建築確認
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/19 22:55 UTC 版)
建築確認と許可の違い
許可とは、原則として禁止 された行為を、特定の人に対して、その原則に反して行為を認めるもので、例外措置である。許可は条文上、することができる ものであり、理論上は、行政は任意に許可しないこともでき、これは(理論上は)合法である(条文に「許可しなければならない」と記述されているものは除く)。
それに対し、建築基準法のみに限って言えば、建築基準法に適合した建築行為は禁止されておらず、誰であれ、適法な建築物を自由に建築できる。従って、建築行為には許可制度は馴染まないとされる。
判例においては、建築工事が完了すれば、建築確認に対する取消訴訟の訴えの利益は消滅することが判示されている[8]。
建築基準関係規定
建築確認の際に、適合させる必要がある法令の規定を建築基準関係規定という。具体的には建築基準法、同法に基づく命令及び条例の規定(「建築基準法令の規定」)のほか、建築基準法施行令第9条に規定される各法令(消防法、屋外広告物法、都市計画法等の一部)の規定である[9]。
建築確認では、建築基準法以外の問題を理由に確認を保留することは違法である。理論上は、計画が適法でありさえすればよく、その実現可能性は問われない。このように建築基準法では、行政側にも「適法な計画を妨害しないこと」を求めている。建築行為はあくまで個人の問題であり、行政の過大な介入を禁じることも目的としている。現実には、実現可能性が低い計画や、周囲の状況と比較して矛盾や重大な疑義のある計画については、行政指導の範囲で確認を保留するケースが見られる。[要出典]
建築確認は建築基準関係規定に適合するかどうかを審査するもので、あらゆる法令に適合するかを審査する訳ではない。例えば民法では、建物を境界線から50センチメートル以上離すよう規定されている[10]が、民法は建築基準関係規定ではない。建築確認を通ってしまった場合は当事者が民事で争わなくてはならない。また、建築基準法以外の問題から訴訟に発展した国立マンション訴訟のようなケースもある。
かつては一部の建築物に対して法令上は要求がなくとも周辺住民との調整などを求め、それ無しには建築確認を行わない特定行政庁も存在した。行政指導の範囲を超えた要求は判例で違法とされたこともある[11]。現在では、指定確認検査機関による建築確認が行われるようになり、申請者側がその様な特定行政庁への建築確認申請を回避することが出来るようになったため、このような行為は不可能になっている。
脚注
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