プレミアム・エコノミー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/06 09:36 UTC 版)
特色
ビジネスクラスの各種サービスの充実が進められた結果、ビジネスクラスとエコノミークラスのサービス内容(およびビジネスクラス運賃やエコノミークラス正規運賃とエコノミークラスの割引料金)に差がつきすぎてしまったため、各社が中長距離便において導入していった。
運賃に関しては、エコノミー正規運賃かそれに準ずる運賃でないと利用できないものから、割引運賃でも多少の差額を支払うことによって利用可能なものまで、さまざまな取扱がある。
座席に関しては、日本航空やブリティッシュ・エアウェイズなどのように専用のシートを開発し、専用のコンパートメント内で提供するものや、旧式のビジネスクラス座席を流用するものから、ユナイテッド航空やスカンジナビア航空などのように、エコノミークラスと同等の座席で前後間隔を多少広げただけの方法でエコノミークラスと差別化されたものなど、航空会社によってさまざまなサービスが存在している。多くの場合、座席前後幅(シートピッチ)は狭くても95cm程度で広い所では115cm以上となっており、居住性においては鉄道車両における特急列車・新幹線の普通車クラスからグリーン車クラスまで幅広く存在する(例えば、日本航空では約97~107cm、全日空では約97cm)。いずれの場合も肘掛けの幅を広く取られていることが多いため、標準的には概ね山陽新幹線や九州新幹線などで展開されている新幹線規格車両における横2+2列の普通車指定席のサービス水準に相当する。
また、一部のビジネス客重視路線においては、ビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスのみとしている路線もある(例:シンガポール航空や全日空の一部の路線)
国際線での導入が中心であるが、国内線に於いても一部の航空会社で同等のクラスが設定されている。日本国内に於いては日本エアシステム(当時)が国内線にボーイング777(通称「レインボーセブン」)を導入した際に、同機材に限りエコノミークラスとスーパーシートの中間にあたるミドルクラスとしてレインボーシートを設定しており、1000円の追加料金で広いピッチの座席やボーナスマイルといったサービスが付帯されていた。日本航空ではエコノミークラスと「国内線ファーストクラス」の間のミドルクラスとして「クラスJ」と称する座席の広い上級クラスを提供しており[注釈 1]、エコノミークラスの料金に1000円の追加料金でシートピッチの広い座席に加えてマイル積算率が大きくなるサービスを設定している[注釈 2]。スカイマークは2014年6月から2015年1月まで運航していたエアバスA330型機の座席を、全席プレミアムエコノミー相当の上級クラス(グリーンシート)としていた[注釈 3] 尚、スカイマークは座席以外のサービス基準は国内線エコノミークラスと同等である。[注釈 4]
機内食についてはエコノミークラスと同等の場合が多いが、シャンパンや軽食などの提供で差をつけている会社も多い。また、空港ラウンジの使用や特設カウンターの提供、機内アメニティの提供を行なうケースもある[1]。
登場から10年以上が経過し、当初は初期のビジネスクラス同様座席程度の違いでしかなかったものが、座席幅の拡大や座席間隔の拡大、ソフトサービスの拡充、果てはニュージーランド航空のように座席配置そのものに大幅な変更を加え全ての座席が通路または窓側に来るように配置するなど、そのサービス面はかつてのビジネスクラス同様年々拡充傾向にある。
基本運賃番号は航空会社にもよるが、W,O,Tなどが割り当てられる。エコノミーと同じYを利用する場合もある。
注釈
出典
- ^ 「航空旅行ハンドブック ’11-‘12WINTER SCHEDULE」p34 プレミアムエコノミーの価値
- ^ Drescher, Cynthia (2012年10月24日). “Cathay Pacific's Amenity Kits are Down with G.O.D.”. Jaunted (Condé Nast) 2012年11月19日閲覧。
- ^ “Cathay Pacific unveils new inflight amenity kits designed by G.O.D for premium and economy class passengers”. Incentive Travel & Corporate Meetings. 2013年7月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月19日閲覧。
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