M-2002 先軍号 / 先軍虎(先軍-915)

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > M-2002の解説 > 先軍号 / 先軍虎(先軍-915) 

M-2002

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/24 14:38 UTC 版)

先軍号 / 先軍虎(先軍-915)

2010年10月10日の軍事パレードでは、転輪が6個で操縦席が中央にある新型車体に、お椀型の砲塔を載せた新型戦車も確認されている[2]。これを天馬号/天馬虎の最新型とする説もあるが、2010年と2012年に天馬号/天馬虎の最新型である「天馬5号(チョンマオホ)」がこれとは別に登場している。

サーマルスリーブを装着した主砲は125mm滑腔砲である可能性が高いが、外観から2A26/2A46系の単純なコピーではないようである。また、砲塔下方の自動装填装置(オートローダー)は搭載していない可能性が高い。そのため、装填手がいるものと考えられる。砲塔内は3名で、車長は砲塔後部左側に、砲手は前方左側に、装填手は右側にいる。砲塔上面右側にはKPV14.5mm重機関銃(装填手が操作。RWSではないので、射撃時はハッチから身を乗り出し曝す必要がある)を、砲塔上面左側には携行地対空ミサイル(車長が操作)を備えている。砲塔側面には左右それぞれ4連装発煙弾発射機を備えている。操縦席前方の傾斜した車体前面には、爆発反応装甲のブロックらしきものが確認できる。この2010年の時点では砲塔前面に爆発反応装甲らしきものは確認できない。砲塔後部は箱状のバスルになっており、即応弾を収納しているものと推測される。バスル後部には籠が付いている。砲塔後端バスル部分直前の位置の砲塔上面には太めの棒が立っており、環境(横風)センサーだと考えられる。

この戦車は2012年4月15日に行われた、金日成主席生誕100周年記念軍事パレードにも登場している。操縦席前方の傾斜した車体前面には、爆発反応装甲のブロックらしきものが確認できる。この2012年の時点ではお椀型砲塔前面に、T-90の「コンタークト5」のような形状の、楔形の板を備えている。

北朝鮮の情報筋は、RHA換算で、砲塔の900mmに加えて、二枚重ねの砲塔ERAで500mmが追加されて、約1,400mmの砲塔正面防御力がある、と主張している(が、誇張の可能性が高い)。

車体左側面にエンジンの排気口があることが確認できる。

中国網2013年1月17日付けは、「北朝鮮が2012年4月に開催した閲兵式でほとんどの主力戦闘装備を動かしたことをロシア軍事産業共同体のサイトが1月15日に報道した」と、間接的に報じた[9]。その中にはM-2002 暴風虎も含まれていたとされる。M-2002 暴風虎として公開された画像は、転輪が片側6個で、操縦席前方の傾斜した車体前面に爆発反応装甲のブロックらしきものを、お椀型砲塔前面に楔形の板を備えており、上記2010年と2012年と同じ戦車である。

聯合ニュース2013年6月19日付けは、北朝鮮が2005年から2012年にかけて、「先軍号」と「天馬5号」からなる新型戦車約900輌を追加配備したと報じた[10]

朝鮮日報2014年8月19日付けは、北朝鮮が、中国との国境地帯の両江道に2010年に創設した第12軍団に、自動射撃制御装置、コンピューターモニターを搭載した最新型戦車「先軍915」を約10台配備したと報じた[11]

先軍号あるいは先軍虎(선군호、発音はどちらもソングンホ)は金正日の「先軍政治」から名づけられたとされる。初期名称は先軍-915であった[12]。2009年より生産が開始された[12]


  1. ^ “北朝鮮が新型戦車「暴風号」初公開、旧ソ連製を改良”. 聯合ニュース. (2010年8月17日). http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2010/08/17/0300000000AJP20100817000700882.HTML 2012年6月19日閲覧。 
  2. ^ a b c 日本周辺国の兵器 - T-72戦車(暴風号)
  3. ^ 金日成とともにパルチザン抗争を行った柳京洙(後に第105戦車師団長)を記念したもの。
  4. ^ a b c d KPAJOUNAL Vol.1,No.4 - 2010/8/28閲覧
  5. ^ 李ジョンヨン:著 宮田敦司:訳『北朝鮮軍のA to Z 亡命将校が明かす朝鮮人民軍のすべて』 光人社 2009年 ISBN 9784769814436
  6. ^ Bermudez Jr., Joseph S. (2001-03-14). The Armed Forces of North Korea. I.B. Tauris. ISBN 1-86064-486-4.
  7. ^ 北朝鮮が新型戦車「暴風号」初公開、旧ソ連製を改良
  8. ^ 『「ポクプン号」(注:暴風号のこと)は「朝鮮人民軍機甲の真髄」とし、対戦車誘導弾などあらゆる種類の弾薬を撃つことができる強力な125ミリ戦車砲で武装したと記載された。価格は420万ドル(約50億ウォン)。』東亜日報2019年9月6日付記事『「ミサイルが5100万ドル」 北朝鮮がネットで兵器販売』
  9. ^ “ロシアメディア:朝鮮の神秘的戦車「暴風虎」”. 中国網. (2013年1月17日). http://japanese.china.org.cn/culture/2013-01/17/content_27714097.htm 2013年1月17日閲覧。 
  10. ^ 北朝鮮の新型戦車「先軍号」を初確認 900台戦力化
  11. ^ “中国の裏切り警戒? 北朝鮮軍が中朝国境に戦車配備”. 朝鮮日報. (2014年8月19日). https://web.archive.org/web/20140821194720/http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/08/19/2014081901071.html 
  12. ^ a b 중무기실에 전시된 북의 전차들
  13. ^ “新華社「北、ロシアの次世代主力T-95級戦車を開発中」”. 中央日報日本語版. (2009年3月18日). http://japanese.joins.com/article/738/112738.html 2013年1月25日閲覧。 


「M-2002」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「M-2002」の関連用語

M-2002のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



M-2002のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのM-2002 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS