円環少女 概要

円環少女

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/28 08:15 UTC 版)

概要

異世界から訪れる犯罪魔法使いたちを相手に、人知れず日夜治安維持のために戦い続ける非公式公務員の青年、武原仁と魔法使いの少女、鴉木メイゼル、そして滅びたはずの魔法大系を使える少女、倉本きずなを中心に21世紀初頭の日本を舞台に繰り広げられるバトルファンタジー。練りこまれた設定[4]と複雑な人間模様、シリアスなストーリー、泥沼の愛憎劇などが混在する。

この作品の特徴として超能力が登場する多くの他作品が「超能力者=超越者」であるのに対して、本作では地球人が魔法を観測すると魔法が破壊される「魔法消去」という現象が起こるため、多くの魔法使いが一般人に観測される事を恐れて身を隠しながら活動する(=一般人の方が超能力者より優位に立っている)という設定にある。また、地球人は自分たちが破壊する魔法を知覚することができないため、現代の日本を舞台にしながら一般人が魔法を知らないことの不自然さが解消されている。千を越える異世界のそれぞれに魔法大系があり、魔法使いは自分の生まれた世界に由来する魔法大系しか使うことができないため、使用できる能力に制約がついている。登場人物に変態、変人が大量に登場していることも特徴[5]

最終巻の発売後、作者のブログでは書ききれなかった設定などが公開され[6]、イラスト担当の深遊のブログでラフ等を公開している[7]

2018年10月31日発売の『ザ・スニーカー LEGEND』では、描き下ろし短編『運命のレール』が掲載された[8]

ストーリー

魔法使いたちから、この世は「地獄」と呼ばれている。この世の外側にある幾千の魔法世界にとっての自然現象である魔法を、この世界の人間は消し去ってしまうからだ。彼らにとってこの世界の人間は糞溜めの底の糞であり、そして「悪鬼」である。元の世界で罪を犯した魔法使いたちは、自らの犯した罪を償うため「刻印魔導師」とされ「地獄」へ落とされる。そこで協会に敵対する魔導師を100人倒すことで、彼らの罪は許される。しかし未だかつてそれを成しえた者は無く、誰もが志半ばで血溜りに伏していた。

「円環大系」の少女魔導士・鴉木メイゼルも、そんな刻印魔導師の一人である。幼すぎる彼女には、その試練はあまりにも辛い。しかし彼女は、その過酷な試練へ真っ向から立ち向かう。

バベル再臨
武原仁とメイゼルの標的に挙げられた、魔法で強盗殺人を繰り返す《鮮血公主》ジェルヴェーヌは、神へと通じる力を秘めた《幻影城》の鍵を奪った。一方、同じく《幻影城》を目的とする神聖騎士団の一隊は、歴史を書き換えられる再演大系魔導師として目覚めたばかりの倉本きずなを略取し、かつて騎士団の一員だったきずなの父・慈雄を始末しようとする。きずなは仁によって救われるが、現れたジェルヴェーヌが彼女の目の前で慈雄を殺して魔法の使用を促し、彼女に《幻影城》を呼び出させる。仁たちや神聖騎士団も城に突入し、三つ巴の戦いの末にジェルヴェーヌは討ち取られ、聖騎士エレオノールは捕縛される。きずなは仁に愛を告白し、メイゼルとともに十崎家で暮らすことになる。だが、実は生きていた慈雄こそ事件の真の黒幕であり、彼が仁に殺されたことをきずなはまだ知らなかった。
煉獄の虚神
メイゼルが最初に捕らえた相手である元刻印魔導師の浅利ケイツが脱獄した。それはケイツの双子の兄である、《協会》に宣戦布告した相似大系魔導師グレン・アザレイを仕留めるための罠だったが、グレンは生まれてすぐ引き離されて異世界に流された弟を救い、自らの強大な魔法の才能を伝授する。ケイツを再び捕らえようとしたメイゼルは力を得た彼に圧倒され、かろうじて仁に助けられる。メイゼルは魔導師としての矜持ゆえに足手まといになることが耐えられず、単身であろうとグレン討伐に向かうことを誓う。
グレンはこの世界を魔導師のものとするため「悪鬼」の殲滅を宣言する。だがケイツは、魔法世界で生きてきた兄が自分を差し置いてこの世界への憎悪を語るのが許せず、王子護ハウゼンに雇われて刺客となる。仁とメイゼル、そしてケイツは反目しながらも共闘し、グレンを討つ。
よるべなき鉄槌
ある日、仁のアパートに殉職した妹・舞花の遺した欠片である「泡」が飛んでくる。だが仁は過去を伏せて語らず、メイゼルらから不審がられる。そのころ《公館》にはグレン事件に関する重大な情報を握るという円環魔導師アラクネが現れていた。しかし彼女は別の円環魔導師の襲撃を受けて行方不明になる。メイゼルはきずなと寒川紀子を引き連れて「泡」の発生元と目星をつけた地下道に踏み込んでアラクネと出くわし、そのうえ神聖騎士団の襲撃を受ける。仁が地下に駆けつけると、王子護が率いるワイズマンまでもが戦闘に参加する。すべては先の大戦中、地下に持ち込まれた核爆弾をめぐる争いであり、アラクネはワイズマンが仕立て上げた人目を引くための囮に過ぎなかった。十崎京香が助っ人として送り込んだエレオノールが、騎士団の同胞に背くのを承知で紀子救出のために力を貸してくれたおかげで仁たちは生き延びたが、核爆弾はワイズマンの手に落ちる。
魔導師たちの迷宮
ワイズマンが奪取した核爆弾は、テロリスト国城田義一の手に渡った。さらに、きずなと神和瑞希がワイズマン狩猟魔導師中隊にさらわれる。仁は国木田を狙撃するが仕留め損ねる。勢いづいたワイズマンは刻印魔導師収容施設を襲撃するが、撃退される。再び《公館》に現れたアラクネは、かつての戦いで地下に逃げ込んで都市を造った刻印魔導師の子孫たちが狩猟魔導師中隊の構成員だと語る。街を調査中のメイゼルは国城田と組んだワイズマンに狙撃されて重傷を負い、仁は彼女の治療と引き換えに《公館》から離反するようアラクネとその背後にいた王子護から要求される。そのころ地下都市では、連れて来られたきずなと彷徨していたエレオノールが顔を合わせていた。そして地上では、国城田がテロの声明を発表していた。
太陽がくだけるとき
地下都市住民の殲滅を王子護から求められた仁は、職務放棄して武蔵野迷宮に潜る。裏切り者となった仁は《鬼火》東郷永光に斬られるが、なんとか地下都市にたどり着き、きずなと再会する。最低限の治療を受けた仁は、住民を地下から脱出させるため刻印魔導師を迎撃し《茨姫》オルガを退けるが、回復したメイゼルまでもが刻印魔導師として現れ、仁に敵対宣言をする。王子護が、地下の住民に家族の救出と引き換えに捨石となるよう取引を持ちかけてくるが、仁の介入で交渉は決裂する。神聖騎士団もまた襲撃してくる中、仁とメイゼルは和解して立ち向かう。神聖騎士団は核爆弾を発見するがそれは昔から地下にあった日本製のものであり、天井に隠された盗まれたほうの爆弾が爆発して《協会》の高位魔導師によって押さえ込まれる。思惑通り《協会》内の敵対勢力をその場に釘付けにした王子護は、仁に魔法消去で核爆発を解放してすべてを焼き払うよう強いるが、仁とメイゼルによって倒される。神聖騎士団は地下の住民を守るため離反を決意したエレオノールに撃退された。生き残った一同が地下鉄車両で脱出する途中、国城田の乗った車両に出くわして戦闘になる。国城田は警官隊に射殺され、狩猟魔導師中隊は逮捕された。仁はもう《公館》に戻れないが、ひとまず小学校教師に復帰する。
裏切りの天秤
《賢者の石》を目的に聖騎士将軍アンゼロッタが5000騎の軍勢を率いて東京に進攻してきた。ケイツから事態を知らされた仁は、きずなも狙われることを察知して彼女を高校から連れ出し、エレオノールの助けもあって一度目の襲撃を切り抜ける。しかし二度目の戦闘のとき、きずなの父・慈雄を知る騎士ベレーノとのやり取りで、仁が慈雄を殺したときずなに知られてしまう。仁を追ってその場にメイゼルが乱入する一方、思い悩むきずなは《幻影城》を呼び出して逃げ込む。アンゼロッタらも城内に踏み込んで乱戦となるが、仁は城そのものを崩壊に追い込むという荒業で脱出する。しかし辛くも生き延びた彼らが目にしたのは、燃え上がる《公館》だった。
公館陥落
《公館》に火を放ったのは《鬼火》東郷だった。日本の警察との連携を深める《公館》が完全に体制を変えてしまえば、従来の刻印魔導師の居場所はなくなる。そのため東郷は《鬼火衆》を率いて離反し、武蔵野の地下に最後の戦いを挑みに行ったのだった。仁は東郷の狙撃を依頼されるが、失敗して返り討ちにあう。しかしメイゼルの犬を自称するニガッタが《鬼火衆》を抜けて援護に入ったため、一命を取り留める。回復した仁はメイゼルとともに《雷神》クレペンスと遭遇する。一方ニガッタは命と引き換えに円環魔導師が地下に建造していた核開発施設の存在をつかむ。この世界の核戦争を誘発しようという円環大系最高位魔導師《九位》の企みを知った京香は、専任係官を送り込んでクレペンスの足止めと施設の破壊を試みる。地下最深部に到達した仁は再度東郷と対峙し、刻印魔導師に新しい居場所を創ってみせると宣言する。現れた《九位》が東郷を斃し、さらにその場の全員を抹殺しようとするが、メイゼルが母から受け継いだ《螺旋の化身》を発動したことで撤退する。仁は生き残りの《鬼火衆》をつれて地上に戻り、彼らの受け皿となるNPO設立の構想を練る。
運命の螺旋
仁がメイゼルや《鬼火衆》と暮らすアパートに、死んだはずの妹・舞花が幼い少女の姿で戻ってきた。とまどいながらも仁は妹を加えた生活を始めるが、きずなとの仲は修復できずにいた。そのような折、円環魔導師たちに対抗するため《公館》《協会》《連合》が会議を開くことになり、仁たちも出席する。《連合》の《導師》アリーセは、魔法使いを操る再演魔術こそ災いの元だときずなを非難する。次いで《九位》について発言を求められたメイゼルは、円環世界での出来事を語る。
メイゼルの母イリーズは、才能のない魔法使いでも連携することで高位魔導師に匹敵する力を発揮できる技術を広め、円環世界に革命をもたらした人物だった。《九位》は他の超高位魔導師たちとともにイリーズに立ち向かい、彼女を追い詰めた。イリーズは死と引き換えに、戦争で生じたゆがみの修正に現れた《神》を殺し、円環世界を《大崩落》に陥れた。メイゼルは母の罪を背負わされ《地獄》に送られたのだった。
会議の休憩中、円環魔導師が会場を襲撃する。仁とメイゼルが辛くも《雷神》クレペンスを撃退する一方、聖騎士に囲まれたきずなは自らの魔法で敵を殺して生き残る。聖騎士将軍アンゼロッタは、きずな確保のため京香に協力を持ちかける。申し出を拒もうとした京香にアンゼロッタが示したのは、太平洋上に浮かぶ島アトランチスと、その住人を自称する王子護の姿だった。
新世界の門
王子護が魔法を「アトランチス人の友情パワー」として世界中に喧伝したせいで、事態は国際問題に発展していた。《九位》は核戦争を起こすためアトランチスの占拠を企てる。仁はきずなたちを《幻影城》に退避させた後、メイゼルとともにアトランチスに乗り込み、電磁騎士団を迎え撃つ。神聖騎士団は《公館》の対円環魔導師戦を支援する一方で、きずな抹殺のため《幻影城》を襲撃する。仁はケイツや《逆天》ユリアと共闘して《九位》を捕縛するが、核ミサイルは発射されてしまう。追い詰められたきずなは、舞花の甘言に乗って彼女を再演魔導師へと変えるが、そのまま見捨てられる。絶望するきずなの前で再演魔法の《神》が世界に降臨し、核戦争を阻止する。
真なる悪鬼
《神》が現れたことで、世界には魔法の存在が認知された。未来から人々を操る再演魔術の力が強くなり、魔法消去は力を失いつつあった。神殺しの術を知るメイゼルは、神聖騎士団に重傷を負わせられる。仁はこの事態になすすべがなかったが、自然秩序に意識してチャンネルを合わせることで強化した魔法消去を発動し、未来に抗うことを決意したきずなの加勢もあってアンゼロッタを退ける。神聖騎士団側についていた舞花は、仁に別れを告げて姿を消す。
荒れ野の楽園
神聖騎士団は、舞花を人類滅亡後の未来に送り込むことで、再演魔術による歴史改変の力を極限まで高めようとしていた。京香は、その儀式の場所を武蔵野の地下だと突き止める。再演魔術で操られた《九位》、クレペンス、アリーセが侵入口に立ちはだかるが、離反した王子護を含む専任係官が集結し、仁たちを先に行かせる。仁はアンゼロッタの守りをも突破するが、一歩及ばず舞花は未来へ転送される。直後にメイゼルが《螺旋の化身》を発動したため時空が乱れ、戦闘は中断する。
作戦が失敗した後、きずなは仁に戦いを捨てて平穏に暮らそうと持ちかけるが、仁は彼女ではなくメイゼルを選ぶ。未来から操られて大勢の魔法使いが暴れだすが、《運命の化身》を発動したきずなによって、グレンやイリーズら、この歴史では死んだものたちが別の歴史から現れて対抗する。魔法消去が復活をはじめ、魔法使いによる混乱は一旦収束する。
“最後の魔法使い”となった遠未来のきずなによって舞花のもとに送り込まれた仁は、再演魔術の《増幅器》と化した妹と死闘を繰り広げ、相討ちとなる。歴史改変の力の源が消え、この世界は魔法使いと魔法消去者が共存する新時代を迎えるのだった。

登場人物

メインキャラクター

武原 仁(たけはら じん)
沈黙」(サイレンス)、「真なる悪鬼」(トゥルー・デーモン)
主人公。24歳。この時代唯一の「真なる悪鬼」であり、魔法消去を自分の意志で任意に発動・沈静できる先祖返りの悪鬼。格闘、銃器の扱いに長けており、精密な狙撃も得意とする。その発砲音より早い無音の死から、「沈黙」と恐れられている。
魔導師公館所属の専任係官として活動していたが、メイゼルと出会い幼い彼女を守るためコンビで動くようになる。しかし私生活での彼女の保護、監視のために無免許でメイゼルの通うことになった私立御陵甲小学校の6年1組の副担任をすることになってしまった。現在は公館を解雇され、単なる無免許教師となっている。
東郷との決闘、そして死をキッカケに「魔法使いが魔法使いらしく生きる世界を作る」という誓いを立て、魔法使いの支援を目的としたNPOを設立し、その代表に収まった。さらに東郷亡き後に残された《鬼火衆》を率い、「大将」「親分」と慕われている。ただし、《鬼火衆》たちは職が無く、自分も《公館》を解雇されている現状は変わらないために家計は火の車になっている。NPOとしては《公館》からの依頼という形で魔法世界に関わり、傭兵のような状態に。
銃を攻撃魔法、魔法消去を防御魔法に見立てた魔法使い戦術を用いて戦う。《公館》離脱後は、王子護から渡された神人遺物《剣》を多用するようになる。
終盤では再演の神降臨により全ての地獄特有魔法が弱まっていく中、意図的に魔法消去の自然秩序と「チャンネルを合わせる」ことで実時間を遡って作用するほどの効力を持つ最強の魔法消去を会得した。その後、高い武技を持つ真なる悪鬼であることから増幅器に対する刺客に選ばれ、「最後の魔法使い」となったきずなの手によって人類の死滅した極遠未来へ送られる。そこで再演の増幅器と化した妹・舞花に最後の戦いを挑む。
鴉木 メイゼル(あぎ メイゼル)
円環大系高位魔導師
もう一人の主人公にしてヒロインでもある刻印魔導師の少女。本名メイゼル・アリューシャ。円環世界における最強の魔導師・「憎悪の女王」イリーズ・アリューシャの一人娘であり、彼女の素性を知る人物からは「アリューシャの姫」などと呼ばれる。「神童」と呼ばれ、グレン・アザレイも天稟を認めるほど、魔術の才能に恵まれている。
幼いながらも魔法使いとしての誇りが強く、歴史上誰も為したことのない「百人討伐」を目指す。一方で小学生「鴉木メイゼル」としてのパーソナリティも強く、誇り高い魔法使いであることにもかかわらず、仁たち悪鬼に一切の偏見や憎悪を抱かない。
仁に立場の差を超越した愛情を抱くが、生来から嗜虐的な性癖を持つので、どこか歪んだ愛情表現で仁を悩ます。
誕生日は6月20日。本来は12歳前後であるが、年端もいかぬ少女を刻印魔導師とすることに対する批判を封じるため、「協会」の資料上は25歳となっている。この13年の年齢差は円環世界において時間が止まっていた間の時差を、協会側が修正せずに公館に提出したためだと考えられる。
最後の戦いの後、増幅器の破壊のために未来へと向かった仁に会うために、「もう」人間のいない世界の終わりと「まだ」人間のいない世界の始まりを繋げるという離れ業を成し遂げ、その瞬間まで時間を遡り仁と再会を果たした。メイゼルはこうして円環のように繋がった世界が円環世界の始まりかもしれないと推測している。
倉本 きずな(くらもと きずな)
再演大系魔導師
本編のもう一人のヒロイン。17歳の女子高生。60年前に滅んだはずの再演大系を使える唯一の人物。その力の危険性から「公館」に保護される。家事全般が得意で料理は絶品。人を惹きつける魅力を備えた少女。
公館に保護されてからは十崎家で暮らすようになり、家事全般を引き受ける母親的ポジションに落ち着く。メイゼル、京香、そして仁と4人で囲む食卓は、仁に「もう取り戻せないはずの何か」を思い出させる。
仁は「普通の少女」でありながら魔法の世界に巻き込まれたきずなを大切に思い、一方できずなも仁に好感を持つが、きずなの父親を仁が殺したという事実が二人の関係に爆弾を作っている。
「賢者の石」を巡る闘争の中、遂に仁の父親殺しの事実を知ってしまい、それからは仁に複雑で凄まじい憎愛を抱くようになる。
唯一魔導士という最高の資質と神の辞書という最高の環境を得たが故か、魔法使いとしての経験が浅いにもかかわらず、高度な概念魔法を使える。しかし経験の浅さゆえに、細かい魔法を組み合わせて狙った効果を出すということができず、もっぱら概念魔術による力押ししかできない。後に、舞花が再演魔導師となったために唯一魔導師という最高の資質は失われた。
多くの者から「最後の魔法使い」と呼ばれるが、それはきずなが文字通りこの世界で最後の魔法使いになるまで生き続ける魔法使いであるため。再演大系によって「増幅器」が設置されてしまったこの歴史では、増幅器の干渉を受けてしまい未来へと移動することはごく短い時間しか不可能になった。それゆえ増幅器を破壊するには自分が人類最後の一人となり、人類が全て死に絶えた時代に召喚される増幅器へ向けて自身の死の瞬間に刺客を送り込むしかない。そしてその刺客には、魔法消去によって再演魔術を完全に無効化でき、かつ魔法によって増幅器の元へ送るためにその魔法消去を停止させることのできる仁が選ばれ、それを防ごうとする未来からの干渉を相手に戦い続け「最後の魔法使い」となったきずなは仁を増幅器の元へ送った。
《運命の化身》
未来の再演魔術に対抗するためにこの世界のきずなが呼び出した、別々の歴史をたどった25人のきずなたち。生い立ちが異なるため年齢も性格もさまざまである。円環世界でイリーズに育てられたきずなは幼いが最も魔法に詳しい。グレン事件でケイツに仁を殺されたきずなは、灰色のローブをまとい自ら《剣》を振るう復讐者となっていた。髪を背中まで伸ばした20代なかばのきずなは自分の歴史の詳細を伏せたが、どうやらそこでは仁がメイゼルの飼い犬1号になってしまったらしい。
十崎 京香(とざき きょうか)
25歳。「公館」の事務官で実質的な最高責任者。仁とは一歳年上の幼なじみ。メイゼルときずなを自宅で預かっている。
有能な女性官僚であるが、「協会」との協定とはいえ、幼いメイゼルを刻印魔導師として戦闘に駆り出すことに罪悪感があり、プライベートではアルコールがないとメイゼルとまともに話せない気弱な一面がある。
仁たちのことを大切に思う一方、公館の最高責任者として彼らを切り捨てるような非情な命令を出し、割り切ることができる女性。

魔導師公館(ロッジ)

専任係官

定員12名だが、激務に加えて損耗が激しく、また不敗の象徴である必要性から量よりも質が重視されており、作品開始時点では7名で構成されている。

神和 瑞希(かんなぎ みずき)
魔獣使い」(アモン)
16歳の女子高生。きずなとはクラスメイトで唯一の友達。本来存在しないはずの地獄の魔法使い。刻印魔導師を使い捨ての道具として扱ってきた神和一族の末裔。その無から有を生み出す魔術は極めて強力で、昨年度は最多の敵を倒した公館の撃墜王でもある。ただし仕事で日本中を飛び回っているため、きずな以上に勉強は出来ない。また、普段は式神(刻印魔導師)に道案内させる事が当たり前になっていたため方向音痴だったりと基本的には戦闘以外は微妙に役立たずになることが多い。
八咬 誠志郎(やがみ せいしろう)
破壊」(アバドン)
「公館」が擁する、もう一人の地獄の魔法使い。「協会」に最も嫌われた忌み子であり、同僚の専任係官からも苦手とされる事が多いので、よほどの重大事件でないと招集されない。仁とは例外的に相性が良く、プライベートでも友人付き合いをしている。胸板が見えるほどはだけさせたピンクのドレスシャツというトンチキな格好に、気障な言動を好むが、その奇矯な言動がまったく浮つかない貴人のような繊細な容貌をしている。自身の能力を抑えるため悪鬼である美人女医と美人秘書を連れて行動することもある。
仁と共に東郷に師事していた時期があり、彼のことを「先生」と呼ぶ。そのため魔法使いとしては例外的に武術を使うが、素手により行うそれは仁のものより数段上である。
東郷 永光(とうごう ながみつ)
鬼火」(ウィスプ)
40歳前後。専任係官を19年間務める古参。その長期にわたるキャリアで、自然に人材が集まり、配下の刻印魔導師は鬼火衆という集団を形成している。豪快な性格だが大雑把ではなく、沈着冷静な態度を崩さない。盲目ながらも剣術の達人であり、総髪茶筅の髪型に和装姿という格好もあって、もはや武人としか言いようのない佇まいを見せる。かつて、仁と八咬の格技師範だったことがある。
公館の新体制とそれによる刻印魔導師の迫害に反発し離反。公館本部を焼き払い、古い時代の公館の者である己の死に場所として《協会》がひた隠しにしていた武蔵野迷宮深層への討ち入りを行う。そしてその行動により迷宮内に存在していた核製造施設の発見と破壊の成功に貢献するも、最深部にて現れた《九位》の手にかかり死亡。
オルガ・ゼーマン
聖痕大系高位魔導師 「茨姫」(いばらひめ)
高位魔導師でありながら、「協会」を離れて「公館」の専任係官を務める変り種。白金色の長髪に、おっとりとした仕草の上品な女性だが、やたらと言葉の端々で地球を「肥溜め」、地球人を「喋るウンコ」と表現する。これは地球を地獄、地球人を悪鬼と蔑む魔導師全般の感覚からすれば特異ではなく、むしろその「喋るウンコ」にすら同情を寄せる度量の広い人物と言えるかもしれない。魔法を効率的に発動させるために、自らの痛覚を刺激する拘束衣「茨」を着込んでいる機械化魔導師。専任係官に志願したのは、自身の罪を浄化するために苦行を積みたいという理由なのだが、作品における描写からは被虐性欲者にしか見えない。
「公館」の嘱託科学者である溝呂木京也の助手でもある。
六人目
男性。日本中で魔導師狩りに興じており、都心に戻るのは稀。契約により、事務官の指示に従わなくても処罰されない。
七人目
仁では顔すら知らない亡霊のような人物。契約により、事務官の指示に従わなくても処罰されない。専任係官が政府に牙を剥いたときのみ活動する。

刻印魔導師

スピッツ・モード
錬金大系魔導師 「大気泳者」(エアダイバー)
神和瑞希の配下で、刻印魔導師としては数少ない信用できる人物。二つ名が示す通り空を飛ぶことに魅せられている。ダンディなカイゼルヒゲと、禿げ上がらせた頭、そして魔法を発動させやすくするため全裸で空を飛ぶマッチョな男。神聖騎士団との戦闘で死亡。
最終決戦で《運命の化身》に召喚されて別の歴史から現れ、義姉セラを背に乗せて飛ぶコンビネーションを披露した。
内藤 サミュエル(ないとう サミュエル)
因果大系魔導師
高速発火魔術の使い手。自分を虐待した孤児院の寮長に大人になってから復讐を試みたところ、巻き添えで300人以上の子供を焼き殺してしまい《地獄》に落とされた。この世界に根付き、妻子に恵まれて工場の副社長にまでなるが、借金で夜逃げを図ろうとする。
鬼火衆

「鬼火」東郷永光率いる精鋭刻印魔導師集団。東郷の人徳に惹かれて、自然に有能な人材が集まっている。《九位》の手にかかり東郷が殉職したため、現在は武原仁と彼が代表を務めるNPOの指揮下にあり、彼を「大将」、メイゼルを「姐さん」と呼んで慕う。また、住居も仁のアパートの別室に陣取っており、食事では仁の部屋に全員が集まる。

虎坂井 レイ(こざかい れい)
精霊大系高位魔導師 「笑い顔」(ラフィンフェイス)
鬼火衆の筆頭にして、当代最強の刻印魔導師。常に笑顔を浮かべた美少年。魔法使いでありながら魔法に馴染めず、魔法の無い「地獄」に憧れてそこへ落ちるために、「地獄」礼拝派という異端思想のテロ組織を率いて国を一つ滅ぼしたことで「地獄」に落とされた。そのため魔導師としては珍しく「地獄」を好いており、忠実で優秀な刻印魔導師である。魔法で作り出した魔剣を武器として使用する。普段は高校に通っている。東郷の死後も《鬼火衆》のリーダー的存在で、仁の右腕のようなところに落ち着いている。
綾名 ネリン(あやな ねりん)
相似大系魔導師 「人形使い」(ドールメイカー)
本名はネリン・イスパイダ。生まれつきの顔面奇形のため、包帯をぐるぐる巻きにして自分の顔を隠している。両親からも愛されなかった孤独を癒すため、814人の人間を洗脳して自分の家族にした大量誘拐犯として、地獄に墜とされた。愛情に餓えていた彼女は、自分を人間として扱ってくれる東郷を慕い《鬼火衆》に入るが、同時に家族を求めることを止めることができず、他の刻印魔導師17名を洗脳して自分の子供にしていった。
グレン・アザレイ抹殺のために、浅利ケイツを脱獄させるようにと多額の報酬で《協会》に依頼される。危険を冒しても大金を得ようとしたのは、顔を整形して家族と共に穏やかに暮らすことが目的だった。だが《協会》のグレン抹殺作戦が失敗に終わり用済みとして見捨てられる。その後、覚悟を決めて自首するが、口封じのために《協会》のフィリップ・エリゴルに誘い出され殺害される。
「大食らい」(ビッグイーター)
完全大系魔導師
本名不明。手足の短い太った体型の男。口から大量の物を飲み込んでは自由に吐き出す能力の持ち主。対《九位》戦で死亡。
瀬利 ニガッタ(せり にがった)
賢猟大系魔導師 「砂の猟犬
元密偵の女魔導師。仲間を裏切ったことが原因で地獄行きになった。軍服を着こなし、ガスマスクを付けて口元を隠した犬気質の持ち主で、序列に従っていないと気がすまない変態。メイゼルが通う小学校にこっそり住み着きメイゼルに自分の御主人になってもらおうとするが、拒絶され捕らえられて公館に引き渡される。さすがに軽犯罪だったので処刑されることもなく人格矯正のため《鬼火衆》の預かりとなる。しかしメイゼルと再会すると《鬼火衆》を離脱し、彼女の犬として飼われることを選ぶ。その後、円環魔導師の核開発施設を発見したため攻撃を受け、瀕死の状態で情報を持ち帰り力尽きる。
最終決戦で《運命の化身》によって別の歴史から呼び出されたが、戦闘には参加せず犬小屋の掃除だけして帰っていった。
マランキシュ
宣名大系魔導師 「黒鯨」(タトゥ・ホエール)
全身に彫った5色の刺青を用いて、宣名魔術に必要な手順をひとつ省く、実力のある魔法使い。《雷神》クレペンスの強襲によって死亡。仁の管理下に入った刻印魔導師で初めての死人となった。
ペンローズ
金庫室
魔法大系は不明。頭頂から腹部にかけてファスナーが縫いこんであり、そこから皮膚の裏側に裂け目を作り、そこに容積などは無視して物を仕舞い込んでおける。ただそれだけの能力だが、強力な銃火器を保存しておくことにより、「『沈黙』武原仁に強力な武装を渡す」という敵にとっては恐ろしいことこの上ない脅威となる。きずなをめぐる《幻影城》の戦いで死亡。

その他の公館職員

溝呂木 京也(みぞろぎ きょうや)
スポーツ選手のような短髪に銀縁メガネ、やせた体に白衣を着ている「公館」古参の嘱託科学者。自身は魔法を観測できないが、収集したデータを元に的確な分析を行うことができる魔法研究の第一人者。参謀としても有能な一面を見せる。しかし性格に問題が有り、あだ名は「変態科学者」。魔法をより効率的に使用したり、破壊することができる品も様々開発している。
織田 笑美理(おだ えみり)
京香と歳の近い若い女医。公館の医務室の主。サッパリした性格で京香が愚痴を言える数少ない相手。仁が「公館」を離脱した時、規程により抹殺の対象になった仁を救うために助命嘆願の書名を集めて京香に提出するなど情に厚い人物。

かつての公館関係者

武原 舞花(たけはら まいか)
蛇の女王」(アスタロト)
仁の妹。3月生まれ。4月生まれの兄とは同学年。いつの頃からか魔法を使えるようになるが、小学生の時に病気にかかり学校に登校できなくなる。自宅療養しながら過ごしていたが、病状の悪化を悟り、病巣を魔法に置き換えて延命を試みた。だが、魔法で作り出した臓器は魔法消去の影響を受け、家から出ることも兄以外の人に会うことすらできなくなる。さらに14歳の時に両親が失踪したため、自宅を借家として貸し出した金で、兄と二人でアパート暮らしを始める。後、兄が王子護から渡された名刺を頼りに魔導師公館に連れて行かれ、ついに魔法で病魔を克服する技術を習得した。その代価として彼女は公館の専任係官として活動するが、東京地下の核爆発を食い止めるために死亡。
死した後、魔法化した体の断片のみが残っている状態だったが、王子護がその中の一つを捕獲し「万有なる化身」によって眼の中に取り込み育てた結果8歳前後の姿で復活した。その状態で仁の部屋の住人のひとりとなり、本来ならば自分の方が歳上なのにもかかわらず、メイゼルのことを「メイゼルお姉ちゃん」と慕う。一方で、きずなのことは蛇蝎の如く嫌う。現在は魔法を使えない。
実は神聖騎士団の内通者。自らをあえて幼い姿で復活させたのは、歪みの無い状態の肉体を手に入れるため。歪みのない肉体は魔法消去の影響を受けにくいし、歪みである魔法大系を自分で選択できるからである。神聖騎士団をきずなの元に送り込んで追い詰め、きずなをそそのかして自らを再演秩序に同調させる魔法を使わせることで再演大系の魔法使いとなる。そして幻影城でバベルの再演を行い、地獄に「神」を召喚する。
神を召喚した後、完全な安定に至らなかった再演大系を安定させるため、人間が死に絶えた未来へと飛び再演秩序と意識を同調させることで「増幅器」となる。増幅器は過去からの干渉を受けることなく、「人間を救う秩序」である再演の神の代行者として人類の総数を増やす方向へと歴史を修正する。だが「最後の魔法使い」によって送り込まれた仁によって増幅器は破壊され、「人間を救う秩序」は人類が絶滅したことで崩壊した。
十崎 理五郎(とざき りごろう)
京香の父。元公館の事務官。武原家と親交があり、両親失踪後の仁と舞花のことを気にかけ助力をする。舞花の体が魔法消去で破壊されてしまうことを知っており、魔法についての情報を仁たちに教えたりして兄弟を見守る立場を取っていた。魔法使いに家を襲撃されて死亡した。

協会

「九位」(ノーヴェ)
円環大系最高位魔導師
「協会」の最高意思決定機関「三十六宮」の一宮
メイゼルの所属する円環世界の最高権力者にして最強の魔導師。メイゼルに地獄行きの決定を下したのも彼女である。防御力の向上と、電子操作に長けた円環魔法の力を最大限に発揮させる方法を突き詰めた結果、円環大系の超科学によって体をサイボーグ化させた機械化魔導師となっている。超高位魔導師としては極めて珍しい「俗物」であり、わかりやすい“野望”のために活動し、効率的であるならば通常の高位魔導師なら取らないような手段も行う。
本名はグラフェーア・トリア。彼女の兄はイリーズの夫であり、メイゼルにとっては叔母にあたる。もともと義姉イリーズに羨望と嫉妬の入り混じった感情を抱いており、サイボーグ手術を頼んだ結果、機械むき出しの体にされたのを機に敵対。トリア家秘伝の魔法を取引材料にするという、なりふり構わぬやり口で超高位魔導師たちを集め、イリーズを死に追いやった。
《地獄》で核戦争を起こそうと陰謀をめぐらせるが、アトランチスでの戦いで仁とメイゼルに敗れて捕縛される。その後再演魔術の操り人形と化すが、《運命の化身》で現れた別歴史のイリーズによって解放されると、メイゼルに改めて敵対宣言をして退いた。
ベルニッチ・シファキス
精霊大系高位魔導師
顎髭の中年男。尊大な態度を崩さぬ協会の調整官。地球人や刻印魔導師への嫌悪や侮蔑を隠そうともしないが、専任係官の実力自体は評価しており、グレンなどの才能には敵であっても敬意を示すなど、独特の美意識を持っている。地球の文化等を見下しているが、仕事でならある程度公私を弁えることができる。自身も一流の魔術師であり、瀕死の重傷を負った仁に魔術的な治療を施したこともある。「協会」の非主流派に属しており、「九位」達協会主流派とは影で牽制し合っているが、現在非主流派は主流派に押されており、ベルニッチはその矢面に立たされているため、苦しい状況にある。それでも「三十六宮」たる「九位」に対しては最大限の敬意を払っており、不敬な発言に対しては怒りも見せる。
第1巻から登場しているにもかかわらず、仁も長らく本名を知らなかったが、第9巻にしてようやくフルネームとイラストが登場した。
セラ・バラード
錬金大系高位魔導師「無双剣
常に全裸の美女。スピッツ・モードの義姉でもあり、神和瑞希に対して義弟を死なせたとして、個人的に復讐心を抱いていた。協会の代表として「九位」と共にグレンとの話し合いに赴き、交渉決裂後グレンに挑むが、格の違いを見せ付けられ敗北、撤退する。後にグレン討伐よりも神和瑞希に対して私情で戦いを挑むが、きずなの仲立ちもあり瑞希と和解する。その後は協会には戻れなくなり地獄にとどまって流浪者となっていた。一時は寒川典子の家に匿ってもらっていたが追い出され、後に戦力不足となった「公館」に傭兵として雇われる。現在は一人では生活できないため、エレオノールの家できずならと一緒に世話になっている。
フィリップ・エリゴル
因果大系高位魔導師 「百手巨人」(ヘカトンケイル)
金髪の美丈夫。「協会」主流派に属する高位魔導師であり、「九位」に従ってグレンを利用して協会上部の者を殺させ、多くの席を空けて上に登りつめようとしていた。そのために「公館」や綾名ネリンを利用し、用済みとなった後にネリンを殺害したが、その後、ネリンから彼の思惑を知らされていた東郷に殺される。
最終決戦で《運命の化身》に召喚されて別の歴史から現れ、《逆天》ユリアを支援して合体因果巨兵《優勝・大逆天王》を完成させた。
アラクネ・ショージァ
円環大系高位魔導師
グレン事件後に事件の重要な情報を持っていると伝え《公館》に保護を求めてくる。だが実際に来たのは重度の麻薬漬け患者だった。当然まともに話せる状態などではなく、一同困惑し持て余していた。しかも職員の目を盗み公館から脱走し行方をくらます。武蔵野地下道でメイゼルによって発見されるが、ワイズマンの息がかかっていたことも判明し、戦闘の混乱に乗じて逃走する。
その後、正気の状態で《協会》からの使者として《公館》を訪れ、地下都市で暮らす魔導師たちの存在を知らせる。以降も《九位》の意を受けて暗躍するが、《神》が降臨すると再演魔術で操作されてすべての財産を吐き出した上、捕縛される。
ニコデマス・ユリー
相似大系高位魔導師 「痛み貯蔵庫」(ペインセラー)
末期癌におかされ円環魔法で生命維持している協会派遣の殺人医師。刻印魔導師が地獄で最初に連れて来られる《学校(スクール)》で実力不足の者たちを間引きしている恐怖の「保健医」。自分の癌を治せるだけの技量がなかったため性格が歪みきっていて、逆恨みで反抗的な健常者に自分の病巣をコピーして植え付けている。おかげで凶悪な罪人たちですら恐怖におののいている。必要悪として一応認可されているが、明らかに度を越したことを行っている。スクール内で彼を恨まない者は一人としていない。
《学校》を襲撃したワイズマン狩猟魔導師中隊の手によって死亡する。
マチルダ・クリストリッツァ
天盟大系高位魔導師
残念な性格の巫女。人々を強制的に愛で結ぶインマラホテプを呼び出そうとして《地獄》を訪れ、仁たちの暮らしを大混乱に陥れる。
ユリア・シュバール
因果大系高位魔導師 「逆天」(げきてん)
因果大系において呪われた魔法騎士団「応報騎士団(カースドナイツ)」の副将。ベルニッチの護衛として供に行動する。協会では非主流派に属し、ベルニッチと共に苦しい立場に立たされている。
クレペンス
円環大系超高位魔導師 「雷神
円環世界に存在する「電磁騎士団」の団長。「地獄」の神話において「雷神」の原型となった張本人。誇り高く誠実であり、「三十六宮」にも匹敵する圧倒的実力者。完全な金属質の銀髪をしている。「九位」の片腕として核爆弾と共に円環世界の二枚看板の一つを背負い、兵士として汚れ仕事を任され暗躍している。しかし「九位」の望むような兵士にはなりきれず、今の自分に苦悩している。
イリーズ・アリューシャ
円環大系最強魔導師 「憎悪の女王
故人。メイゼルの母。最も純粋な“魔法使い”と言われる魔法史に残る天才。見た目は普通の人間だが、全身を機械化しており、監視衛星や地上のレーダー基地、天文台など様々な機器からデータを受けて観測でき、さらにそれらの機器越しに魔法を使用できる。超高位魔導師ですら一人では太刀打ちできないほどの桁外れの実力を誇る。
夫を奪った者たちへの復讐と、円環世界の法則が本当に円環なのかを確かめるために革命を起こし、戦争を起こした。七人の超高位魔導師たちとの決戦の末に敗れるも、円環世界の《神》を殺すことには成功する。その結果、円環世界の基本法則は螺旋であることを明らかにしたが、その代償として円環世界は崩壊した。全人口の3割を失った民衆の怒りは彼女の死だけでは収まらず、メイゼルを地獄に落とすことになる。
最終決戦で《運命の化身》に召喚されて別の歴史から現れたイリーズは、円環世界を制し《協会》と戦争を繰り広げる《絶望の大神》になっていた。さらに強化された魔法で《雷神》クレペンスを一蹴すると、この世界のメイゼルを励まし、操られた《九位》を解放して帰っていった。

神聖騎士団

エレオノール隊

エレオノール・ナガン
上級聖騎士 隊長
グレアムの弟子で、若手最強と謳われる17歳の少女。バベル事件の騎士隊の中で唯一生き残るが、「公館」に捕えられた。「協会」であらゆる情報を引きずり出され絞りカスにされた彼女は、「公館」に引き渡された。十崎京香との取引により機械化聖騎士師団の聖務を妨害せざるを得なくなり、追放された。追放された後、神意は人に宿るものという信念を持つようになりきずなたちに協力する。
すべてを神意と断言するアンゼロッタに対し、他の人々と神意を問い続けることを選んだ彼女は《黒騎士》ユーグに認められてもうひとりの聖騎士将軍となり、神音魔導師以外も受け入れる神聖騎士団エレオノール派の祖となる。
ニコライ・バルト
上級聖騎士 副隊長
エレオノールに好意をよせる年若い騎士。銀縁眼鏡をかけた常に微笑を絶やさない優男。聖務に対しては真面目だが自分好みの服をエレオノールに勧めたり、携帯のカメラで彼女を撮影したりと、軽い一面も持つ。エレオノールへの秘めた恋情をジュルヴェーヌに突かれて破れ、怪物のような姿に変えられるが、エレオノールに止めを刺されて解放される。
グレアム・ヴィエン
上級聖騎士 団将
本来は騎士隊十個をまとめた団の指揮官でエレオノールの師。バベル再演のためにエレオノール隊を接収し活動する。作戦上のリーダー。《幻影城》での戦いできずなを殺そうとしたところを瑞希に倒される。

機械化聖騎士師団

正式名称「マシーナリー・ナイト・デイヴィジョン」。アンゼロッタ・ユーディナによって設立された。機械で音を再生し魔法を効率良く使用したりするなど、科学と魔法を組み合わせて戦う新設の師団。現在は試験中の実験部隊。

アンゼロッタ・ユーディナ
聖騎士将軍 「至高の人」(ザ・ワン・オブ・スプレマシー)
わずか二十代で聖騎士将軍へと上り詰め、機械化装備を作り上げた、魔法世界にその名を轟かせる天才魔導師。当代最強の聖騎士の一人にして最高の神音魔導師でもあり、「三十六宮」にも匹敵する圧倒的な実力を持つ超高位魔導師。漆黒の髪の美女。神音魔法を使い限定的ではあるが相似大系に近い魔術を完成させた天才。複数の音を同時に聞き分けることにより、同時に複数の魔法を使うことができる。
再演魔導師であるきずなと「賢者の石」を狙い、五千名の機械化聖騎士師団を率いて東京に侵攻する。
仁は彼女とメイゼルが似ているような気がしていたが、魔法に詳しい別歴史のきずなによると、アンゼロッタはメイゼルの螺旋同位体で、普通の生まれではないらしい。
リュリュ・メルル
上級聖騎士 第三試験小隊副隊長
元エレオノール隊
神音世界の名門、メルル家の令嬢。生真面目な性格をしている。エレオノールを「お姉様」と呼び慕う。エレオノールが離脱するきっかけを作った仁を激しく憎んでいる。
再演魔術の《神》が降臨すると、騎士団の一方的な大義に疑問を抱くようになる。一度仁に捕らえられた後に脱走するが、戦闘の巻き添えで重傷を負った寒川紀子を救ったのを機に再び仁やエレオノールに同道する。アンゼロッタと対峙した際《黒騎士》ユーグに諭されて、この世界の人々と一緒に《神》の意義を問い直すことを進言する。しかし決戦を生き抜く力量はなく、最期にエレオノールと和解して息を引き取った。
ジェイク・フェニックス
上級聖騎士 第三試験小隊隊長
ジャズを好む音痴な聖騎士。神音魔導師は音を正確に聞き取り奏でられなければ強力な魔法が使えないため、自他共に認める落ちこぼれである。しかしふて腐れていた時に、とあるジャズバーでマスターから「(どんな時でも)音楽は楽しめ」と言われ、以来明るい性格になり、同じ落ちこぼれたちを引っ張る良きリーダーになる。核爆弾回収の任を帯びて地下都市に進攻するが、隠された2個目の爆弾の爆発に巻き込まれて死亡した。
ベレーロ・ネロ
機械化聖騎士団の参謀。倉本慈雄ことマルク・フェルゼーの旧友だった。部下とともにきずなを襲撃するが、手を汚すことを決意した彼女に返り討ちにされた。

聖霊騎士

デューガ
聖霊騎士No.3011「一眼怒拳」(ヒートフィスト)
3000年以上前、拳ひとつで魔法騎士団を壊滅させた猛者。左目は刀傷でつぶれている。
ミヒャエル
聖霊騎士No.0005「黄金の右手」
「はじまりの十五騎士」の一人。
ユーグ
聖霊騎士No.0003「黒騎士」
かつて再演大系の導きの元に「聖霊騎士」の魔法を手にした「はじまりの十五騎士」の一人。
再演大系のことを疑っており、能力はともかく人格的には聖霊騎士に叙勲されるべき人物ではないのだが、自分の疑いを後世に伝えるためにまだ組織が固まっていなかった時期に聖霊騎士の座に滑り込んだ。
《極星を追うもの》
3000年前のバベルをめぐる戦いで死亡したはずの女性騎士。滋雄にその姿を見せられていたきずなは、彼女を亡き母親と思い込んでいた。歴史改変で死因がすり替わり《聖霊騎士》として現れる。神聖騎士団が再演魔導師と決別した歴史の出身であり、別の未来からの再演魔術の影響を受けない。

その他の神音魔導師

倉本 慈雄(くらもと しげお)
神音大系高位魔導師 元団将
倉本きずなの父。普段は楽器を作る事が趣味のトラック運転手として生活していた。きずな本人は実の父と思っていたが、実際は幼い彼女をさらって育ててきた神音魔導師。
本名は「マルク・フェルゼー」。かつては「慈悲深き剣(カヴァリエーレ・デイ・ミゼリコルディア)」と呼ばれていた。
娘に対しては深い愛情を持って育てていたが、あくまでも二番目に大切な存在であり、自分にとっての一番大切な願いのために、娘と協力者、さらにかつての弟子グレアム・ヴィエンなどを利用し計画を実行に移す。
彼の目的は3000年前のバベルで死亡した女性騎士を救うこと。3000年前、神聖騎士団は「神の門」の召喚実験を行っていた。完全索引から「神の門」を構成する神音を引き出そうとする試みは、実験に参加していたある騎士が恋の神音を引き出してしまったことで失敗に終わり、想い人である女性騎士は完全索引をめぐる戦いで命を落とした。失敗の原因を作ってしまった騎士はその神音を楽器に残し、それを手に入れた倉本滋雄はその気持ちを共有することになり、歴史を改変して彼女を救うためバベル再演を実行し、その悲願を叶えるための神音を手に入れることに成功したが仁との戦いで命を落とした。

連合

アリーセ・バンシュタイン
混沌大系最高位魔導師 「導師」 500年以上最前線で戦い続け発狂しており、常に笑顔。
「連合」最高議会議長。「協会」の最高意思決定機関「三十六宮」の一宮。すでに離反しているが「協会」の権威を保つため属していることになっている。

犯罪魔導師

「協会」の敵となった魔導師。「公館」にとっても治安維持のために倒さなければならない。メイゼルたち刻印魔導師は、犯罪魔導師の認定を受けた者達を百人倒すことで自由の身が保障される。

グレン・アザレイ
相似大系超高位魔導師 「神に近き者
協会が独占した知識や利権を解放するため、地獄を悪鬼から開放することを目的に訪れ、たった一人で協会や公館に真っ向から戦いを挑む。相似世界に革命を起こし、魔法使いの誰もが夢見た「悪鬼」掃討を実現させようとした英雄。
協会に大して真っ向から反逆し、相似世界で最高位魔導師《不死王》スセラミス・エラド・マナとその取り巻きを皆殺しにして地獄にやって来た。
相似魔術は高位な者ほど曖昧な相似であっても相似弦を結ぶことができるが、彼は原子や分子の単位で相似を見いだすことが出来る。
地獄で初めて会った双子の弟ケイツを気にかけるが、兄への愛憎入り混じるケイツは仁と共闘することを選び、彼らに敗れて死亡した。
最終決戦で《運命の化身》に召喚されて別の歴史から現れたグレンは、奮戦の末に倒れたケイツを救うと、自分の歴史では兄を救って命を落とした弟を称え、彼が目覚める前に去っていった。
ジェルヴェーヌ・ロッソ
宣名大系高位魔導師 「染血公主
振り袖等の和装を好み、日本刀を振るう魔女。元協会の幹部。数年前に公館関係者の元に匿名で送られてきた《幻影城の鍵》の研究、および《幻影城》の調査をしていたが、協会の隙を突き、2年前鍵を強奪。その後、バベル事件を引き起こし、自分の望みをかなえようと画策する。利用できる物は、悪鬼 魔法使いの区別なくなんでも利用する非道な人物。《幻影城》での戦いで仁に斬られ、エレオノールにとどめを刺されて死亡。
別の歴史では、きずなと親しい間柄になることもあった。
ラグランツ・ヴェイル
宣名大系魔導師
ジェルヴェーヌ・ロッソ配下の魔導師。けして善人ではないが、主に対しては「姫ぃ様(ひぃさま)」と呼び忠義を尽くす。聖騎士との戦闘で主を守ろうとするが重傷を負い戦闘不能になり、主の魔法で爆弾に変えられ爆死させられた。
メイゼルが変態であることを魔法で証明した稀有な人物。

ワイズマン警備調査会社

王子護 ハウゼン(おうじもり ハウゼン)
完全大系高位魔導師 「魔術師」(マジシャン)
白いスーツを身にまとい、右眼に銀の眼帯をつけた元専任係官。百年以上にわたり日本を護り続けていたが、現在は公館を離れてワイズマンのシニアマネージャーとして活動している。仁と八咬にとっても彼は師にあたるが、東郷と異なり腹黒い部分があるため二人からは嫌われている。きずなに対して「最後の魔法使い」などの意味深な発言も残す。
核爆弾の販売やアトランチス人宣言など、商売のためには傍若無人に振舞うが、再演魔術で操られることは気に入らず、終盤では《公館》に協力姿勢をとった。
浅利 ケイツ(あさり ケイツ)
相似大系魔導師
メイゼルが最初に戦った犯罪魔導師。基本的に臆病で自身の手に負えない恐ろしい相手からはまず逃げようとするが、稀に魔法使いとしての矜持に熱い面が顔を出す。
本名はケイツ・アザレイ。グレン・アザレイの双子の弟だが、相似世界では一卵性双生児は「同じ人間」との誤認が発生して体機能が同調してしまい、その結果二人とも死んでしまう。それを防ぐためケイツは生まれてすぐに他の世界に送られたが、その世界の魔法が使えない彼は周囲になじめず犯罪者となり、ついには地獄行きを宣告される。刻印魔導師としての過酷な生活に耐えられずアメリカに逃亡するがそこでも真っ当な生き方ができず、腐りきっていたところを王子護ハウゼンに拾われ、日本に送り込まれてグレン戦争に利用される。
きちんとした魔法教育を受けられず、ほぼ自己流かつ低レベルな相似魔法しか使えなかったが、グレンに出会った際、相似魔術の才能をグレン自身と相似にされた。それで以前とは比較にならないほどの魔術行使が可能になったが、威力に見合う技術は備えていない。
その後ワイズマンのシニアマネージャーに就任しているが、どう見てもお飾りの役職。しかし本人は大真面目である。最終決戦ではスセラミス派の相似魔導師からリュカを守って奮戦し倒れるが、自分たちを操る再演魔術を見抜いて最期の力で反攻を仕掛け、極限未来で戦う仁に逆転の隙を与える。その後《運命の化身》で現れた別歴史のグレンによって蘇生。人殺しを嫌い、魔術で多くの人を癒したケイツは、いつの間にか周囲の他人から惜しまれる存在になっていた。
リュカ・エラド・マナ
ケイツの付き人の少年。なぜかメイド服を着ている。かつてグレンに討たれた相似大系最高位魔導師《不死王》スセラミスの子供の1人で、ケイツへの刺客に仕立て上げられたが逆に彼に救われ、それ以来ケイツを深く慕っている。
クレメンス・ヤクラ
完全大系魔導師 狩猟魔導師中隊軍医
副隊長のステファンが仁に殺されたため、なりゆきで中隊のまとめ役になる。地下都市で暮らす家族のために戦う善人であり、仁と和解するのも早かった。
ベルナー・ヒルタ
円環大系魔導師 狩猟魔導師中隊
転移魔術の使い手。「死神」の異名を持つ。地下都市住民が生活を保障されても戦いから抜け出せず、ワイズマンに残る。仁には激しい敵意を抱いており、アナスタシアの死後は嫌がらせのためだけに無力な寒川紀子を撃った。しかしきずなによって家族のもとに転移させられ、矛を収めざるを得なくなった。
アナスタシア・タバタ
円環大系魔導師 狩猟魔導師中隊
狙撃手の少女。国城田と組んでテロを行うほか、メイゼルのことも撃った。事件終結の折に逮捕されるが、《神》降臨後に再演魔術で操られて仁を足止めし、反撃で死亡した。

悪鬼(地球人)

魔法消去能力を持つ人々。魔法使いからは「悪鬼(デーモン)」と蔑まれている。

私立御陵甲小学校

寒川 紀子(さむかわ のりこ)
メイゼルのクラスの学級委員長。メガネッ娘。メイゼルの嗜虐性の餌食にされており、被虐的な喜びに目覚めつつある。一時セラをかくまっていたこともある。
魔法の存在とメイゼルの素性が明らかになったときはそれを受け入れ、以後も魔法消去を取り戻すことはなかった。
天瑞 岬(てんずい みさき)
メイゼルのクラスメート。女子出席番号12番。教室で繰り広げられる仁とメイゼルの痴話喧嘩のまとめ役。二人のやり取りから、授業では学べない有意義なことを学べると断言して憚らない。
祖師堂 しづか(そしどう しずか)
メイゼルが通うクラスの担任。偽教師である仁と比べて、生徒への指導力は月とスッポン。生徒からなめられて困っている仁を、いつも笑顔で応援(だけ)している。
速見 志保(はやみ しほ)
六年二組の生徒。成績優秀、品行方正な優等生。学校の後期生徒会長に立候補しメイゼルと争うことになる。

一般の人々

寒川 淳(さむかわ あつし)
寒川紀子の父。40歳近くで13歳年の離れた若い妻と結婚し一人娘を授かる。子供の頃から月光仮面が大好きで、気分がいいと、酔っていなくても顔にタオルを巻き「憎むな 殺すな 赦しましょう」といって踊りだす。妻や娘は少々あきれ気味で付き合ってくれたりする。
大学時代は国城田を尊敬し彼に付いて行こうとしていた。
蓮寺 公直(はすでら きみなお)
故人 大学講師
蓮寺貞時の息子。かつて大学で新民主主義研究会というサークルを主催していた。そこには若き日の国城田義一や寒川淳達が参加していた。学生闘争が盛んなころ闇討ちされ殺された。日頃から「正しく怒れ」といっていたがその真の意味を理解される事はなかった。周りから失格講師と言われていたが国城田たちに多大な影響を及ぼす。
清水 健太郎(しみず けんたろう)
警察庁警備局 副局長
いわゆる高級官僚。公安を指揮する幹部。核ジャック事件発生と国城田の帰国で非常事態になった際、公館と連携を取る為に公館を訪れる。実は国城田の大学時代の友人の一人。当時のあだ名は「ガチケン」。当時は学生スパイとして国城田や蓮寺を監視していた。

悪鬼の犯罪者

国城田 義一(くにきだ よしかず)
テロリスト。55歳
無政府主義者で世界各国で反政府活動をしていた国際指名手配犯。学生時代は大学で蓮寺公直の主催する思想勉強会に所属し、友人の石原慶太やガチケン、後輩の寒川淳と語り合っていた。60年代末から大学の学生運動に参加し、72年に米軍多摩基地に火炎瓶を投げ込んだ後、逃走していた時に王子護ハウゼンと出会い最初の取引を行なってそのまま国外逃亡する。アラブや南米等を転々としながら活動を続けるが、ある時アラブで日本の戦車を見て愕然とし、30年ぶりに日本に戻る事を決意する。ワイズマンと手を組み東京核テロのために活動を開始する。

  1. ^ 『SFが読みたい! 2006年版』早川書房、2006年2月、114頁。ISBN 4-15-208706-4 
  2. ^ 『SFが読みたい! 2006年版』早川書房、2006年2月、115頁。ISBN 4-15-208706-4 
  3. ^ 『このライトノベルがすごい!』編集部『このライトノベルがすごい!2012』宝島社、2011年12月3日、34頁。ISBN 978-4-7966-8716-4 
  4. ^ 作中にて書ききれなかった設定の一部を著者がブログで解説している(円環少女・質問企画)
  5. ^ 作者も自身のブログで登場人物が変態だらけであることを認めている(円環少女6巻、発売になりました)
  6. ^ 円環少女・質問企画の回答 前半後半
  7. ^ 円環祭 その1 その2
  8. ^ ザ・スニーカーLEGEND
  9. ^ そのため、魔法使いの属する魔法大系は故郷の世界、肉体の持つ歪んだ秩序とイコールである。例えば「円環世界の住人」=「円環秩序を肉体に有する人」=「円環大系魔導師」といえる。
  10. ^ 円環少女 1 バベル再臨”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  11. ^ 円環少女 2 煉獄の虚神(上)”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  12. ^ 円環少女 3 煉獄の虚神(下)”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  13. ^ 円環少女 4 よるべなき鉄槌”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  14. ^ 円環少女 5 魔導師たちの迷宮”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  15. ^ 円環少女 6 太陽がくだけるとき”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  16. ^ 円環少女 7 夢のように、夜明けのように”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  17. ^ 円環少女 8 裏切りの天秤”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  18. ^ 円環少女 9 公館陥落”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  19. ^ 円環少女 10 運命の螺旋”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  20. ^ 円環少女 11 新世界の門”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  21. ^ 円環少女 12 真なる悪鬼”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。
  22. ^ 円環少女 13 荒れ野の楽園”. KADOKAWA. 2023年9月15日閲覧。






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