ニーア オートマタ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/20 05:14 UTC 版)
ゲームシステム
基本
プレイヤーは荒廃した地球を舞台に、シナリオの進行に合わせて2B・9S・A2の3名を操作キャラクターとして探索・戦闘を行う。カメラは操作キャラクター後方からの三人称視点が基本となるが、一部のステージや戦闘では自動的にトップビュー、もしくはサイドビューに移行する。
フィールドはオープンワールドとなっており、シームレスに繋がった世界をロードなしで自由に移動することができる[注釈 1]。またゲーム中盤からはファストトラベル機能も開放され、短いロード時間を挟んで離れた場所へと瞬時に移動できるようになる。水辺では釣りができ、その取得物には特定の釣場でないと入手できないものもある。またフィールド上にいる動物には特定のアイテムを与えて騎乗し、移動手段とすることができる。
RPGの要素としては、経験値によるレベルの上昇、アイテムの収集・売買、NPCとの会話によるサブクエストの発生などが挙げられる。チュートリアルを除けば発生したサブクエストの進行状況がメインシナリオに干渉することは無いが、その内容には様々なものが用意されており、キャラクターや世界の魅力を描く一助となっている[19]。
また、本作はオートセーブ機能を採用しておらず、ゲームデータの保存はフィールド上に設置された「アクセスポイント」と呼ばれるセーブポイントでの手動セーブが主となる[注釈 2]。これは前作『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』の際に上がった「手動セーブなんて古臭い」という意見に対してディレクターのヨコオが「絶対に次も入れてやる」と反発した結果であり、ゲームデザイナーの田浦は「オートセーブは入れたかった」と語っている[20]。
戦闘
戦闘は地上戦、空中戦、ハッキングの3種類に大きく分けられる。地上戦はフィールド上に設置された敵とのリアルタイムバトルであり、この作品の特徴である多彩なアクションを行える。空中戦は飛行形態時は縦スクロールの、機動形態時は全方位のシューティングで行われる。ハッキングも全方位シューティングではあるが、空中戦とは異なりミニゲーム的な要素が強い。
- 地上戦
- □ボタンのスピードアタック、△ボタンのヘビーアタックを基本に、ジャンプ、回避、ポッド射撃、ポッド・プログラムなどを組み合わせて行う。
- 装備できる武器は小型剣、大型剣、槍、格闘の4種類が用意されており、スピードアタックとヘビーアタックにそれぞれ任意の武器、もしくは素手状態を設定することができる。また装備は2セット保存することができ、これらはコンボの途中でも切り替えることができる。
- 同じ武器種でもスピードアタックとヘビーアタックのどちらに設定するかでモーションが変わり、武器種の組み合わせによるコンボ内容の変化と合わせて多様なアクションを行えるようになっている。
- ジャスト回避
- 敵の攻撃をタイミングよく回避できると発生し、特殊なカウンター攻撃を行える。
- チャージアタック
- スピードアタック、もしくはヘビーアタックの長押しで通常とは異なった攻撃が発生する。
- フィニッシュブロー
- 敵のダウン時に○ボタンを押すことで高威力の追撃を行える。
- ポッド射撃
- ポッドと呼ばれる小型随行支援ユニットによる遠距離攻撃。ガトリング弾、レーザー、ミサイル弾の3種類がある。継続して撃ち続けることができるが、武器による近接攻撃に比べると一撃のダメージは低い。
- ポッド・プログラム
- ポッドにセットすることで使用できるスキル。敵にダメージを与えるものの他、敵の行動を阻害するものや、プレイヤーのHPを回復するものなどがある。概ね攻撃力や範囲に優れているが、使用するとクールタイムが発生する。
- 自爆
- 2Bと9Sでのみ使用可能。発動すると周辺に大ダメージを与えることができるが、代わりに自身の残りHPが1になり一定時間動けなくなる。
- バーサーカーモード
- A2でのみ使用可能。発動すると周囲に大ダメージを与え、HPが減り続ける代わりに攻撃力が上昇。さらに回避モーションに攻撃判定が付与される。モードの任意解除はできず、HPが1になると強制的に終了する。
- 挑発
- 敵へ向けてポッドのライトを点滅させると発動。A2のみ、□ボタン長押しでも発動できる。一定時間、敵の攻撃力が上昇する代わりに防御力が下がる。
- 空中戦
- 飛行ユニット搭乗中に行われる戦闘。R1ボタンでの射撃を基本に、□ボタンでの近接攻撃、回避、ミサイルの全弾発射などを組み合わせて行う。射撃の種類はポッドに依存し、地上戦闘時と同様にガトリング弾、レーザー、ミサイル弾の3種類を使い分けることができる。
- ハッキング
- 9Sでのみ使用可能。ハッキング可能な対象へ△ボタンを長押しすることで発動。ハッキングに入ると多方向スクロールシューティングが始まり、ステージ内にあるコアにあたるものを撃破することで成功となる。成功すると敵に大ダメージを与えることができるほか、ロックされていた扉や宝箱を解錠することもできる。
- また敵へのハッキング開始時に9Sが発見されていなかった場合、成功後に対象を爆破し大ダメージを与える「爆破」、対象を味方と化し自動で敵を攻撃させるようにする「従属化」、プレイヤーが対象を自由に操作できるようになる「リモート操作」のいずれかを選ぶことができる。
強化・育成
戦闘やサブクエストなどによって得た経験値によるキャラクターレベルの上昇以外に、武器の強化や「プラグイン・チップ」による自機のカスタマイズが行える。
- 武器のレベルアップ
- 強化に必要な素材と金銭を用意することで最大でLV.4まで上げられる。強化をすると武器の攻撃力が上昇するほかに、その武器にまつわる逸話やショートストーリーが書かれた「ウェポンストーリー」が開放されていく[21]。またLV.4になると武器ごとに固定の特殊効果が発現する。
- ポッドの強化
- 武器と同様で強化に必要な素材と金銭を用意することで可能になり、こちらも最大でLV.4まで上げられる。LV.4まで強化すると一種の溜め攻撃のようなものが行えるようになる。
- プラグイン・チップ
- ショップでの購入、または敵からのドロップやクエストの報酬として入手した「チップ」を最大で128ある装備スロットにセットすることで、基礎パラメーターの向上や補助効果の付与を行える。
- 攻撃力やHPなどのパラメーターを上げるもの、攻撃時に追加で衝撃波を放つもの、ドロップされたアイテムを自動で回収するものなど、様々な種類のチップがある[22]。また同名のチップでも値無しから+8までのレベルがあり、装備コストも4〜34と幅広い。高レベルのものは効果が高い分、装備コストが重くなる傾向がある。
その他の要素
- 難易度の選択
- 難易度はEASY、NORMAL、HARD、VERY HARDの4種類から選択でき、ゲームのプレイ中でもシューティングパートを除くほぼ全ての状況で変更することができる。難易度によって後述するオートモードの使用ができるか否か、敵のステータスが変化する程度の違いはあるが、ストーリー内容や取得できる武器、アイテムなどに変化は無い。
- オートモード
- 難易度EASYのときのみ使用できる。ゲーム開始時に「オート攻撃」「オート射撃」「オート回避」「オートプログラム」「オート武器切り替え」のプラグイン・チップが支給され、いずれか一つでもセットすることでオートモードを起動でき、対応する行動をAIが自動で行うようになる。AIの自動行動中もプレイヤーが任意での攻撃、回避、ポッド・プログラム、アイテムの使用を行い割り込むことが可能であり、その場合はAIの行動よりプレイヤーが入力した行動の方が優先される。
- ヨコオはこのシステムについて、「『ベヨネッタ』にあったベリーイージー・オートマチックモードをさらに発展させたもの」だと「東京ゲームショウ 2016」で開かれたイベントの中で述べ[13]、田浦は「ゲームのイベントシーンをスキップできるように、戦闘をスキップできるようにしてもよいのではと考えて実装した」としている[23]。
- 義体システム
- プレイヤーが死亡すると、その場所に義体と呼ばれる亡骸が残される。これには死亡時に装備していたチップが残されており、アクセスして「回収」することで紛失時の状態に戻ることができるほか、「修理」を行うことでその義体を味方として連れ歩くこともできる。回収する前に再び死亡、もしくは長時間回収しないでいた場合、その義体はチップとともに消滅してしまう。
- また、ネットワーク機能をONにした場合は他のプレイヤーの物も表示されるようになる。他者の義体は「回収」をするとその義体が死亡時に装備していたチップからランダムで3つの効果が一定時間付与され、「修理」を行うと自身の義体と同様に、最大で一体を仲間として連れて行くことができる。このほか、他者の義体にのみ「黙祷」が選択でき、これを行うと義体の持ち主のHPが全快し、アイテムが届く。
- ^ 最初は完全なオープンワールドではなく、ストーリー進行に合わせて行動できる範囲が広がっていく[11]。
- ^ 前述したファストトラベル機能もこのアクセスポイントを使用して行う。
- ^ 主題歌「Weight of the World」が流れるのはこれらのエンディングのみである。
- ^ パッケージ版封入の「人類防衛新聞」には「ヨルハ部隊ホワイト司令官」と記載されている。また、バンカー崩壊後にジャッカスに話しかけると、彼女が「ホワイト」の名を口にする。
- ^ 『小説 NieR:Automata 長イ話』では、「自分たちを生み出しただけで、導くことはしてくれなかった創造主」に対しての憎悪であると書かれている[25]
- ^ 川渕は2BとA2のモーションアクターも兼任している[27]。
- ^ 『PAX East 2017』にて、ディレクターのヨコオが「欧米版と日本版では、あるキャラクターの名前が著作権に抵触したために異なっている」と述べている[29]。
- ^ ゲーム内アーカイブ「機械生命体研究報告書」では「N2」、エンドロールでは「Terminal α / Terminal β」と書かれている。
- ^ ゲーム内に収録されている個体データ「赤い少女」より。
- ^ 『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』に登場したデボルとポポル。
- ^ 2Bを例に取ると、全高(ヒール含む)168cm に対し、体重は148.8kgとなっている[32]。
- ^ 『NieR:Automata Strategy Guide ニーア オートマタ 攻略設定資料集 ≪第243次降下作戦指令書≫』記載の年表にて「西暦11306年に絶滅」と明言された[34]。
- ^ 「オリジナル・ゲシュタルト」のこと。詳細は『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』の記事を参照。
- ^ EDクレジットでは「Masato Shindo」と表記されている。「進藤雅人」の名前は本作の公式ブログにおける2016年06月27日の記事で確認できるが[58]、同記事がプラチナゲームズの公式ブログに転載された際、「進藤美咲」の名前に訂正されている[59]。
- ^ 2019年2月時点では配信が終了している。
- ニーア オートマタのページへのリンク