シャッター (カメラ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/25 07:18 UTC 版)
制御方式による分類
シャッター速度を制御する方式によって、大きく機械制御式と電子制御式に分けられる。併用されているハイブリッドシャッターもある。
その他にデジタルカメラでは、機械的構造を持たない、いわゆる電子シャッターとすることもある。
機械制御式
シャッター速度の制御を、ガバナーやスプリングなどによって機械的に行うものである。部品の小ささ、精度、計時の正確性、耐久性などの共通性から、懐中時計や腕時計を製造できる技術を持つメーカーが手掛けることが多い。かつてはシリンダーを取り付け、空気圧を利用して秒時制御をするものもあった。精度は電子式(電子シャッター)に比べて劣るが、電源が不要であるため、ロシア地域など極寒地でも確実に動作する利点がある。135フィルム使用カメラでは、この方式は少なくなっている。
電子制御式
シャッターそれ自体が機械であることに変わりはないが、いわゆる「メカトロニクス」による電子制御とソレノイドなどによる電気機械的な駆動で動作を行うものである。マイクロコンピューターや水晶振動子(クオーツ)などを利用しており、自動露出機構との連動も可能である。精度の高いシャッター速度の制御が可能であるが、電源が必要であり、電源電圧が低下する極寒地などでは動作の信頼性が低下する場合もある。絞り優先AEなど、シャッター速度を自動的に制御するためには、事実上電子式シャッターが不可欠である。機構としては、シャッター膜・シャッター羽根を電磁石で直接駆動するものと、駆動そのものは機械式でシャッター閉じ動作の遅延のみ電磁石で制御する方式があり、電子制御プログラムシャッターなどの多くは前者、絞り優先方式レンズシャッター(コパルの「コパルエレク」など)および電子制御フォーカルプレーンシャッターは後者の方式を用いている。
ハイブリッド式
電子式と機械式の機構を組み合わせたもの。広義には上記の「電子シャッターのうちシャッター幕・シャッター羽根の閉じ動作のみ電磁石で制御するもの」を指すこともあるが、通常は特に複数のシャッター速度を、機械制御と電子制御・いずれの方法でも作り出すことができる機構を持つシャッター全般を指す。たとえば、高速シャッターは機械制御式で・機械式では得ることが困難な低速シャッターは電子制御式のもの、自動露出モードのときは電子制御・手動露出のときは機械制御となるもの、基本的には電子制御による自動露出・電池消耗時用には補助的に手動露出の高速シャッターのみ備えるもの、などがある。
デジタルカメラ
デジタルカメラでは、機械的な機構を一切持たない、固体撮像素子とエレクトロニクスのみによるいわゆる「電子シャッター」もある。以前は、ローリングシャッター[2]によって順次露光するために高速に移動する被写体の像が歪むなどの欠点のために、安価な製品や、携帯電話・スマートフォンなどの電子機器に内蔵されるカメラに採用は限られていた。しかし、一度に取り込むグローバルシャッター[3]の開発が進んで欠点が解消されつつあることや、シャッターの耐久性などといったこともあり、単体のデジタルカメラ製品でも電子シャッターモードを持つものがあらわれてきている。
注釈
- ^ 複数のレンズで構成されたビューカメラ用レンズでは、前群(前玉)と後群(後玉)という2つのレンズ群でシャッターユニットを挟みこむ構造となっている。
- ^ 35 mm一眼レフカメラをそのまま大型化した構成のペンタックス67シリーズやペンタックス645やハッセルブラッド1600F,1000F,2000FC,2000FC/M,2000FCW,2003FCW,205TCC,203FE,201F,205FCC,202Fの各機種は、横走りのフォーカルプレーンシャッターを採用しており、中判カメラでは例外的な存在である。
出典
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