吾輩はシャーロック・ホームズである
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/31 00:22 UTC 版)
内容
英文学の研究に押しつぶされて、神経衰弱になった夏目漱石は、クレイグ先生から軽い小説を読むことを勧められる。そこでシャーロック・ホームズシリーズを読み込んだ漱石は[1]、自分がホームズだという妄想にとらわれてしまい、ワトソン博士のところへつれてこられる。ワトソン博士とともに参加した降霊会で霊媒師が変死するという事件が起こり、漱石はワトソン博士とこの事件を捜査する。殺人の背景にボーア戦争での出来事が影をおとしている。
漱石の「自転車日記」やロンドンでの俳句会などの記述が盛り込まれる。小説のなかで、「僕が何か面白いものを書いたとしよう。それで少しは名前が知られるようにでもなれば、世の人たちは僕の書いたものを読もうともせず、僕がどんな人物なのか、そのことばかりを知りたがるようになるんだ」といううんざりするような事態が生じるだろう、と漱石が予言するというネタが含まれる。
書誌情報
- 「吾輩はシャーロック・ホームズである」 小学館(2005年11月)ISBN 409387624X
- 「吾輩はシャーロック・ホームズである」 角川文庫(2009年9月)ISBN 4043829035
- ^ 秋山豊(岩波書店の「夏目漱石全集」(1994年刊行開始版)の編集に従事した人物)の『漱石の森を歩く』によれば、ロンドン留学中に漱石が購入した書籍は「新書レベル」で当時イギリスで流行したアーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズへの言及がないことなどから漱石の鑑賞眼を批判されたが、留学中の漱石のノートにドイルの冒険小説『勇将ジェラールの回想』の一節が抜書きされている。
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