除名 除名の概要

除名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/27 14:52 UTC 版)

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通常、当該構成員が団体の規則に違反し、それに対する制裁として行われる。この場合、地位の復権は認められない。

日本の議員の除名

国会における除名

除名は国会議員に対する懲罰の一種として規定されている(日本国憲法第58条第2項、国会法第122条第4号)。

除名処分は、「院内の秩序をみだした議員」が対象とされ(日本国憲法第58条第2項)、より具体的には衆議院規則では「議院の秩序をみだし又は議院の品位を傷つけ、その情状が特に重い者」を対象とするものとし(衆議院規則第245条)、参議院規則では「議院を騒がし又は議院の体面を汚し、その情状が特に重い者」を対象とするものと定めている(参議院規則第245条)。

懲罰事犯懲罰委員会へ付託され(衆議院規則第234条、参議院規則234条)、その後、本会議において委員長が報告することとなる。議員を除名するには除名対象議員が所属する議院の本会議において出席議員の3分の2以上の多数の賛成による議決が必要である(日本国憲法第58条第2項)。なお、議院規則に基づき、本会議決議における除名決議において出席議員の3分の2以上の多数による賛成がなかった場合にも、出席議員の過半数の賛成で他の懲罰を科することができるとされている(衆議院規則第246条、参議院規則第246条)。

除名処分が下されると、当該議員は議員の身分を失う。ただし、除名処分者は処分後の選挙に立候補して当選した場合には再び議員となることができ、両議院は、除名された議員で再び当選した者を拒むことができないものとされている(国会法第123条)。

国会において除名された議員
本会議採決日 議院 議員 比率 理由
1950年4月7日 参議院 小川友三 118 10 92.19% 本会議での予算案採決に際し、反対討論を行っていながら賛成票を投じたことが国会運営の原則を無視するものだとして野党の反発を招いたため
1951年3月29日 衆議院 川上貫一 239 71 77.10% 代表質問での不規則発言(発言許可を受けていない、要は野次。政府・GHQの政策を反動と非難して社会主義国家革命を賞賛、議会政治の否定とも受け取れる発言)への陳謝を拒否したため

帝国議会における除名

帝国議会における除名は、衆議院においては院議により、貴族院においては勅裁によるとされていた[1]

除名の原因は懲罰を原因とするものと召集不応または欠席を原因とするものの2種とされていた[1]

懲罰による除名
衆議院においては事犯のあった日から議員20人以上の賛成をもって動議をなし(議院法第98条)、その表決数は出席議員の3分の2以上とされていた(議院法第96条第2項)。ただし、除名された議員が選挙で再選された場合に衆議院はこれを拒むことができないとされていた(議院法第97条)。
召集不応または欠席による除名
議員が正当な理由なく指定期日後1週間以内に召集に応じない場合、正当な理由なく本会議や委員会を欠席した場合、請暇の期限を過ぎたにもかかわらず議長より発せられた招状を受けてから1週間以内に出席しない場合には、貴族院においては出席停止とした上で上奏して勅裁を請うものとし、衆議院においては除名することとされていた(議院法第99条)。

なお、貴族院議員については禁錮刑以上の刑に処せられた場合または破産宣告を受けてそれが確定した場合にも勅命をもって除名すべきとされ(貴族院令第10条第1項)、除名された議員についてはさらに勅許がなければ再び議員となることができないとされていた(貴族院令第10条第3項)。

帝国議会において除名された議員
本会議採決日 議院 議員 比率 理由
1893年12月13日 衆議院 星亨 185 92 66.78% 収賄疑惑によって議長不信任が議決されたにも関わらず、議長の座に固執したため
1938年3月23日 衆議院 西尾末広 320 43 88.15% 国家総動員法案の審議において近衛首相を「スターリンの如く」と賞賛した発言を逆に政友民政両党が問題視したため
1940年3月7日 衆議院 斎藤隆夫 296 7 97.69% 反軍演説が軍部の反発を招いたため

地方議会における除名

現行制度上、地方議員の除名については地方自治法第135条に規定している。除名は懲罰の一種であり(地方自治法第135条第1項)、その動議を議題とするには議員の定数の8分の1以上の者の発議によらなければならない(地方自治法第135条第2項)。また、除名については、定足数は議員の3分の2以上、表決数は議員の4分の3以上とされている。

除名決議に関連する訴訟事件

政党の除名

政党においても、党則で反党行為や反社会的行為や公序良俗に反する行為に対する党員への除名(党によっては「除籍」)を定めている。特に、国会議員経験者や中央幹部経験者の行動における政党本部による処分の場合は注目される。

公職選挙法第86条第9項・第10項で、国政選挙の比例区の候補者が除名により政党に所属する者でなくなった場合、政党が「当該候補者が政党に所属する者でなくなった旨の届出」と「当該除名の手続を記載した文書」と「当該除名が適正に行われたことを党首が誓う旨の宣誓書」を提出することが規定されている。この手続きにより、仮に欠員が生じて繰り上げ当選の対象となっていたとしても、政党の比例代表名簿から抹消されているため、当選の権利を有しないこととなる。当該事例として、第16回参議院議員通常選挙日本新党比例代表区名簿に登載されていた松崎哲久(詳細は日本新党繰上補充事件を参照のこと)、第45回衆議院議員総選挙民主党比例東北ブロック名簿に登載されていた川口民一(比例単独)の事例があげられる。

国会議員経験者の除名処分

吉田自由党

いずれも後の保守合同によって自由民主党に参加している。

自由民主党
日本社会党社会民主党
新進党
旧民主党民主党民進党
立憲民主党
国民民主党
  • 柚木道義(2018年):執行部を批判し、党の名誉・信頼を傷つけ、党の結束を乱す背信行為のため[4][5]。無所属として活動ののち立憲民主党院内会派に入会。
  • 長浜博行今井雅人(2018年):党の結束を乱す背信行為のため。今井は民主党在籍時に続き、自身2度目の除籍。長浜は無所属として活動のち立憲民主党に入党。今井は立憲民主党の院内会派に入会[6]
  • 藤田幸久(2019年):党の名誉及び信頼を傷つける行為及び党の結束を乱す行為・言動に抵触する重大な反党行為のため。立憲民主党に入党。
  • 山井和則(2019年):国対委員長代行の要職にありながら国会会期中に重い職責を放棄する無責任極まりない行為のため。立憲民主党の院内会派に入会。
公明党
党所属かつ創価学会員の議員が党から除名されると、続けて学会からも除名処分を受けることになる。
  • 大橋敏雄(1988年):党及び創価学会を批判。
  • 竹入義勝(1998年):党及び創価学会を批判。政界引退後に除名。
  • 福本潤一(2007年):参院選立候補断念を巡って、党を批判。
みんなの党
旧日本維新の会維新の党おおさか維新の会、日本維新の会
以下、旧日本維新の会 (2012-2014)における除名。
  • 西村眞悟(2013年):従軍慰安婦問題を巡る不適切発言。民主党在籍時に続き、自身2度目の除名(除籍)。その後、太陽の党を結党し代表。
以下、維新の党における除名。
以下、おおさか維新の会および現・日本維新の会における除名。
日本共産党
日本共産党においては、1990年以降は除名処分となる者が減り、代わりに「除籍措置」となることが増えてきた。

戦後の日本共産党における著名人および古参活動家の除名、除籍

1950年代から60年代にかけての日本共産党では、武装闘争路線の継続を目指すなどの分派行為によって多数の除名者を出してきた。

これら除名者が改悛した場合を想定して、党規約54条後段には「除名された人の再入党は、中央委員会が決定する」という規定がある。ただし、除名決定の多くが中央委員会によってなされていることもあり(都道府県委員会や支部など下級機関による除名決定もあり得る)、除名を覆すことは困難である[7]

除名は党規約54条の前段に「最も慎重に行わなくてはならない」と規定されている通り明確な反党行為が必要だが、除籍は「党員としての資格に欠けるか党の信頼を損ねた」というという理由で可能である。また10条該当党員に対する支部や地区の決定による除籍では都道府県委員会による再入党決定という形で覆すこともできるが、反指導部的な理由でより上級の組織(都道府県ないしは中央)が除籍を決定した場合は対応が異なり事実上覆せない。その決定的な違いとして除名に認められている再審請求が除籍ではできないことが挙げられる。これは除籍の対象になった者から反論の機会を奪うという点で組織側に有利と判断されている。

なお、路線対立を理由とせず、贈収賄など議員・党員として相応しくない行為を理由とした除名・除籍も行なわれている。

政党の除名における訴訟事件


  1. ^ a b 美濃部達吉著 『憲法撮要 改訂第5版』 有斐閣、1926年(1999年復刻版)、443頁
  2. ^ 厳密には、除名より一段階下の除籍処分。
  3. ^ 立憲、高井衆院議員を除籍 コロナ渦中に「性風俗店」 - 時事ドットコム 2020年4月15日
  4. ^ 第16回総務会を臨時開催 - 国民民主党 2018年8月21日
  5. ^ “国民民主党、柚木道義氏を除名 離党届受理せず”. 産経新聞. (2018年8月22日). http://www.sankei.com/politics/news/180822/plt1808220016-n1.html 2018年8月22日閲覧。 
  6. ^ 第21回総務会で新たに参院3人、衆院1人の公認を内定 - 国民民主党(ニュース)2018年10月24日
  7. ^ フジテレビ12日夜放映「完全再現!北朝鮮拉致“25年目の真実”」「ノンフィクションドラマ」を謳った番組は日本共産党に関する事実をどう偽ったか - 日本共産党公式ホームページ 2010年5月31日閲覧)
  8. ^ 堤は作家に専念した後の2000年代にもしんぶん赤旗の対談に登場するなど、生涯に渡り党との友好関係を維持し続けたがこれは極めて異例である。
  9. ^ 1976年、愛知県委員会から機関罷免処分を受けた宮地は第14回党大会に再審を請求したが、大会はこれを審議せずに却下した。さらに宮地はこの問題を司法の場に出したため、中央委員会は「党内部の問題は党内で解決する」と定めた党規約5条に違反するという理由で宮地を除名した。
  10. ^ 日本プロフェッショナル野球協約全文 - 労働組合日本プロ野球選手会公式ホームページ。
  11. ^ 巨人賭博3選手追放 NPBが無期失格処分の厳罰 - 日刊スポーツ 2015年11月11日付け1面。
  12. ^ 田丸一男のことばエッセイ 無期失格・永久失格 - 毎日放送ホームページ、2015年11月10日更新。
  13. ^ 日本学生野球憲章30条の3。
  14. ^ 憲章29条の2。
  15. ^ 憲章29条の3。
  16. ^ 愛媛・吉田の部長ら除名 学生野球審査室会議 - 47NEWS 2002年12月9日掲載。
  17. ^ 覚せい剤使用した弥栄の部長を除名…審査室会議で13件処分 - スポーツ報知 2011年12月8日付
  18. ^ 東陵高、8月21日まで対外試合禁止=早稲田実高部長は謹慎-学生野球協会 - 時事ドットコム 2015年4月16日掲載。
  19. ^ 登録規程 - 日本野球連盟ホームページ。
  20. ^ 講道館倫理規程 - 講道館ホームページ。
  21. ^ 柔道の段位取り消しも 講道館、倫理規程に盛る - 朝日新聞デジタル 2013年4月13日閲覧。
  22. ^ 講道館を通じて柔道競技に関わった競技者および指導者全体を指す。
  23. ^ 創価学会:基本情報・会則 - 創価学会公式ホームページ。
  24. ^ 座談会 栄光の学会創立75周年 42 - cobatch's Favorite 2010年6月11日閲覧、聖教新聞2005年8月26日付4面掲載の再録。当時の創価学会理事長青木亨の発言より。
  25. ^ 「しんぶん赤旗」2003年05月15日〜5月17日付け
  26. ^ Alephの紹介 Q&A
  27. ^ 「ひかりの輪」会則


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