労働党 (オランダ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/25 23:49 UTC 版)
イデオロギー
伝統的に福祉国家建設を目指す社会主義政党を標榜してきた。1970年代は女性解放や環境保全及び第三世界への開発援助といった問題に取り組んでいたが、1990年代に入ると福祉国家改革や公営企業の民営化を掲げるなど方針が穏健化した。2005年には従来の新自由主義的政策を見直し、中道左派寄りの方針を採択したことにより、雇用や社会福祉のほか教育、治安および医療への公的投資を重視するようになった。
地方自治
全国414名の市長のうち約70名の党員市長を抱える。在任中の著名な市長としては、欧州主要都市で初のイスラム教徒の市長となったロッテルダムのアーメッド・アブターレブ市長らがいる。
選挙母体
歴史的に労働者階級の支持が厚く、現在は公務員や移民の間にも比較的支持が広がっている。アムステルダムやロッテルダムなど大都市やフローニンゲン、フリースラントおよびドレンテの北部各州で強い。
党組織
代表者会議
地方支部の代議員から構成される代表者会議が党最大の機関である。代表者会議は年1回開かれ、第一院、第二院および欧州議会の候補者を決定するほか、党の運営方針についての最終決定権を有する。2002年以降は全代議員によるレファレンダムが代表者会議に置き換わりつつあり、レファレンダムを通じて党首や議長が選出されている。
党員数
2022年時点での党員数は40,540人とされる[1]。
関連組織
- 若い社会主義者(蘭: Jonge Socialisten in de PvdA: JS):青年組織
- ウィアルディ・ベックマン財団(蘭: Wiardi Beckman Stichting):党シンクタンク。1946年2月5日設立[17]。第二次世界大戦前にSDAP所属の第一院議員で、戦時中はレジスタンスとして活動したウィアルディ・ベックマンの名が付けられた[18]。
- マックス・ヴァン・デル・ストゥール財団(蘭: Foundation Max van der Stoel):国際協力のための関連組織。党所属の元外相で国連大使などを務めた[19]
欧州議会の会派は社会民主進歩同盟に所属している。国際組織としては社会主義インターナショナルに加盟していたが、2013年に設立された進歩同盟に参加し、2014年に社会主義インターナショナルから脱退した。また、欧州社会党に加盟しており、1980年から1987年まではオランダ労働党のヨープ・デン・アイルが党首を務めた。
他党との関係
国内ではこれまでキリスト教民主主義政党のキリスト教民主アピールや急進党、リベラル政党の民主66や自由民主国民党などと連立政権を組んでいた。1971年から1977年までは民主66や急進党と、1977年から1989年までは民主66とそれぞれ連立政権を担当していたが、2003年以降は民主66との関係が悪化。民主66が与党の政権では労働党が野党となり、労働党が与党として参画している政権では民主66が野党であった。なお、第2次・第3次バルケネンデ政権では社会党やフルンリンクスとともに労働党も与党入りを打診されたが、党首が要請を断っている。
国際比較
1990年代のオランダ労働党(コック政権)の政策は「オランダ・モデル(ポルダー・モデル)」等と呼ばれ、第三の道の一類型として、同時期のイギリスの労働党(トニー・ブレア政権)やドイツの社会民主党(ゲアハルト・シュレーダー政権)などと共に論じられる。
脚注
- ^ a b “Partij van de Arbeid (PvdA)” (オランダ語). Documentatiecentrum Nederlandse Politieke Partijen (DNPP). 2022年5月3日閲覧。
- ^ “労働党[オランダとは ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典]”. コトバンク. 2022年5月3日閲覧。
- ^ “Parties & Organisations”. Progressive Alliance. 2022年5月3日閲覧。
- ^ “与党が第一党維持 オランダ総選挙 社会党は議席3倍”. しんぶん赤旗. (2006年11月24日) 2022年5月3日閲覧。
- ^ “欧州議会選挙、親EUの労働党が第1党に - ビジネス短信”. 日本貿易振興機構 (2019年5月28日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ “Labour leader Lilianne Ploumen quits: 'Leadership doesn't suit me'”. DutchNews.nl. (2022年4月12日) 2022年5月5日閲覧。
- ^ “オランダ下院選、第1党の極右党首が首相就任に意欲 連立難航も”. ロイター. (2023年11月24日) 2023年11月25日閲覧。
- ^ a b c 出典はオランダ選挙管理委員会(Kiesraad - verkiezingsuitslagen)掲載データ(2022年5月5日閲覧)
- ^ 州の人口に基づく投票価値係数で調整した後の値。
- ^ “Zetelverdeling in de Eerste Kamer 1917-nu” (オランダ語). Nederlandse verkiezingsuitslagen 1918-nu. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Eerste-Kamerverkiezingen - 25 mei 1999” (オランダ語). Nederlandse verkiezingsuitslagen 1918-nu. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Eerste-Kamerverkiezingen - 26 mei 2003” (オランダ語). Nederlandse verkiezingsuitslagen 1918-nu. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Eerste-Kamerverkiezingen - 29 mei 2007” (オランダ語). Nederlandse verkiezingsuitslagen 1918-nu. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Eerste-Kamerverkiezingen - 23 mei 2011” (オランダ語). Nederlandse verkiezingsuitslagen 1918-nu. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Eerste-Kamerverkiezingen - 26 mei 2015” (オランダ語). Nederlandse verkiezingsuitslagen 1918-nu. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Eerste-Kamerverkiezingen - 27 mei 2019” (オランダ語). Nederlandse verkiezingsuitslagen 1918-nu. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “Over de WBS” (オランダ語). Wiardi Beckman Stichting. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “H. B. Wiardi Beckman” (オランダ語). Wiardi Beckman Stichting. 2023年1月9日閲覧。
- ^ “About us” (英語). Foundation Max van der Stoel. 2023年1月9日閲覧。
- 労働党 (オランダ)のページへのリンク