悔悛するマグダラのマリア (ティツィアーノ、ナポリ) 歴史

悔悛するマグダラのマリア (ティツィアーノ、ナポリ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/16 22:34 UTC 版)

歴史

ローマファルネーゼ宮殿の1644年と1653年の目録には本作が記載され、ティツィアーノに帰属されている[3]。以後、作品はパルマに移され、1680年にジャルディーノ英語版宮殿で、その後、ピロッタ宮殿英語版で記録された (どちらもファルネーゼ家の住居)[2][3]。ピロッタ宮殿に所蔵されていた時、作品は、1725年にリチャードソン (Richardson) によって出版された、パルマにあった最も著名な作品の『記述』 (Descrizionoe) で言及された[8]

1734年、本作『悔悛するマグダラのマリア』とファルネーゼ家のコレクションは、一家の最後の遺産相続者エリザベッタ・ファルネーゼと彼女の息子カルロス3世 (スペイン王) に継承された後すぐにナポリに移された[2][8]。1765年まで、本作はカポディモンテ宮殿にあったことが記録され、1783年に宮殿に戻されるまで王宮 (ナポリ) の部屋に移された[8]。1799年、パルテノペア共和国が宣言されると、フランス軍はカポディモンテ宮殿 (当時はファルネーゼ家のコレクションのみを展示していた) から『悔悛するマグダラのマリア』を含約300点の絵画を略奪した[2][8]。1800年に、フェルディナンド1世 (両シチリア王) は、使者のドメニコ・ヴェヌーティ (Domenico Venuti) にナポリから奪われた全作品を取り戻すよう命じた。翌年、ヴェヌーティは『悔悛するマグダラのマリア』と『アレッサンドロ・ファルネーゼ枢機卿の肖像』をなんとか見つけ出した[2]。前者は、フランスがイタリアで略奪した他の作品とともにパリに運ぶため、ローマのサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会の倉庫に置かれていた状態で見つかった[8]

『悔悛するマグダラのマリア』は一時的にナポリのフランカヴィラ宮殿英語版に掛けられていた。しかし、フランスが1806年にナポリ王国を創立すると、フェルナンドはパレルモに逃げることを余儀なくされ、敵の手に渡らないよう、ティツィアーノの『悔悛するマグダラのマリア』、『教皇パウルス3世の肖像』、『教皇パウルス3世とその孫たち』と『ダナエ』をパレルモに携行していった[2][8]。1815年に、ブルボン家が再興されると、本作はカポディモンテ宮殿に戻された[2][8]


  1. ^ (イタリア語) AA. VV., I Farnese. Arte e collezionismo, Milano, Editrice Electa, 1995, ISBN 978-8843551323, page 219
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x ナポリ宮廷と美 カポディモンテ美術館展-ルネサンスからバロックまで-、2010年、74頁。
  3. ^ a b c d e f g h i (イタリア語) AA. VV., I Farnese. Arte e collezionismo, Milano, Editrice Electa, 1995, ISBN 978-8843551323, p. 217
  4. ^ a b 『名画で読み解く「聖書」』 2013年、138頁。
  5. ^ 国立西洋美術館 1986, p. 179-180.
  6. ^ (イタリア語) CATALOGO • BENI STORICI E ARTISTICI - Maddalena - DIPINTO, ca 1550 - ca 1550”. Catalogo generale dei Beni Culturali. 2023年11月1日閲覧。
  7. ^ (イタリア語) "La Maddalena Penitente" di Tiziano”. 2022年10月15日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g (イタリア語) AA. VV., I Farnese. Arte e collezionismo, Milano, Editrice Electa, 1995, ISBN 978-8843551323, p. 218





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  悔悛するマグダラのマリア (ティツィアーノ、ナポリ)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

悔悛するマグダラのマリア (ティツィアーノ、ナポリ)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



悔悛するマグダラのマリア (ティツィアーノ、ナポリ)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの悔悛するマグダラのマリア (ティツィアーノ、ナポリ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS