時間割 時間割の概要

時間割

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/22 09:52 UTC 版)

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概要

学校教育の分野においては時間<月曜日の1限、木曜の5限など>と空間<授業など行う教員、授業に参加する生徒、実施する場所(教室・体育館・理科室など)>の都合を調整し割り当てていくことで、指導要領の授業時数・単位が履修でき、学校業務を適切に運用するための概念である。

時間割の基本原理

時間割は一般的に次のようなルールに基づき運用される。

時間割のルール

原理・法則として下記のことが挙げられる。

  • 中学・高校など一般的な学校の場合、生徒に空き時間を作ってはいけない。(生徒はどこかで必ず何らかの授業を受けている必要がある。)
  • 一人の教員が同一時間帯に2つ以上の業務ができない。(A先生が、1-1の国語と、1-7の国語を同じ時間帯に教えられない。)
  • 同じ教員が、指定の単位数、同じ講座を受け持つこと。(週3時間の現代文を、日によって違う先生という訳にはいかない。理系の古典は週2時間で文系の古典は4時間など、指定された単位数を確保しなければならない。)
  • 授業を行う場所を確保すること。(体育のグラウンド・体育館の重複を防ぐこと。分割・選択授業での部屋、理科の実験室、音楽室、書道室など重複できない部屋の調整。)
  • 体育・選択科目・少人数授業など複数のクラスで合同となったり、幾つかの生徒集団に分かれて授業を行う場合の都合調整(3-1と3-2の体育を合同でやる場合、男子の担当と女子の担当が持ち、なおかつ3-1も3-2も同じ時間帯に体育の設定しなければならない)
  • 各種会議(学年会・教科部会)及び出張、非常勤講師の非番の時間帯、校内巡視など授業以外の学校業務・教員の都合にも配慮して設定。(たとえば火・水・金曜日しか出勤しない非常勤講師に、月曜や木曜に授業を入れてはいけない)
  • 各教科の特性にも配慮。(技術・家庭科は木工作業・調理実習などを行うため2時間連続にて編成する。1-4は木1と木2は連続で美術など)
  • 可能な限り偏りなくバランスのとれた編成が必要となる。(例:先生は午前中に1時間は空き時間をつくる。同じクラスの同じ講座が午後に偏る。月5、火7、水6、金5が国語総合、といった偏りを極力減らすなど。)
  • 学活、総合、LHRなどの授業は、学年集会・全校集会が実施できるよう、同じ時間帯に設定する場合がある。(水5は3年生は全クラス総合。など)
  • 各先生の担当科目・学年・講座・時間数は、年度当初に教科部会(同じ教科の先生が集まる会議)で決められるので、各教科部会で決められた通りに教科担任割りを作成せねばならない。よほど特殊な場合を除き、担任が自分のクラスの授業を担当する。(2-5の担任は社会のA先生という場合、2-5の社会は当然A先生が教える。B先生が持つことはない。)

時間割の具象化

  • 生徒向けに年度当初配布される、クラス時間割(生徒用時間割)は、月1…数学、月2…英語、月3…現社、といった具合に示される。
  • それとは別に、教員別時間割は、月1…空き、月2…3-4政経、月3…1-7現社、月4…空き、といった具合に示される。
  • 理科室や少人数教室など部屋別時間割も存在する。月1…1-3数学A先生、月2…2-6英語C先生、月3…1-2数学G先生、といった具合に示される。
  • すべてを1枚の平面にまとめたものがコマ盤である。月1、月2、…、金6の時間と、A先生、H先生、K先生…の教員時間割との表となる。時間割の作成・変更は通常このコマ盤にて行われる。

時間割の運用形式

曜日固定方式は一般に広く知られている時間割の方式である。1週間をいくつかの授業時間(単位時間)に分け、それぞれの時間に対して1つの教科等を割り振る。例えば「火曜日の1時間目は体育、2時間目は音楽、…」という具合である。曜日ごとに時間割が定められているため、一度決まってしまえばパターン化されるため、臨時に時間割が変更されることがない限り、混乱が生じることはないとされる。祝日法改正によって生じたハッピーマンデー制度により、月・金など特定の曜日の授業実施が滞り、授業時間が不足するという問題がある。これに対しては別の曜日の日に振り替える(例:月曜日が祝日の場合、火曜に月曜の時間割を代入して実施)、期末に臨時の時間割を作成して補完するなどの対策が講じられる。

巻紙方式(テープスライド方式、スライドテープ方式)は、授業科目と番号を対応させる様式の時間割表を用いて管理する時間割の方式である。実際に生徒に配布される時間割表が一本の巻紙(テープ)上に科目を配置したような様式であり、順番にスライドさせるように開講されるためこのように呼ばれる。時間割表はおよそ30前後の授業番号枠で構成されたクラス別の固定リストと定期的に配布される全校共通の曜日別時間割の2種類を組み合わせて用いられる。前者は「1年1組の1番は音楽、2番は体育……32番は美術」のように番号と教科を対応させる形になっており、後者は通常の時間割に似ているが科目の代わりに「4月10日の1限は1番、4月10日の2限は2番……4月14日の6限は30番」のように番号が記載されている点が異なる。概ね番号順に配置されるが、一部の教師のスケジュールの都合で入れ替えられることがある。曜日別時間割は全校共通であるため、こちらを入れ替えるとすべての学級に影響が及ぶが、組み合わせを考慮する必要がないというメリットがある。

特定曜日が休みになることによる授業進度の偏りが生じない、上記のように時間割入れ替えが簡便であるなどの利点はあるが、例えば曜日固定方式の場合「木6」と「金1」などの設定が可能なのに対し、同じ教科が近い番号に割当てられると同日に同じ科目が二度開講されるという事態が発生するなどといった特有の問題がある。これを防ぐため、同じ教科は6ないし7以上の距離をおくという処置が必要など、曜日固定方式とは違った配慮が求められる。予定表の変更では隣接するテープ番号の順番を入れ替える程度であれば悪影響はほぼないが(隣接する番号は異なった科目であることが求められるため)、ある学級で家庭科の実習を2限連続して実施するために予定表の番号を入れ替えると、他の学級でも連続開講される事態が発生する可能性があるなど柔軟性に欠ける面もある。また、毎日組み合わせが異なるためこまめに時間割を確認してから生活しなくてはならないなど不便など問題も少なくない。このように癖の強い方式であるがゆえに、これを採用している学校は、仙台の一部の中学など極めてまれである。




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