除名 法人・組合の除名

除名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/27 14:52 UTC 版)

法人・組合の除名

組合においては、正当な理由がある場合に限り、他の組合員の一致によってすることができる。ただし、この要件は組合の内規により緩和することができる。医療法人職業訓練法人および学校法人における構成員(社団法人の構成員)の場合は寄附行為で、財団法人および社団法人の場合は定款で定める。

律令における除名

除名(じょみょう/じょめい)とは、古代の律令制において刑を犯した官人・有位者に対する付加刑。八虐・故殺人・反逆の縁坐の罪を犯した場合、あるいは監臨・主守の職にある者が担当場所にて犯した罪、盗み・略人(人身売買)・受財枉法(収賄して法律を枉げる)・その他五流(流罪)相当の罪などを犯した場合、それぞれの本刑に加えて出身以来の官位勲位を全て剥奪され、蔭位のない者の場合には庶人に降格された。また、位田職田賜田も没収されて一般庶民と同様に課役の対象とされたが、官人が持つとされた「士大夫」としての名誉を重んじる観点から、実際の労役・兵役が伴う課役については免除された。この他にも免所居官(現任の位階、無位であれば勲位の剥奪)、免官(現任の位階・勲位両方の剥奪)などが除名より軽い付加刑として存在していた。これらをまとめて除免(じょめん)と呼ぶ。

日本の律令制においては9世紀以降に執行が事実上停止となった死罪の代替として行われた流罪の付加刑として執行されることもあった。

除免および同様の効果をもたらす換刑措置である官当は官人の身分に関わる重大な処分であったことから、日本においては一旦刑部省などで処分が決定された後も太政官において再審が実施され、更に論奏の手続による天皇の裁可を必要とした。除免・官当となった者の位記は天皇の裁可が降りた日に太政官において破毀され、式部省兵部省に保管されている位記の写しにも「毀」の一字が上部に記された。

除名とされた場合には処分を受けた時から6載の後(丸6年が過ぎた後の最初の叙位(通常は7年目の正月に実施される叙位))に元の位階などに応じて数段格下げされた位階が再叙された(なお、免所居官の場合には1載の後に1階格下げ、免官の場合には3載の後に2階格下げの位階を再叙されている)。なお、こうした再叙規定は日本では慶雲3年2月16日706年4月3日)に初めて導入されたことが知られており(『続日本紀』慶雲3年2月庚寅条)、大宝律令には再叙の規定は存在せず、養老律令になってから初めて律令法の規定として加えられたとする説もある。

八虐・故殺人・反逆の縁坐以外の理由で除名された場合には、恩赦によって刑罰が執行されなかった場合でも除名は解除されなかったが、それ以外の理由による除名では恩赦で刑を免除されれば免所居官、減刑されれば免官に処分が引き下げられた。

参考文献

スポーツ界の除名

日本の場合は、財団や社団となっている各競技団体が前述の「民法上の除名」に沿って、寄附行為や定款、またはルールブックなどで定めている。

プロ野球の除名

日本野球機構の除名

プロ野球を統括する一般社団法人日本野球機構(NPB)では、野球協約[10]第18章に「有害行為」という条項があり、有期・無期・永久の3段階の失格処分が定められている。このうち無期と永久が本項の「除名」に相当するものである。

失格処分を受けた場合、NPB所属チームおよび侍ジャパンの選手、指導者となることは禁じられ、独立リーグやNPBとの間に契約協定がある海外のプロ野球組織(MLBKBO台湾大聯盟CBL)での現役継続もできなくなる。さらに、日本野球連盟を通じた社会人・クラブチームといったアマチュアへの新規登録、日本学生野球協会によるプロ経験者を対象とした学生野球資格回復研修会の受講も認められない[11]。この他、新聞社専属の野球評論家、放送局専属の野球解説者についても、失格選手となった者は採用しないという紳士協定がある[12]。なお、マスターズリーグはNPBではなく全国野球振興会管轄のため出場に問題はないが、2010年(平成22年)以降リーグとしての試合開催を行っていない。

永久失格を受けた例としては、黒い霧事件の池永正明ら3チーム6人が有名である。無期失格の例としては、2015年(平成27年)に発覚した巨人軍野球賭博問題での笠原将生福田聡志松本竜也がいる。有期失格は、巨人軍野球賭博問題で3人の無期失格が確定後に発覚した高木京介の例がある。

ちなみに永久失格は15年、無期失格はコミッショナー宣言を以て、または5年経過後に本人からの申請で見直しを行い、解除することができるが、実際に復帰するには失格処分を受けた当時の所属球団(その後に身売りや合併をしている場合は後身球団)の許可が必要である。

独立リーグの除名

BCリーグ四国アイランドリーグplusのチームであっても日本プロフェッショナル野球協約は適用されるが、失格処分を決定するのはNPBではなく、日本独立リーグ野球機構(IPBL)となる。

アマチュア野球の除名

日本学生野球協会の除名

大学・高校のアマチュア野球を統括する公益財団法人日本学生野球協会では、日本学生野球憲章第29条に「協会は学生野球団体、野球部、部員、指導者、審判員および学生野球団体の役員が本憲章に違反し、または前条の注意または厳重注意に従わない場合には、当該の者に対して処分をすることができる」と定めており、その最も重い処分として同30条に除名の規定がある。

除名処分を受けると、該当する個人の学生野球に関わる資格がすべて失われ、憲章15条にある「学生野球資格を持たない者との交流」からも排除される。ちなみに除名は個人のみに適用されることになっており、野球部全体あるいは傘下の大学野球連盟・都道府県高校野球連盟を除名相当にする場合は、加盟校であれば「登録抹消」、未加盟校は「登録資格喪失」とする[13]。なお、部員または指導者個人が違反を起こした場合は野球部全体が合わせて処分を受けることがある[14]。また、学生野球と関係のない教職員や応援団、私立校であればその設置者たる学校法人の役員が違反を犯した場合にも指導者ないしは野球部全体が処分の対象になり得るとも規定されている[15]

処分は高校であれば都道府県高等学校野球連盟から日本高等学校野球連盟に報告され、審議委員会で処分の方向性を決定した後、日本学生野球協会の審査室会議に上申されて最終決定が行われる。大学の場合は、所属する大学野球連盟から全日本大学野球連盟への報告を経て協会への上申となる。ただし外部者からの通報など協会に直接上申がなされることも可能であり、この場合審査室長の指示で日本高野連と全日本大学野球連盟が調査を行う。協会に直接通報された事案は、報告遅れとして処分が重くなる傾向がある。

協会は、除名によって学生野球資格を失った者であっても反省の度合いによっては復帰への道を開いており、憲章29条の6に「処分後の被処分者の情状を考慮して、処分の内容を解除変更することができる」と規定、将来的に除名が取り消される可能性もある。また、審査室が行った除名の決定に不服の場合は協会会長、または日本スポーツ仲裁機構に申し立てができるとも定めている。

1946年(昭和21年)の設立以降現在まで、協会が在学中の部員(選手)個人に対して除名処分を行った例はない。監督・責任教師など指導者に対しては複数の実例があり、最近では1997年(平成9年)に東洋大姫路の監督が常習賭博罪で逮捕された例、2002年(平成14年)に愛媛県立吉田高等学校の部長が児童ポルノ禁止法違反罪で逮捕された例[16]などがある。2011年(平成23年)12月には神奈川県立弥栄高等学校の野球部長を務めていた元教師が覚醒剤取締法違反で逮捕された後に除名処分を受け[17]、また2015年(平成27年)には学校名非公表となりながらも責任教師が青少年保護育成条例違反(淫行)で逮捕され、除名となった例がある[18]

また野球部全体に対する登録抹消は2007年(平成19年)の専修大学北上高等学校と2011年の出雲北陵高校がそれぞれ日本高野連審議委員会から処分相当の内示を受け協会に上申された例があるが、どちらも審査室会議直前に野球部を解散したり高野連を脱退するなどし、処分は行われなかった。

日本野球連盟の除名

社会人クラブチームおよび日本学生野球協会に未登録の大学・高校の野球部については、公益財団法人日本野球連盟(JABA)の管轄となる。日本野球連盟では、チームないしは競技者個人については登録規程[19]第16条で「本連盟、加盟地方団体及び地区連盟の名誉を傷つけ又は連盟設立の目的、定款および別に定める規程ならびに加盟地方団体及び地区連盟の目的、規約、規程等に違反する行為があったとき」に登録を取り消すことができると規定しており、これが除名に相当する。役員についても同第33条、地方団体・地区連盟については第42条で、ほぼ同様の規定が設けられている。処分は連盟理事会の議決かつ加盟地方団体・地区連盟会長の同意を得て行うとされている。

実際に処分が行われた例としては、2013年(平成25年)に除名となった沼田拓巳がいる。沼田は大学を中退後、クラブチームに在籍しながらプロとの契約の可能性を探ったが、NPBとJABAの申し合わせで定められた交渉制限期間を無視してMLBロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約したことが判明、その際にクラブから円満退部であることを証明する書面を取らず、なおかつアマチュア登録も抹消しなかったため、除名となった。沼田は帰国後、BCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスで日本のプロ選手となっており、その後は同リーグの石川ミリオンスターズを経て、NPBの東京ヤクルトスワローズにドラフト指名され入団している。

大相撲の除名

相撲プロ興行を行う公益財団法人日本相撲協会では、「解雇」を上回る最も重い処分として「除名」が制度上は存在し、一般企業の懲戒解雇、ヤクザ社会の絶縁に相当する強い意思を協会所属員の総意によって表すものと位置づけられる。

処分を受けた場合、退職金、功労金(一般企業の特別退職金に相当)などが一切支払われない。また今後協会が行う一切の活動に参加できなくなるだけでなく、協会ないしは関連の企業との間で利害関係、取引関係を持つこともできなくなる。現役力士が除名された場合は、それまでの番付・地位および競技成績についても一切無かったことにされる。

2014年(平成26年)2月に公益財団法人に移行した際に賞罰規定の改正が行われ、除名に相当する場合でも理事会で機動的に対応できる「解雇」を平常時に取り得る最高の処分とすることにした。ただし解雇ではファンの理解を得られないと執行部が判断した非常事態の場合に限り、評議員会の特別決議で除名処分が発動され得る。旧法財団法人時代は、理事会の4分の3以上の賛成で評議員会を招集し、そこで役員を含む年寄全員、日本国籍を持つ横綱大関陣、および立行司からなる評議員全体の4分の3以上の賛成によって特別決議すると定めていた。

1925年大正14年)の現法人設立以降では適用された例はないが、明治時代に運営方法の対立から前身の大角力協会とは別の団体を立ち上げようとした力士数名が除名となった例がある。2009年(平成21年)には大麻所持で逮捕された力士に対して除名論が出たが、「前年に大麻所持で逮捕された別の力士を解雇にしており整合性がとれない」「(4分の3以上に緩和されていても)否決でもされれば余計混乱する」として解雇に落ち着いている。なお、解雇でも「引退を許さない」点、また2014年に正式な処分として追加された引退勧告も拒否すれば解雇に切り替わる点を考慮すると何れにせよ極めて重い処分であり、かつ相撲のプロ組織は日本相撲協会しかないため事実上選手生命を絶たれることになる)。

柔道の除名

柔道の段級位認定などを行う事実上の最上部団体である公益財団法人講道館では、倫理規定[20][21]第3条で「館員[22]が柔道の場において人権侵害や人格否定行為を起こしたり、柔道精神に反する行為や柔道に携わる者の品位や名誉を傷つける行為があった場合、審理の上処分することができる」と定めており、具体的な処分として第4条に除名の制度がある。これは、傘下の団体である公益財団法人全日本柔道連盟の処分に優越し、講道館から除名処分を受けた者は、講道館が認定していた段級位も取り消される。

なお、全日本柔道連盟においては、除名に相当するものとして「会員登録の永久停止」があり、この適用を受けた者として内柴正人がいる。

ボクシングの除名

プロボクシングの場合、選手と指導者・興行主で取り扱う団体が異なる。

一般財団法人日本ボクシングコミッション(JBC)からボクサーライセンスの発給を受けた選手に対しては、JBCがライセンスの剥奪を行うことにより除名相当の効果がある。一方、トレーナークラブオーナープロモーターなどの指導者ないしは興行主に与えられるライセンスの保有者に対しては、JBCがライセンスの発給を拒否するだけでなく、ボクシングジムの業界団体である日本プロボクシング協会、および下部組織たる各地域のボクシング協会が除名処分をする必要がある。

なお外国人選手に対しては、JBCが「招請禁止」とすることで有期の活動停止、「日本でのボクサー活動停止」とすることで除名や永久追放と同じ扱いになる。


  1. ^ a b 美濃部達吉著 『憲法撮要 改訂第5版』 有斐閣、1926年(1999年復刻版)、443頁
  2. ^ 厳密には、除名より一段階下の除籍処分。
  3. ^ 立憲、高井衆院議員を除籍 コロナ渦中に「性風俗店」 - 時事ドットコム 2020年4月15日
  4. ^ 第16回総務会を臨時開催 - 国民民主党 2018年8月21日
  5. ^ “国民民主党、柚木道義氏を除名 離党届受理せず”. 産経新聞. (2018年8月22日). http://www.sankei.com/politics/news/180822/plt1808220016-n1.html 2018年8月22日閲覧。 
  6. ^ 第21回総務会で新たに参院3人、衆院1人の公認を内定 - 国民民主党(ニュース)2018年10月24日
  7. ^ フジテレビ12日夜放映「完全再現!北朝鮮拉致“25年目の真実”」「ノンフィクションドラマ」を謳った番組は日本共産党に関する事実をどう偽ったか - 日本共産党公式ホームページ 2010年5月31日閲覧)
  8. ^ 堤は作家に専念した後の2000年代にもしんぶん赤旗の対談に登場するなど、生涯に渡り党との友好関係を維持し続けたがこれは極めて異例である。
  9. ^ 1976年、愛知県委員会から機関罷免処分を受けた宮地は第14回党大会に再審を請求したが、大会はこれを審議せずに却下した。さらに宮地はこの問題を司法の場に出したため、中央委員会は「党内部の問題は党内で解決する」と定めた党規約5条に違反するという理由で宮地を除名した。
  10. ^ 日本プロフェッショナル野球協約全文 - 労働組合日本プロ野球選手会公式ホームページ。
  11. ^ 巨人賭博3選手追放 NPBが無期失格処分の厳罰 - 日刊スポーツ 2015年11月11日付け1面。
  12. ^ 田丸一男のことばエッセイ 無期失格・永久失格 - 毎日放送ホームページ、2015年11月10日更新。
  13. ^ 日本学生野球憲章30条の3。
  14. ^ 憲章29条の2。
  15. ^ 憲章29条の3。
  16. ^ 愛媛・吉田の部長ら除名 学生野球審査室会議 - 47NEWS 2002年12月9日掲載。
  17. ^ 覚せい剤使用した弥栄の部長を除名…審査室会議で13件処分 - スポーツ報知 2011年12月8日付
  18. ^ 東陵高、8月21日まで対外試合禁止=早稲田実高部長は謹慎-学生野球協会 - 時事ドットコム 2015年4月16日掲載。
  19. ^ 登録規程 - 日本野球連盟ホームページ。
  20. ^ 講道館倫理規程 - 講道館ホームページ。
  21. ^ 柔道の段位取り消しも 講道館、倫理規程に盛る - 朝日新聞デジタル 2013年4月13日閲覧。
  22. ^ 講道館を通じて柔道競技に関わった競技者および指導者全体を指す。
  23. ^ 創価学会:基本情報・会則 - 創価学会公式ホームページ。
  24. ^ 座談会 栄光の学会創立75周年 42 - cobatch's Favorite 2010年6月11日閲覧、聖教新聞2005年8月26日付4面掲載の再録。当時の創価学会理事長青木亨の発言より。
  25. ^ 「しんぶん赤旗」2003年05月15日〜5月17日付け
  26. ^ Alephの紹介 Q&A
  27. ^ 「ひかりの輪」会則


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