揚屋 (遊廓)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/18 23:43 UTC 版)
揚屋差紙
客が揚屋である太夫を名指しで招こうとするとき、揚屋はその太夫の名を伝票に記入し、これをその太夫のいる妓楼にもたせてやると、その娼家ではこれとひきかえに、その遊女を、その揚屋におくる。その伝票、公翰を揚屋差紙(あげやさしがみ)といった。
「吉原雑話」さし紙の条に示されているのをあげれば、
- 一貴殿御かかへの長門どの御ひまに候はば
- 御かり申たく候御客の儀は慥成る御方にて
- 御法度の御客にては無御座候為念如件
- 月 日
- 揚屋清十郎(印)
- 月行事善右衛門(印)
- 三浦屋四郎左衛門殿
人気の高い太夫になれば、この名指しの客が多いから、とつぜん揚屋に行っても会えないことがある。そこで有名な太夫はあらかじめ日を決めて、約束をして申し込んだ。これを兼約といった。
なお、京阪ではのちに公許、非公許ともに新たに遊女、芸子をかかえたときに、茶屋あるいは呼び屋へ配った報帖を、差紙といった。 たとえば、
- 本素人出 千種屋
- 天 神 八重梅
では、天神はその遊女の妓品であり、千草屋はその置屋すなわち妓楼の名であり、八重梅はその遊女の名である。肩書きに本素人出とあるのはその遊女の前身であり、しかしこれは虚々実々というべきであり、客の心をそそるためであったという。
揚屋と茶屋の違い
もっともわかりやすい違いは、大規模の宴席に対応できる台所があるかないか。揚屋では宴席に出す料理を台所で作っていた。 現代の「料亭」(特に割烹料亭)の元祖といえる。「茶屋」では料理は作らず、外注し、取り寄せる。
関連項目
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