六型(JZ-6)など多くの発展型が開発され、各国に輸出された。本機はよく「MiG-19Sのコピー」といわれ両機はしばしば混同されているが、実際は搭載エンジンや機器などが異なる。搭載エンジンとの互換性の問題で、殲撃六型はMiG-19Sとは機種部の空気取り入れ口の形状が異なっており、また殲撃六型の後期型では垂直尾翼にドラッグシュート収納部が移設されているなどといった外見上の差異がみられる。また、初期型を除く多くの殲撃六型では、機関砲ノズルの形状もMiG-19Sとは異なっている。そのほか、中華人民共和国はソ連と断絶したアルバニアから複数のMiG-19PMを入手することに成功したといわれる。そこから中華人民共和国にもレーダー技術が齎されることとなった。量産されたレーダー搭載型としては殲撃六型甲型(F-6A)、殲撃六型乙型(F-6B)がある。なお最も多く生産されたレーダー非装備型は殲撃六型丙型(F-6C)、ショックコーンを装備し空気取り入れ口を大型化した発展型は殲撃六型新型(J-6Xin)と呼ばれる。
強撃五型(強-5, Q-5, A-5)
中華人民共和国で開発された攻撃機型。数種の発展型がある。中国人民解放軍では、空軍と海軍で運用されている。輸出も、パキスタン、バングラデシュ、朝鮮民主主義人民共和国、ミャンマーなど数ヶ国に対してなされている。

※その他、ポーランドで「Lim-7」としてMiG-19がライセンス生産されたという誤認情報があった。


  1. ^ 『週刊ワールド・エアクラフト』91号、デアゴスティーニ・ジャパン2001年7月10日発行 (日本語)





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