サーモホン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/24 04:41 UTC 版)
サーモホン(thermophone)は電気信号を熱に変え音に変換する装置である。サーモホンの原理は19世紀頃から知られており、20世紀の初めごろにはマイクロフォンの感度較正用に用いられた。その後しばらく忘れられていたが、カーボンナノチューブなどの新しい素材の発明に伴いシート状スピーカーなどへの応用が研究されている[1]。
概要
金属薄膜や金属細線などに電流を流すと熱が発生し周りの空気を膨張させるため、交流電流を流すと周期的な熱の変動による圧力の変化が周りに伝わり音波を発生させることができる。サーモホンはこのような原理で電気信号を音に変換する装置で、ダイナミックスピーカーなど通常のスピーカーで必要な振動板を持たず、電極とそれらの間の導体(金やプラチナの薄膜など)からなる単純な構造を持つ。
金属を使ったサーモホンは電気エネルギーを音に変換する効率が低く小さな音しか出ないためスピーカーなどの用途には使用されなかった[1][2]。構造が単純なため電気エネルギーと発生する音のエネルギーとの関係を理論的に計算することが可能で、コンデンサマイクなどの絶対感度の校正のために使用された[3][4]。
詳細
サーモホンが発生する音のエネルギーは電気信号による熱エネルギーにほぼ比例する。導体に流れる電流を I = I1sin(ωt) 、導体の抵抗を R とすると熱エネルギー P は以下のように表現できる。
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