ベイズ統計学 ベイズ的手法の概要

ベイズ統計学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/22 16:29 UTC 版)

ベイズ的手法の概要

一般的な統計的技術は多くの活動に分割することができ、それらの多くが特別なベイズ統計版を有する。

ベイズ推定

ベイズ推定は、推定における不確かさが確率を使って定量化される統計的推定を指す。古典的な頻度主義的推定英語版では、モデルのパラメータと仮説は固定と見なされる。確率は頻度主義的推定においてはパラメータまたは仮説に割り当てられない。例えば、頻度主義的推定においては、公正な硬貨を次に投げた時の結果といった一度しか起こりえない事象へ直接的に確率を割り当てることは意味をなさない。しかしながら、表が出る割合が硬貨投げの回数が増加するにつれて2分の1に近付くと述べることは意味をなす[5]

統計モデルは、いかに標本データが生成されるかを表わす一連の統計的仮定および過程を規定する。統計モデルは修正可能な数多くのパラメータを持つ。例えば、硬貨はベルヌーイ分布からの標本として表わすことができ、これは2つの可能な結果をモデル化している。ベルヌーイ分布は一方の結果の確率に等しい単一のパラメータを有し、ほとんどの場合これは表が着地する確率である。データに対するよいモデルを考案することがベイズ推計において中心となる。ほとんどの場合において、モデルは真の過程を近似するだけであり、データに影響する特定の因子を考慮に入れない[2]。ベイズ推計において、確率はモデルのパラメータに割り当てることがでできる。パラメータは確率変数として表わすことができる。ベイズ推計はより多くの証拠が得られたまたは知られた後に確率を更新するためにベイズの定理を用いる[2][6]

統計モデリング

ベイズ統計学を用いた統計モデルの定式化は、あらゆる未知のパラメータについて事前確率の指定を必要とする特徴を有する。実際、事前分布のパラメータそれら自身が事前分布を持ちうる(これが階層ベイズモデルにつながる[7])、あるいはそれら自身が相互に関係しうる(これがベイジアンネットワークにつながる)。

実験計画法

ベイズ実験計画法英語版は「事前信念の影響(influence of prior beliefs)」と呼ばれる概念を含む。この手法は次の実験の設計においてそれ以前の事件の結果を含めるために逐次分析英語版技術を用いる。これは、事前および事後分布の使用により「直感的信頼度(beliefs、信念)」を更新することによって達成される。これにより、実験計画法は全ての種類の資源を有効に利用することが可能となる。この一例が多腕バンディット問題である。

統計グラフィックス

統計グラフィックス英語版は、データ探索、モデル検証、その他の目的のための手法を含む。ベイズ推定のためのある計算技術、具体的に言うと様々な種類のマルコフ連鎖モンテカルロ法を使用すると、必要な事後分布を表わすうえでこういった計算の妥当性のチェックが必要となり、これはしばしば視覚的(グラフィカル)な形式で行われる。


  1. ^ What are Bayesian Statistics?”. deepai.org. 2019年2月22日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i Gelman, Andrew; Carlin, John B.; Stern, Hal S.; Dunson, David B.; Vehtari, Aki; Rubin, Donald B. (2013). Bayesian Data Analysis, Third Edition. Chapman and Hall/CRC. ISBN 978-1-4398-4095-5 
  3. ^ Fienberg, Stephen E. (2006). “When Did Bayesian Inference Become "Bayesian"?”. Bayesian Analysis 1 (1). https://projecteuclid.org/euclid.ba/1340371071. 
  4. ^ a b Grinstead, Charles M.; Snell, J. Laurie (2006). Introduction to probability (2nd ed.). Providence, RI: American Mathematical Society. ISBN 978-0-8218-9414-9 
  5. ^ Wakefield, Jon (2013). Bayesian and frequentist regression methods. New York, NY: Springer. ISBN 978-1-4419-0924-4 
  6. ^ Congdon, Peter (2014). Applied Bayesian modelling (2nd ed.). Wiley. ISBN 978-1119951513 
  7. ^ Hajiramezanali, E. & Dadaneh, S. Z. & Karbalayghareh, A. & Zhou, Z. & Qian, X. Bayesian multi-domain learning for cancer subtype discovery from next-generation sequencing count data. 32nd Conference on Neural Information Processing Systems (NIPS 2018), Montréal, Canada. https://arxiv.org/pdf/1810.09433.pdf


「ベイズ統計学」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ベイズ統計学」の関連用語

ベイズ統計学のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ベイズ統計学のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのベイズ統計学 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS