クロオオアリ 天敵

クロオオアリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/15 22:11 UTC 版)

天敵

同じヤマアリ亜科のトゲアリは、結婚飛行後に翅を落とした女王アリがクロオオアリやムネアカオオアリの巣に侵入し、働きアリにマウントして巣のにおいを付けた後、女王アリを殺し、一時的社会寄生を行うことによってコロニーを立ち上げる[2]

飼育

日本産のアリの中ではトビイロシワアリなどと並び、飼育が比較的容易な種である。簡易な方法では水槽などに清潔な土や砂を適当量入れ、同一コロニーの個体を入れ逃げ出せないような蓋をして巣を作らせ、エネルギー源として砂糖水などを与えればよい。ただし、長期にわたり飼育・観察をすることが目的である場合には、以下のような工夫が必要である。

  1. 外部から観察が容易な飼育装置を作成することで、巣の中のアリの状態をきめ細かく把握できるようにする。
  2. 飼育装置内の湿度等の管理や清掃が容易な飼育装置を工夫する。
    飼育装置の中は乾燥しすぎるとアリが脱水によって死滅する。しかし過湿になると不潔になりやすいし、水没するなどもってのほかである。たとえば、先項の石膏蟻巣は石膏部分に水分を与えることで容易に飼育装置内の湿度を適切なレベルに保つことができ、管理がしやすい。土を掘って巣を作らせたい場合には、鹿児島大学理学部の山根正気名誉教授の研究室で考案された改良ジャネー法の飼育装置のように石膏と土を併用し、石膏層を通じて間接的に土の水分を調節するのも、1つの方法である。清掃に関しては飼育装置の巣の部分と餌場を分離し、餌場を頻繁に清掃するとよい。巣の部分に汚れが蓄積した場合には、コロニー全体の引っ越しも必要となる。
  3. 必ず女王アリを確保したコロニーを飼育する。
    働きアリの寿命はせいぜい1 - 2年であり、10年を超える女王アリのひいてはコロニー全体の潜在的な寿命と比べ、著しく短い。女王アリを欠くコロニーは、徐々に個々の労働意欲が減少し働かない個体が増加していき、働きアリの寿命が尽きた段階で速やかに消失することとなる。まれに生殖役割を担う働きアリが出現することがあるが、未交尾のため未受精卵であり、羽化するのはすべて雄アリとなり、いずれにしてもコロニーの崩壊は避けられない。女王アリの確保のためにはペットショップやネットオークション等で販売されている女王アリまたは女王含む数匹〜成熟したコロニーを購入するか、あるいは結婚飛行の直後に巣穴を掘る場所を探しつつ地面を徘徊している交尾後の脱翅雌(新女王)を採集して初期コロニーから育て上げるという方法がある。
  4. 餌の種類・量を適切に管理する。
    成虫の活動のためには糖分があればよいが、幼虫が成長する、あるいは女王アリが産卵するためにはタンパク質が必要となる。アリの飼育に当たっては、この両者をバランスよく与えることが重要である。糖分に関しては砂糖水や蜂蜜がよく使われてきたが、安価な蜂蜜では添加物などのためか与えても摂食しないという証言が増えてきている。そのため、21世紀になってから日本では趣味でアリを飼育する者が増えてきているが、彼らの間ではメイプルシロップを薄めたものを与えるのが普通になってきている。タンパク源としてはクロオオアリは比較的餌の種類にうるさくなく、削り節であっても巣に運ぶが、カやハエなど新鮮な昆虫の死体、解凍した冷凍赤虫などが適している。またミルワームやヒラタコクヌストモドキ、小型の蛾の幼虫のような生きた獲物を与えれば、連携して狩りをする姿を観察することもできる。両者を兼ねる餌としてクワガタムシ飼育用に開発された、高タンパク型のゼリー状の人工飼料にもクロオオアリの飼育に適したものがある。ただし、毎度同じ餌を与えていると食いつきが悪くなる場合もあるため、上記の餌を数種類ルーティンさせるとよい。

適切な管理ができれば女王アリの寿命である 20年にわたり、飼育・観察が可能である。

脚注




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