斜頭症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/11 06:08 UTC 版)
外見への影響
顔面変形
位置的頭蓋変形症は顔面変形を伴うので、『位置的頭蓋顔面変形症』と呼称されることもある[22]。斜頭症は、特有の非対称的な顔面になりやすい。
歯列異常
歯列異常を発症する可能性がある[20]。
日常生活への影響
自転車用のヘルメットが合わなかったり、耳の位置が左右でずれているため眼鏡が上手くかけられない場合もある。 また、その見た目から学校などで苛めの対象になることもある。
予防
頭位性斜頭症には、以下のような予防法がある。
タミータイム
タミータイム(英:tummy time)とは、乳幼児が起きているときに、保護者などの厳重な監督のもとで、乳幼児を腹ばいにして過ごさせる方法のこと[23]。
体位変換法(リポジショニング)
体位変換法(英:repositioning)とは、乳幼児の頭の同じ位置ばかりが下に来ないように、乳幼児の体位を変える方法のこと[24]。 治療法としても有効である。
治療
どちらの斜頭症も治療が必要である。厚生労働省の医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会においても以下のように記載されている。
非頭蓋縫合早期癒合症による乳児頭蓋変形の軽症例では定頸や発達に伴って改善するが、中等度以上では就寝時の向き癖が治らずに平坦部に持続的な頭部自重がかかるために、頭蓋の変形が増悪、固定化すると考えられている。 — 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について
- 厚生労働省
外科治療
骨癒合性斜頭症では、外科治療を行うのが一般的である。
ヘルメット治療
頭位性斜頭症では、頭蓋形状矯正ヘルメットによって矯正治療を行うのが一般的である。 大学病院等で、治療がなされる場合が多い。[25]。 治療できるのは定頸する生後3カ月から大泉門が閉鎖する生後18カ月までとされている。至適開始時期については、生後5~6カ月といわれている。治療開始後に、医師が主導となって健診やヘルメット調整を行う場合と、技師(義肢装具士)が主導となってヘルメット調整を行う場合とに分かれる。 国産第一号:アイメット(Aimet)、大学病院取扱数国内一位:クルム(Qurum)などがある。
骨癒合性斜頭症でも、術後にヘルメット治療を行う場合がある[26]。
ヘルメット治療については、厚生労働省の医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において以下のように記載されている。
筋性斜頸に伴う頭蓋変形はもちろん、その他の頭蓋変形に対して簡便で安全、より効果的な治療が可能となり、患者・保護者の肉体的・精神的な負担の観点から、既存の治療法よりすぐれていると考えられる — 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について
- 厚生労働省
日本で流通しているヘルメットは以下の通り。
- アイメット(英: Aimet)[27]
- クルム (英: Qurum)[28]
- ベビーバンド[29]
- ミシガン頭蓋形状矯正ヘルメット(ミシガン大学式頭蓋形状誘導ヘルメット、英:Michigan Cranial Reshaping Orthosis)
- スターバンド(英:STARband)[30]
子どもが頭位性斜頭症である著名人
ブログ等で子どもが頭位性斜頭症であることを公表している著名人は次の通り。
- ^ a b Elements of morphology: Standard terminology for the head and face
- ^ a b 日本小児遺伝学会「国際基準に基づく小奇形アトラス 形態異常の記載法 ―写真と用語の解説」
- ^ Laughlin, J.; Luerssen, T. G.; Dias, M. S.; Committee On Practice Ambulatory Medicine (2011). "Prevention and Management of Positional Skull Deformities in Infants". Pediatrics. 128 (6): 1236–41. doi:10.1542/peds.2011-2220. PMID 22123884.
- ^ たとえば、Is plagiocephaly the parents fault? - BabyCenter
- ^ a b 第22回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会について - 厚生労働省
- ^ 高槻病院 赤ちゃんの頭の形外来参照
- ^ 川口幸義・松下明成・河合尚志・古田千事「斜位乳児のハンドリングの指導について」
- ^ PMID 18678803
- ^ PMID 23837184
- ^ Choices, NHS. "Plagiocephaly and brachycephaly (flat head syndrome) - NHS Choices". www.nhs.uk. Retrieved 2016-05-30.
- ^ 三宅裕治「新生児の頭蓋変形と骨盤位の関係」
- ^ 三河春樹・小西行郎・鈴木茂夫・鈴木順子「低出生体重児における斜頭とinfantile scoliosisについて」
- ^ Martiniuk, Alexandra L. C. PhD; Vujovich-Dunn, Cassandra MIS, MIPH, PhD; Park, Miles PhD; Yu, William MBBS, MMed (ClinEpi), BSc; Lucas, Barbara R. MPH, PhD″Plagiocephaly and Developmental Delay: A Systematic Review″
- ^ Flat head syndrome linked to motor, language and cognitive delays - The George Institute for Global Health
- ^ PMID 16222180
- ^ PMID 16404269
- ^ PMID 20156894
- ^ Development at Age 36 Months in Children With Deformational PlagiocephalyPMID 23266929
- ^ PMID 10654986
- ^ a b c d e 医院紹介 - AHS Japan
- ^ Binkiewicz-Glińska A, Mianowska A, Sokołów M, Reńska A, Ruckeman-Dziurdzińska K, Bakuła S, Kozłowska E“Early diagnosis and treatment of children with skull deformations. The challenge of modern medicine.”PMID 28216483
- ^ 藍原康雄「乳幼児における位置的頭蓋顔面変形症に対するMolding Helmet治療の有用性」(医学のあゆみ 243(10): 916 -917 2012)
- ^ 阪下和美『正常ですで終わらせない!子どものヘルス・スーパービジョン』(東京医学社、2017/4/15、ISBN 978-4885632761)pp89‐90。
- ^ Cleveland Clinic(クリーブランド・クリニック)"Repositioning Techniques for Infants"
- ^ 東京女子医科大学 脳神経外科 頭蓋変形外来
- ^ 高槻病院 赤ちゃんの頭の形外来
- ^ 日本生まれの完全オーダーメイドなヘルメット アイメット - アイメット(Aimet)
- ^ 赤ちゃんの未来まで|日本製頭蓋矯正ヘルメット クルム - クルム(Qurum)-
- ^ “ベビーバンド 頭の形を治療する頭蓋形状矯正ヘルメット”. ベビーバンド(babyband) - 頭蓋形状矯正ヘルメット. 株式会社Berry. 2022年7月29日閲覧。
- ^ スターバンド - AHS Japan
- ^ 「ヘルメット」 - 秋山莉奈オフィシャルブログ
- ^ 「頭の形外来」 - 大渕愛子オフィシャルブログ
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