ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ 論理学

ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/16 15:36 UTC 版)

論理学

ジェヴォンズの論理学での出版は、経済学での出版と足並みを揃えて行われた。1864年に彼は『純粋論理学、または量とは別の質の論理学』("Pure Logic; or, the Logic of Quality apart from Quantity")と表題がつけられた小冊子を出版した。これはブールの論理体系に基いていたが、彼がその体系の誤った数学的装いと見なしたものには縛られなかった。これに続く数年間、彼は1870年に王立協会の前に展示された論理機械の組立に相当な関心を払ったが、その意味は、いかなる与えられた前提のセットからでも推論可能な結論が機械的に得られる、というものだった。1866年、彼が全ての推論の大きく普遍的な原理と見なしたものが、彼に分かり始めた。そして1869年に、彼はこの基本的学説の梗概を、『類似物の代用』("The Substitution of Similars")という表題の下で出版した。彼はその原理を、「ある事柄の真実は、それと同様な事柄の真実」(英文:"Whatever is true of a thing is true of its like.")という最も単純な形式で示し、その様々な適用を詳細に解き表した。

翌年に出版された『論理学の初等授業』("the Elementary Lessons on Logic")は、間もなく英文で最も広く読まれる論理学の初等教科書となった。その間に、彼は多くのより重要な論理学の論文を書き、それらは1874年に『科学の法則』という表題で出版された。この著作の中で彼は、『純粋論理学』と『類似物の代用』における彼の初期の著作の内容を具体化した。彼はまた、帰納法が単に演繹法の逆の使用である、という見方を表明し、発展させた。彼は明快なやり方で、蓋然性についての一般理論、そして蓋然性と帰納法との間の関係を取り扱った。彼の自然科学に関する様々な知識は、しばしば非常に細部にわたって計画された具体的で科学的な実例によって、彼が終始、論理学の学説の抽象的な特性を和らげることができるようにした。彼の帰納法についての一般理論は、ウィリアム・ヒューウェルによって述べられジョン・スチュアート・ミルによって批判された理論の復活であった。しかし、それは新しい形式に表され、ヒューウェルが反論に対して無防備な説明を行った本質的でない付属物のいくつかには縛られなかった。全体としての著作は、19世紀の英国に出現した論理学の学説として、最も有名な貢献の1つであった。主に学生が使用するための練習と問題を含む、彼の『演繹論理学の研究』("Studies in Deductive Logic")は、1880年に出版された。1877年から数年、彼はミルに関するいくつかの記事を『現代の評論』("Contemporary Review")に寄稿した。それらはその後の記事で補足するつもりであり、やがてはミルの哲学への批判として一冊の本に出版するつもりであった。これらの記事と他の1点は、彼の死後、彼の初期の論議学の論文と共に、『純粋論理学、およびその他の小品』("Pure Logic, and other Minor Works")と表題が付けられた本の中で再出版された。ミルへの批判は独創的な多くのもの、そして力強い多くのものを含んでいるが、概して、それらは彼の他の著作ほどの域に達しているとは見なされていない。彼の力強さは批評家としてではなく、独創的思想家としての力にある。彼は論理学者、経済学者、統計学者としての建設的な著作によって記憶されるであろう。


  1. ^ a b c d e f g 福岡正夫ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ : 没後100年」三田学会雑誌vol.76,No.1(1983.4),p.18-54.
  2. ^ ジェボンズ』 - コトバンク
  3. ^ a b c d 大橋容一郎近代日本における論理学の移入とカント哲学」『日本カント研究』22、日本カント協会、2021年、p.45
  4. ^ "Jevons; William Stanley (1835 - 1882)". Record (英語). The Royal Society. 2016年1月29日閲覧
  5. ^ Missemer, Antoine. "William Stanley Jevons' The Coal Question (1865), Beyond the Rebound Effect", Ecological Economics, Volume 82, October 2012.
  6. ^ “Review of A Survey of Political Economy by John Macdonell and The Theory of Political Economy by Prof. Stanley Jevons”. The Athenaeum (2297): 589–590. (4 November 1871). https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=iau.31858029267923;view=1up;seq=603. 
  7. ^ “Review of Investigations in Currency and Finance by W. Stanley Jevons”. The Athenaeum (2957): 817. (28 June 1884). https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=uc1.c3470751;view=1up;seq=831. 
  8. ^ "J. S. Mill's Philosophy Tested by Prof. Jevons", Mind, Vol. 3, No. 10, April 1878.
  9. ^ Jackson, Reginald. "Mill's Treatment of Geometry: A Reply to Jevons", Mind, New Series, Vol. 50, No. 197, January 1941.






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