モノポリー ルール

モノポリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/07 15:06 UTC 版)

ルール

基本ルールは説明書、細部に関しては日本モノポリー協会のルールに準拠する。ゲームにおける紙幣や権利書・家・ホテルなど、銀行(ゲーム中におけるプレーヤー間以外での現金の支払いや受け取りを行う場所)から手渡されるものは基本的にバンカー(銀行係)[注 22]が管理する。なお、バンカーは競売人も兼ねる。

準備

モノポリーの紙幣

ボードを広げて、ボードの外に紙幣・権利書・家・ホテルを並べる。バンカーを1人決め、バンカーがプレイヤーに$1・$5・$10を各5枚、$20を6枚、$50・$100・$500を各2枚[注 23]の合計$1500ずつ[注 24]配る。紙幣は他のプレーヤーから見えないところに置かない限りはその一部または全部をテーブルの上に置いていてもよいし、手で握っていてもよい。準備が整ったら、スタート順を決めるために全員がダイス2個(以下断らなくても、2個)を振り、出目が大きい順に[注 25]着席し直す[注 26]。これがスタート順となる。スタート順に駒1個を選んで、「GO」のマスに駒を置く。チャンスカード、共同基金カードをよくシャッフル[注 27]し、ボード上にセットする。

駒の進め方

最初のプレイヤーがボード上でダイス(サイコロ)を振り、出た目の数だけ駒を進め、止まったマスの指示に従う。この時ダイスが1個でもボードの外に出た場合は振り直し[7]となる(ダイスがチャンスや共同基金のカードの上に乗った場合は接している側から見て上の面の目を出目とする。ダイスがボード上の駒や家などに乗った場合も同様)。進む方向は常に「GO」マスの矢印の方向とする。また、ダイスの目がゾロ目(2つの目が同一)の場合はもう一度ダイスを振る。ただし、3度連続でゾロ目を出したら、即、直接、刑務所に入らなければならない。これを1ターンとして、その後に交渉家やホテルの建設などがないか確認し、次の人に移る。これを繰り返す。なお、同じマスに複数人が止まったり、相手の駒を追い越したりしても差し支えない。

各マス

GO(ゴー)

スタート地点。このマスに止まるか、通過するとサラリー$200を銀行から受け取る。

土地(カラーグループ、鉄道、公共会社)

土地はカラーグループが8種22か所、鉄道は4か所、公共会社は2か所ある。すでに購入したプレイヤーがいない状態で止まった場合、権利書(価格はボード、権利書に記載)を購入することができる。購入しない、または購入できない場合には、銀行により競売にかけられる。すでに購入したプレイヤーがいた場合は、権利書に記載されている額(独占しているケースなどは後述)のレンタル料を徴収される。ただし、その土地が抵当の場合はレンタル料を徴収されない。土地は所有するプレーヤー1人にのみ所有権があり、共同所有やレンタル料の分配などはできない。なお、自分の土地に止まった場合は支払いは発生しないので何も起こらない。

チャンスと共同基金

このマスに止まったら、一番上のカードをシャッフルせずに引く。そのカードを全員に見せ[注 28]、その指示に従い、駒の移動があった場合は止まったマスの指示に従う。「このカードは(中略)刑務所から釈放できる」(以下、釈放券)以外のカードは指示に従った後、山札の一番下に裏向きにして入れる。「釈放券」を引いた場合、戻さず所有する。カードが1巡したとしてもシャッフルしてはならない。

所得税と物品税

所得税
このマスに止まったら$200を銀行に支払う[注 29]
物品税
このマスに止まったら$100を銀行に支払う[注 30]

フリーパーキング

何も起こらない。

GO TO JAIL(刑務所へ行け)

このマスに止まったら、刑務所へ移動する($200のサラリーは受け取れない)。このマスにゾロ目で止まっても刑務所から続けてダイスを振ることはできない。

刑務所及び刑務所見学

刑務所のマスにダイスの出目による移動によって止まったとしても、「刑務所見学」として無害(フリーパーキングと同様)であるが、以下の条件を満たした場合は、刑務所に直接移動しなければならず、進めばGOマスを通過する場合でもサラリーを受け取ることはできず、自分のターンは終了する。

  • 1ターン内にゾロ目を3回連続出す
  • 「刑務所に入れ」のマスに止まる
  • チャンスまたは共同基金で「刑務所へ行く」のカードを引く

次に自分のターンが回ってきたら、ダイスを振る前に刑務所から出所するか、留まるか選択することができる。選択せずにダイスを振った場合は留まる選択をしたものとして扱われる。

刑務所から出所を選択した場合

出所料$50を支払うか、手持ちの釈放券を使用しなければならない。出所したら「刑務所見学」の部分に駒を動かし、通常通りダイスを振ることができる。ゾロ目が出た場合は通常通りもう一度ダイスを振ることができる。

刑務所に留まる選択をした場合

ダイスを振ってゾロ目が出なければ刑務所に留まりターンが終了、ゾロ目が出た場合は$50の支払いや釈放券を使用せずに出所となり、出た目の数だけ進まなければならない。このとき、ゾロ目の効力は出所するために使用しているので、ダイスをもう一度振ることはできない。刑務所に留まる選択は3ターンまで可能で、3ターン目のダイスでゾロ目が出なかった場合は強制的に出所となり、$50を支払うか、釈放券を使用し、ダイスで出た目だけ駒を進めなければならない。このとき、釈放券は他人のプレイヤーが持つものを交渉によって入手し、使用して出所することができる(手番中の交渉禁止の例外)。

モノポリー(独占)

家・ホテルの建設

ボード上に建設した家

同じ色の地所を全て取得すれば「モノポリー」(独占)となり、他のプレイヤーが止まった際の家が建っていないときの「レンタル料」が2倍になるうえに、取得した色の地所に家、もしくはホテル(以降、家など)を建てることができる[注 31]。カラーグループ内のどこの土地からでも建設できるが、均等に建設しなければならない[注 32]。独占した色の土地1か所につき家を4軒まで建てられ、家を4軒建てた後はホテルを建てることができる。なお、家などを建設する際の建設費は、その色の配置されている列により異なる。また家やホテルを建てると、その土地のレンタル料は高額となり、より多くのレンタル料を徴収することができる。

ボード上に家は32軒、ホテルは12軒しか建てることができず、それ以上の場合は他のプレイヤーが銀行に家などを売るまで、建設は不可能。銀行が所有する以上の家などを異なるプレイヤーが同時に購入を希望した場合は、その家などは競売(後述)にかけられる。ただし、全体で譲りあう場合はこの限りではない[注 33]

家・ホテルの売却

家を銀行に売却する場合には、売却する家1軒ごとに建設費用の半額が銀行からプレイヤーに戻る。この場合も均等に処分しなければならない。

ホテルを含むカラーグループの物件で費用を捻出したいときは、レンタル料などの支払いが手持ちの現金では賄いきれない負債が生じたときと、単なる資金調達や家止め[注 34]を行う場合とで対応が異なる。これは容易な家止めを防止するための措置である。

単なる資金調達や家止めの場合(原則)

「均等に建てる」という原則から以下のようにする。ブラウン、ダークブルーのように土地が2つしかないカラーグループでは「残る家x軒」のxをそれぞれ4減らして読めばよい。

  • ホテルが1軒だけ建っている場合
ホテルを売却し、銀行から家2.5軒分の建設費を受け取る。残る家8軒を同一カラーグループ上で均等に再配置する。
  • ホテルが2軒建っている場合
ホテル2軒を売却し、銀行から家5軒分の建設費を受け取る。残る家4軒を同一カラーグループ上で均等に再配置する。
  • すべての土地にホテルが建っている場合
すべての土地を一旦更地にして、銀行から家7.5軒分の建設費を受け取る。

いずれの場合も家はあらためて正規の建設費で建て直す。ホテルから家4軒に戻して0.5軒分の建設費を受け取るといったことはできない。

支払う現金が不足した場合(例外)

銀行に家が残っている限りの範囲で、ホテルから家4軒にするなど、1軒単位の売却が可能。

鉄道と公共会社

鉄道や公共会社は、多くの権利書を入手しているほどレンタル料が上がる。鉄道の場合は、所有者が鉄道を1か所のみ所有の場合は$25、2か所で$50、3か所で$100、4か所(独占)で$200となる。公共会社の場合は、所有者が公共会社を1か所のみ所有の場合は止まったダイスの目の4倍、2か所(独占)の場合は目の10倍のレンタル料を支払わなければならない。なお、チャンスカード「次の水道会社か電力会社に進む[注 35]」の指示で止まった場合はレンタル料を決めるためにもう一度ダイスを振り、1か所のみ所有の場合でもダイスの目の10倍のレンタル料を支払う。

抵当

土地の権利書をもとにして銀行から、権利書価格の半分の現金を得られる。抵当にするには土地にある家などを全て売らなければならず、抵当にした土地によってレンタル料を徴収することはできなくなる。なお、独占しているグループや鉄道複数枚で、相手プレイヤーが止まった土地が抵当でなければ(グループ内の他の土地が抵当であっても)、独占扱いでレンタル料を受け取ることができる[注 36]

抵当を抜くためには、抵当時の額に加えて10%の利息[注 37]を支払う必要がある。また、抵当に入った権利書を交渉によって取引することもできるが、権利書を移動する際に、取引された権利書の抵当を返すか返さないかを選択し、返さない場合は、その場で抵当価格の10%の利息(手数料)を銀行に支払わなければならない。もし、抵当に入った権利書を入手した際にその場で抵当を抜かない場合は、後で抵当を抜く際にも利息つきで抜かなければならないため、結果として10%の利息を2回分支払うことになる。

なお、モノポリーにおける「抵当権」とは、英語版のmortgageの訳語(英米法の用語としては譲渡抵当と呼ばれることもある)であり、日本法における抵当権の概念とは異なる。

競売

  • 権利書

プレイヤーが所有者のいない土地・会社のマスに止まって権利書を購入できる状態になったときに、そのプレイヤーが購入を拒否、または購入が不可能な場合は、その権利書は銀行によって競売が行われる。競売の進行はバンカーが行う。競売の開始価格は$1からとし[注 38]、プレイヤーは$1以上かつ$1単位で値段を提示・吊り上げていくことができるが、提示する値段は権利書の本来の値段であるかは問わない。ただし時間短縮のため、日本の公式大会などでは競売の開始価格は$10から、プレイヤーは$10以上かつ$10単位の値段を提示・吊り上げていくこととしている。また、権利書を購入しなかったプレイヤーも競売に参加できる。権利書は最終的に最も高い値段を提示したプレイヤーが現金で購入する[注 39]

  • 家・ホテル

複数のプレイヤーが同時に家の建設を表明し、その家の軒数の合計が銀行にある家の在庫を超える場合は家の建設の前にプレイヤー間で折衝を行う。プレイヤー間で折り合いがつかなかった場合は銀行によって家の競売が行われる。競売の進行はバンカーが行う。家は1軒ずつ競売にかけられ、家を購入したいプレイヤーは自分の土地の権利書に記載されている家の建設費と同額またはそれ以上の値段を提示しなければならない[注 40]。家は最終的に最も高い値段を提示したプレーヤーが購入する。ホテルも同様の手順で競売を行う。

交渉

プレイヤーとプレイヤーが交渉を行うことで、互いが所有する土地などの権利書に関してプレイヤー間による金銭などでの売買を行える。土地を独占することがゲームで優位に立つための主要な行動であるため、交渉はゲーム中のさまざまな場面で行われる。

交渉は、

  • 1対1であること[注 41]
  • 任意のプレイヤーの手番の終了から次のプレイヤーの手番が開始される(ダイスが振られる)までの間に行う[注 42]
  • 取引できるものは「金銭」「権利書」「釈放券」の3点のみ
  • 物品の交換を伴わない行為(プレーヤー間で家・ホテルを売買すること)やレンタル料の減免、借金など、未来に関する条件、約束は禁止[注 43]
  • 以下のように明らかに一方が得をするような交渉(完全な現金贈与にあたるもの)は禁止とする。
    • 抵当に入っていない権利書を抵当価格以下で売る
    • 権利書の無償贈与
    • 釈放券単独を$50以上で売買する
    • 権利書などを売ったその場で異なる価格で買い戻すこと[注 44]
    • 仮破産状態において負債が解消しない権利書の売買を行う

などのルールを脱さない限り、交渉内容は自由である。交渉が成立すればその場で権利書や現金の移動が行われ、プレイヤー全体にバンカーまたは交渉の当事者がその内容を通知する。なお、家やホテルが建っている権利書を他のプレーヤーに売却または交換する場合は必ず家やホテルをすべて銀行に売却してから渡さなければならない。

仮破産と破産・ゲームの勝敗

他のプレイヤーによって家などを建てられた土地に止まった際に、もし、そのプレイヤーに支払うレンタル料が手持ちの現金で足りなくなった場合(「現金不足」、「仮破産」という)は、権利書の抵当や第三者への売却交渉、所有している家やホテルを銀行に売るなど現金を捻出してレンタル料を支払わなければならない。しかし、全て現金化してもレンタル料が支払えない場合はそのプレイヤーは「破産」となり、敗北となる。破産したプレイヤーの現金、土地・鉄道・公共会社の権利書・釈放券は、全てレンタル料をもらえるプレイヤーのものとなり[注 45]、最後まで残ったプレイヤー1人が勝者となる。

これとは別に、物品税マスなど銀行への支払いができずに破産(銀行破産)となった場合は、権利書は抵当が抜かれた状態で銀行に譲渡され、その場で競売が行われる。このとき、破産者が権利書を複数枚所持していた場合は、GOのマスから見て右回りに近い物件から順に競売を行う。釈放券は使用済みカードと同様にカードの山の一番下に戻される。刑務所の出所料で破産した場合は銀行破産と同じ扱いであるが、出所後に止まったマスに家や権利書を持つ債権者は、出所料$50による負債を銀行に支払うことで破産したプレイヤーの権利書を入手できる。

チャンスカードの一つ「各プレーヤーに50ドル支払う」の指示に従えない場合[注 46]は、他プレイヤーへの支払いは行わずに銀行破産として処理する。

ゲームソフトなどによっては、コンピューターで自動的に計算されるものもあるので、家が建てられた状態で破産になることもある。その際は自動的に家が売却される。

ローカルルール

ゲームソフトでも採用され、オプションで選択可能である代表的な2つのローカルルールを紹介する。

  • JUST GO(ジャスト・ゴー)

カード移動やダイスの出目で、直接GOのマスに止まった場合、通常のサラリーに加えてさらに$200を受け取るというルール。すなわち、通常の倍である$400を受け取ることができる。

  • ジャックポット

所得税、物品税でプレイヤーが支払った税金をプールしておき、フリーパーキングのマスに止まったプレイヤーが全額受け取ることができるというルール。

これらのルールは刺激的でゲームをさらに面白くする要素になりえるものの、プレイヤー全体の所持金が増えすぎ、よく練られてできているモノポリーのゲームバランスを崩すものだと批判する意見もある[8]








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