ビジービーバー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/07 05:45 UTC 版)
Σ の計算不能性
ラドーは続けて、Σ を押さえ込むような計算可能関数は存在しないことを証明した。つまり、任意の計算可能関数 f に対して、f(n) < Σ(n) を満たすような n が存在することを証明した。
Σを押さえ込む計算可能関数は存在しないことから、特に Σ 自身が計算不能であることがわかる。これは、与えられた候補がビジービーバーであるかを判定する一般的なアルゴリズムが存在しないことを意味する。なぜなら、もしそのようなアルゴリズムがあれば、全ての候補マシンを並べてテストするだけで Σ の値を容易に決定できてしまうからである。
入力として n を受け取り Σ(n) を計算するような単一のアルゴリズム A は存在しないものの、n までの全ての自然数について Σ(n) を「計算」するようなアルゴリズム An は、Σ(n) が決定可能である限り存在する(計算可能関数#例を参照のこと)。さらに、n が十分に小さいならば、ビジービーバー関数の特殊値を実用的に計算することもできる。例えば、Σ(0) = 0, Σ(1) = 1 を示すのは難しくないし、次第に困難にはなるが、Σ(2) = 4 と Σ(3) = 6 と Σ(4) = 13 (オンライン整数列大辞典の数列 A028444) を示すこともできる。n > 4 についての Σ(n) は未算出だが、4098 と いう下限値がそれぞれ n = 5 と n = 6 について得られている。n = 12 については、Dewdney[1984] は次のいささか大きな下限を紹介している:
ここで指数の塔には 4096 が 166 回出現し、指数の塔の頂上に 4 が乗る。
- ^ 記号の個数を m とおけば、[2m(n+1)]mn。 チューリングマシンを表す状態遷移表(縦に記号、横に状態を並べる)において、1つのセルの取りうる値の候補が、左右の動きの候補が2個、出力する記号の候補がm個、停止を含んだ遷移先の状態の候補がn+1個なので、[2m(n+1)]mnになる
- ^ 訳注:Turing-instructions:チューリングマシンのプログラム。ここで言う「状態」は、テープから読み取った記号ごとに対応する動作指示を記述する形を採るので、すなわちプログラムでもある。#ビジービーバーであるチューリングマシンの例を参照
- ^ 訳注:ここで言うシフトとはテープ上を移動する操作のことか?
- ^ Adam Yedidia and Scott Aaronson (May 2016). A Relatively Small Turing Machine Whose Behavior Is Independent of Set Theory (Technical Report). MIT. arXiv:1605.04343. Bibcode:2016arXiv160504343Y。
- ^ a b “The Busy Beaver Frontier”. 2023年9月29日閲覧。
- ^ a b “The Undecidability of BB(748)”. 2023年9月29日閲覧。
- ^ “Three announcements”. Shtetl-Optimized blog. (2016年5月3日) 2023年9月29日閲覧。
- ^ “GitHub - sorear/metamath-turing-machines: Metamath proof enumerators and other things.”. GitHub (2016年5月16日). 2023年9月29日閲覧。
- ^ “GitHub - sorear/metamath-turing-machines: Metamath proof enumerators and other things.”. GitHub (2017年8月8日). 2023年9月29日閲覧。
- ^ “Life, blogging, and the Busy Beaver function go on” (2023年7月5日). 2023年9月29日閲覧。
- ^ グレゴリー・チャイティン、1987年
- ^ “The nineteenth Busy Beaver number is greater than Graham's Number!” (英語). Googology Wiki. 2023年1月3日閲覧。
- ^ 訳注:例えば現状態がAで入力が記号0なら、0行A列が交差する位置のマス目の中身を実行する
- ^ 訳注:Rはright(右) Lはleft(左) Hはhalt(停止)を示す
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