催馬楽 曲目

催馬楽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/25 05:01 UTC 版)

曲目

以下のような曲目が知られている。

律(25曲)
我駒、沢田川、高砂、夏引、貫(ぬき)河、東屋(あづまや)、走井、飛鳥井、青柳、伊勢海、庭生(にはにおふる)、我門爾、我門乎、大路、大芹、浅水(あさうづ。浅水橋とも)、挿櫛、鷹子、逢路(あふみぢ)、道口、更衣(ころもがへ)、何為(いかにせん)、鶏鳴(とりはなきぬ)、老鼠(西寺とも)、隠名(くぼのな)。
呂(36曲)
安名尊(あなたふと)、新年、梅枝、桜人、葦垣、山城、真金吹、紀伊国、葛城、竹河、河口、此殿者(このとのは。此殿とも)、此殿西(倉垣とも)、此殿奥(酒屋とも)、鷹山、美作、藤生野、妹与我(いもとわれ)、浅緑、青馬、妹之門(いもがかど)、蓆田(むしろだ)、大宮、総角(あげまき)、本滋(もとしげき)、美濃山、眉止之女(まゆとじめ。御馬草(みまくさ)とも)、酒飲(さけをたうべて)、田中井戸、無力蝦(ちからなきかえる)、難波海、鈴之川(すずかがは)、石川、奥山、奥々山、我家(わいへ、わいへん)。

大嘗会で奏される悠紀、主基の風俗歌が催馬楽として取り込まれる例がある(真金吹、美作など)。またこのほかに異説として『簾中抄』は、律歌に「千年経(ちとせふる)」、「浅也(あさや)」の2曲、呂歌に「万木(よろづき)」、「鏡山」、「高島」、「長沢」の4曲を掲げている。他に、男踏歌の際にうたわれる「絹鴨曲」(「何曽毛曽(なにぞもそ)」とも)などがあり[要出典]、また『教訓抄』にも「安波戸」(安波之戸)という曲名がみえる。

詞章は、五七五七七の短歌体に、反復や囃言葉を交えたものが多い。『うつほ物語』祭使の巻には「大君来まさば」(「我家」)の声振に短歌「底深き淵を渡るに水馴棹長き心も人やつくらん」をあててうたい、「伊勢海」の声振に短歌「人はいさ我がさす棹の及ばねば深き心をひとりとぞ思ふ」をあててうたった。

催馬楽の中には、唐楽・高麗楽との同音関係が指摘されているものがある。その組み合わせを示せば、

となる。ただし、このうち「鶏鳴 - 鶏鳴楽」「鷹山 - 放鷹楽」「走井 - 甘州」「庭生 - 喜春楽」の同音関係は認めがたいとする見解がある[要出典]


注釈

  1. ^ そのために、風俗歌が荷前の貢進にともなった東歌の系統に属するのに対し、催馬楽は大嘗祭における稲穂の貢進にともなった風俗歌の系統であるとする推定が生まれている。西村(1966)p.90
  2. ^ 一説には一条雅信(源雅信)によって律呂の譜が定められたといわれている(『奥義抄』など)。

参照

  1. ^ a b c 秋澤(2010)p.65
  2. ^ a b c 増本(1990)p.108
  3. ^ 吉川(1990)p.78
  4. ^ a b c d e f g h i 多田(2004)
  5. ^ a b c 声楽(日本辞典)
  6. ^ 賀茂真淵、賀茂百樹増訂「神楽歌考 - 前張」『賀茂真淵全集』第10巻、吉川弘文館、1930年10月、160頁。 
  7. ^ 賀茂真淵、賀茂百樹増訂「催馬楽考 - 催馬楽」『賀茂真淵全集』第10巻、吉川弘文館、1930年10月、174頁。 
  8. ^ a b 西村(1966)pp.90-91。原出典は『折口信夫全集 第14巻』p.185
  9. ^ a b c 増本(1990)p.109
  10. ^ 西村(1966)pp.89-90
  11. ^ 西村(1966)p.90。原出典は藤田『日本文学大辞典』「催馬楽」の項
  12. ^ 西村(1966)p.90
  13. ^ 豊永聡美「平安時代における天皇と音楽」(初出:『東京音楽大学研究紀要』25号(2004年)/改題所収:豊永「鎌倉期以前の天皇と音楽」『中世の天皇と音楽』(吉川弘文館、2006年) ISBN 4-642-02860-9 P31)


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