新潟県 経済・産業

新潟県

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/18 05:34 UTC 版)

経済・産業

2016年(平成28年)度の県内総生産は名目8兆8840億円である[36]。世界の過半数の国の GDP より大きな規模を有している。県民所得は6兆4596億円であり[36]、一人当たり県民所得は282.6万円である[36]

第一次産業

農林水産業

はざ木のある田園風景

主要な産業としては農業が挙げられる。作(コシヒカリ)が中心で、コシヒカリの収穫量は日本一である[37]。特に魚沼地方で栽培されるコシヒカリは「魚沼産コシヒカリ」として食味日本一の評価を受けるトップブランドであり、日本一のどころであるといえる。また、米に関連して米菓煎餅あられなど)の生産額も日本一、日本酒兵庫県京都府に次ぐ第3位で酒蔵数は日本一である。米の生産が多いため、米粉の研究を行っており、研究を利用して製品を販売する新潟製粉に出資している。

米以外では、茄子枝豆の作付面積が日本一。また、チューリップ西瓜の栽培も盛んである。

漁業も盛んであり、蒲鉾など魚肉練り製品も有力である。

養鯉

小千谷市の錦鯉

錦鯉は19世紀に、現在の小千谷市と長岡市(山古志地域)を中心とする地域で飼育が始まったと考えられている。 現在は錦鯉の養鯉が盛んに行われている。

第二次産業

工業

北陸工業地域の中心的存在でもある。

三条市や燕市では刃物、金物、洋食器などの製造が盛ん。

製造業

県内では石油ストーブ石油ファンヒーターといった石油燃焼器具の生産が大きい。

軽工業

他には金属製品の生産が多い。燕市・三条市の金属食器は国内シェアの9割を持ち、機械部品では、非鉄金属材料の加工に強みをもつ企業が多い。はさみ包丁スパナなどの金属工具も大阪府に次ぐ2位である。

繊維産業では、ニットの生産高が日本一である。しかし近年は、人件費の安さを求めた生産拠点の海外移転や価格の安い外国勢(中国や東南アジア諸国など)に押され気味である。

1989年(平成元年)には工場立地件数で日本一になったこともある。

鉱業

佐渡金山
南長岡ガス田
金鉱

かつて佐渡島には金・銀の鉱脈が分布しており(佐渡金山を参照)、最大規模の相川金銀山を中心に近世から近代にかけて盛んに採掘が行われたが、1989年(平成元年)に閉山された。

原油

日本で数少ない原油の生産地であり、古くから石油を産出していたことで知られている。近代ごろを中心に尼瀬油田出雲崎町)や東山油田長岡市)、新津油田新潟市秋葉区)など各地で採掘が行われていた。現在でも新潟県は原油の産出量が日本最大であり、日本国内の石油産出量のほとんどを占める産油県である。

近代以降、新潟県内では数多くの石油会社が設立された。主なものとして、日本石油(現、ENEOS)、昭和石油(後の昭和シェル石油)、大協石油(現、コスモ石油)など現代の石油元売大手に連なる企業が新潟県で創業した。

天然ガス

現在では天然ガスの採掘が盛んであり、南長岡ガス田(長岡市)、片貝ガス田小千谷市)、岩船沖油ガス田胎内市沖)などで採掘が進められている。東新潟油ガス田(新潟市北区)、西蒲原ガス田(新潟市西蒲区)、中条ガス田(胎内市)では水溶性天然ガスを分離した後の地下水から国内生産量の10%にあたるヨウ素も採取されている[38][39][40][41]。 天然ガスの産出量は日本最大である。

発電

発電では、信濃川流域や阿賀野川流域に大規模水力発電所が立地している。また柏崎市刈羽郡刈羽村にある東京電力ホールディングス柏崎刈羽原子力発電所は、原子力発電所としては世界最大の出力である。他に上越市直江津地区では、東北電力JERAが共同で操業する上越火力発電所がある。

第三次産業

卸売業、小売業

新潟県内の事業所による年間商品販売額は、卸売業、小売業の合計で全国第14位である(平成26年度)。まだ事業者数は第12位、従業員数は第14位である。

上越地方のスキー場

観光業

多くの温泉地、海水浴場を抱えており、都道府県別で温泉地数が第3位、海水浴場数も第3位である。

日本有数の積雪地帯である中越地方上越地方の山間部ではスキー場が多く立地している。 バブル崩壊直後の1993年(平成5年)ごろを境にスキーブームは過ぎ去り、スキー客は2000年代以降減少傾向にある。 この影響により、閉鎖されるスキー場も見られるようになった。(詳細は日本のスキー場一覧#新潟県を参照)。 近年ではスノーリゾートのリノベーションが進められたり、上越地方北陸新幹線が開業するなど、沿線自治体と共に産官学連携で経済対策が模索される。

よく「新潟県人はスキーをあまりしない」と言われる[要出典]が、冬季の厳しい豪雪下の生活を知る県民にとっては「雪=辛いもの」というイメージが強い。つまりスキー客の大半は滅多に銀世界にならない首都圏などからの集客によるところも大きかったという側面がある。今後は「雪を生かした観光」を目指し、新たな観光システムを構築されている。


注釈

  1. ^ 寺泊は2000年 - 2020年、松浜は2003年 - 2020年
  2. ^ 新潟県教育委員会編纂「私たちの新潟県」で佐渡地方を下越地方に含めるとする見解が示されたことも一時期あった。
  3. ^ 後述の広域市町村圏とは燕市・弥彦村など一部が異なる。
  4. ^ より正確には、1876年に現在の富山県に相当する『新川県』が石川県に併合された。また同年、現在の福井県にほぼ相当する『敦賀県』が南北(嶺南嶺北)に分割され、嶺南が滋賀県、嶺北が石川県へと併合された。
  5. ^ より正確には、1881年に福井県が独立、1883年に富山県が独立した。
  6. ^ より詳細には、それ以前までの「大阪府」は現在の大阪府の北半分の範囲であり、現在の大阪府の南半分は当時『堺県』が管轄した。堺県はまた現在の奈良県大和国)の全域も管轄していた。そして1881年に大阪府が堺県を併合したため、現在の大阪府および奈良県の全域を管轄することとなった。
  7. ^ 開局から2019年9月までの社名は株式会社新潟総合テレビ。
  8. ^ 新潟駅 - 新津駅内野駅豊栄駅
  9. ^ a b 語頭の「に」が国際音声記号では [ɲi] で示され硬口蓋鼻音が用いられていることになっているが、実際は口蓋化した歯茎鼻音[nʲi] であるとも。

出典

  1. ^ 錦鯉を「県の鑑賞魚」に指定します”. 新潟県広報広聴課 (2017年3月29日). 2019年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年5月9日閲覧。
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