ウィリアム・リーヒ 原爆投下について

ウィリアム・リーヒ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/24 13:09 UTC 版)

原爆投下について

前列左から:クレメント・アトリーハリー・S・トルーマンヨシフ・スターリン; 後列:ウィリアム・リーヒ、アーネスト・ベヴィンジェームズ・F・バーンズヴャチェスラフ・モロトフ.

ヴァネヴァー・ブッシュ原子爆弾の作用を説明した後、リーヒはトルーマン大統領に対して「これは我々がなしえた最も馬鹿げたことです。この爆弾は使うべきではありません。私は爆薬の専門家として進言します。[1]」と話したと、戦後になって主張している。ルーズベルトの死後は引き続きトルーマン大統領を補佐したが、非戦闘員を犠牲にすることをよしとしない軍人としての立場から、原子爆弾の試験後も日本への原子爆弾投下に対しては批判的だったという。しかし、リーヒが日本への原爆投下に当時実際に反対したという実質的な証拠は何ら存在しないとされている[4]

彼の回想録では以下のように語っている。

「日本上空の偵察で米軍は、日本に戦争継続能力がないことを知っていた。また天皇の地位保全さえ認めれば、実際原爆投下後もアメリカはそれを認めたのだが、日本は降伏する用意があることも知っていた。だがトルーマン大統領はそれを知っていながら無視した。ソ連に和平仲介を日本が依頼したことも彼は無視した。この野蛮な爆弾を日本に投下したことは、なんの意味を持たなかった。海上封鎖は十分な効果を挙げていた。

この新兵器を爆弾、と呼ぶことは誤りである。これは爆弾でもなければ爆発物でもない。これは“毒物”である。恐ろしい放射能による被害が、爆発による殺傷力をはるかに超えたものなのだ。

(原文は、 "Bomb" is the wrong word to use for this new weapon.It is not a bomb. It is not an explosive. It is a poisonous thing that kills people by its deadly radioactive reaction, more than by the explosive force it develops.)[2] アメリカは原爆を投下したことで、中世の虐殺にまみれた暗黒時代の倫理基準を採用したことになる。私はこのような戦い方を訓練されていないし、女子供を虐殺して戦争に勝ったということはできない!」

リーヒは決して卓越した戦略家でも軍政家でもなかったが、穏健な良識家として知られ、とりわけルーズベルト大統領の信望が篤かった。統合参謀本部においては表立って意見を表明することはせず、会議の調整役と大統領への連絡役に徹したという。

リーヒは、トルーマンに無条件降伏に固執せず、被害を大きくするべきではないと意見している[5]


  1. ^ http://dictionary.reference.com/browse/leahy
  2. ^ Naval history section
  3. ^ Leahy, William I Was There Whittlesey House 1950 p. 8
  4. ^ The decision to use the atomic bomb | WWII, Hiroshima & Nagasaki”. Encyclopædia Britannica, Inc.. 2023年12月24日閲覧。
  5. ^ 金子敏夫 『神風特攻の記録』 光人社〈光人社NF文庫〉、2001年。p. 225


「ウィリアム・リーヒ」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ウィリアム・リーヒ」の関連用語

ウィリアム・リーヒのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ウィリアム・リーヒのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのウィリアム・リーヒ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS