B-50 (航空機)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/29 15:53 UTC 版)
概要
B-29の改良型として開発された。設計の母体となったものはB-29Dであり、B-29で問題が多かったエンジンが換装されたほか、垂直尾翼も拡大されている。エンジンがプラット・アンド・ホイットニー R-4360となり大型化されたために、B-29とはエンジンナセルの形状が大分異なっている。
アメリカ空軍戦略航空軍団に1948年から部隊配備が行われたが、核戦争に備えて温存されていたことや同時期にはジェット機が実用化されレシプロ機そのものが旧式化したこともあって、実戦で爆撃を行ったことは一度もない。爆撃任務には1955年までしか就いていなかったが、偵察機型や空中給油機型は長く使われ、空中給油機型KB-50はベトナム戦争にも使用されている。また、X-1の投下母機にも使用されている。全機が退役したのは1965年のことである。
1949年には、「ラッキー・レディ・2(Lucky Lady II)」がKB-29空中給油機の支援により空中給油を繰り返し、世界初の無着陸地球一周飛行に成功している。
日本における事故として、1960年(昭和35年)9月8日、横田基地所属の気象観測機WB-50が、福島県石川町の山林に墜落した事例がある[1]。
各型および派生型
- XB-44
- B-29AのエンジンをR-4360に換装したもの。1機改装。
- B-50A
- 初期生産型。B-29D型よりエンジンを換装、主翼・尾翼を改良したもの。60機生産。
- B-50B
- A型の改良型。燃料タンクなどを改良。45機生産。
- B-50D
- 機首周辺および空中給油装置を改良。222機生産。
- DB-50D
- 無人標的機の誘導機。1機改装。
- EB-50B
- 電子戦機。B型より1機改装。
- 給油機型
- KB-50
- 空中給油機。134機改装。
- KB-50J
- 空中給油機。GE-J47ターボジェットエンジン2基増備。112機改装。
- KB-50K
- 空中給油機。TB-50Hから24機改装。
- 偵察機型
- RB-50B
- 偵察機型。44機改装。
- RB-50E
- 偵察機型。14機改装。
- RB-50F
- RB-50Bの改装型。SHORAN近距離電波航法装置に基づく、地図補正任務に使用。14機改装。
- RB-50G
- RB-50Bの改装型。SHORAN近距離電波航法装置に基づく、地図補正任務に使用。15機改装。
- WB-50D
- 気象偵察機型。B-50Dより36機改造[2]。
- 練習機型
- 練習機型
- TB-50A
- B-50Aの練習機型。11機改装。
- TB-50D
- B-50Dの練習機型。11機改装。
- TB-50H
- 航法練習機型。24機製造。
- 発展型
- YB-50C
- エンジンをR-4360-51 VDT(Variable Disharge Turbine. 可変流量タービン)4基(4,300馬力(3,210 kW)x4)に変更し、胴体を10フィート強、翼長を20フィート延長し、1、4番エンジンナセルに補助脚を増設、外翼に懸垂した増加燃料タンクの容量を増大させたB-50の発展型。
- 1947年に開発が始まり、1948年5月にはB-54と改称されて爆撃機型と偵察機型が発注されたが、1949年4月には「ジェット爆撃機が実用化された以上必要性がない」として発注はキャンセルされ、計画が中止された。実際に製造されたものは未完成のモックアップのみである。
- 詳細は「en:Boeing B-54」を参照
- B-54A
- YB-50Cの量産型。計画のみ。
- RB-54A
- YB-50Cの偵察機型。計画のみ。
要目 (B-50D)
- 全長:30.2m
- 全幅:43.1m
- 全高:10.0m
- 自重:36.5t
- エンジン:P&W R-4360 ワスプ・メジャー 4重星型エンジン 28気筒 71447.3cc 3,500馬力 4基
- 最大速度:636km/h
- 航続距離:9,270km
- 固定武装:
- M24 20mm機関砲x1 (弾数120発) ※尾部銃座
- AN/M2 12.7mm機関銃×12 (弾数計6,000発) ※4連装銃塔1基(機体上面前部)連装銃塔3基(機体上面1基/機体下面2基)尾部連装銃座
- 爆弾:9.1t(9,100 kg)(機内爆弾倉)/ 3.6t(3600 kg)(外部兵装架)
- 乗員:8名
- B-50 (航空機)のページへのリンク