アルト・ロペス 経歴

アルト・ロペス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/21 15:40 UTC 版)

経歴

1961年ニューヨーク・ヤンキースと契約。1965年メジャー初昇格を果たし、同年は38試合に出場するものの目立った成績は残せず、メジャーに昇格したのは同年の1シーズンのみに終わった。1967年には所属こそヤンキースに置いていたが、実際にはプエルトリコに帰国し百貨店の売り子になっていた[1]

1968年に来日し、成績不振に喘いでいた東京オリオンズに入団。このとき、オリオンズはヤンキースと交渉し、ヤンキースからは「ロペスなら出してもいい」と言う返答を得られた。オリオンズはヤンキースのスター選手であるヘクター・ロペス(1966年限りで引退)が来てくれると大喜びだったが、ヘクター・ロペスは右投右打なのに対し、ハワイマウイ島春季キャンプに現れたアルト・ロペスは左投左打で、全く別人であることが判明[2]。しかしオリオンズは「ダメだったらすぐにアメリカに帰せばいいから」と大らかに構え、そのまま入団させた[3]。ヤンキースに支払った移籍金はたったの1000ドル(当時のレートで36万円)と格安だった[1]

開幕戦でいきなり決勝タイムリー三塁打を放つ。オールスターゲーム第1戦では、オールスターゲーム史上初となる初回先頭打者初球本塁打を記録[注 1][注 2]。同年は中堅手右翼手として起用され、打率.289(リーグ6位)、本塁打23本であった。狭い東京スタジアムの外野スタンドフェンスぎりぎりに本塁打を打つ技術を心得ていて[2]、入団から4年連続で本塁打20本以上を記録。さらに2年目の1969年からは3年連続で打率3割を記録するなど、外国人選手として同じ年に入団したジョージ・アルトマンクリーンナップを組んで活躍した。中でも、1970年には打率.313(リーグ4位)、本塁打21本を記録してリーグ優勝に貢献。その活躍ぶりが認められて、オリオンズの球団オーナーであった永田雅一に可愛がってもらっていたが、永田はいつも「ペロス」と呼び間違えていたという。ロペスも永田が観戦した試合ではよく打った[1]

1972年に監督の大沢啓二のチーム改革により、外山義明トレードの形でヤクルトアトムズに移籍。移籍を伝えられた際、ロペスは大沢に対して「ハートが冷たいよ」と日本語で言ったという[3]。同年は打率.286(リーグ8位)、14本塁打の成績を残す。しかし東京スタジアムに比べて広い神宮球場では本塁打数が落ち、広い外野で守備の拙さも目立つようになるなど[2]、オリオンズ時代ほどの活躍はできなかった。同年6月21日の対大洋戦では2回表、クリート・ボイヤーの平凡な右飛を右翼手のロペスが落球し、そこからプロ野球記録となる11人連続出塁で11失点を喫した。ヤクルトでは一塁手としても起用されるが、1973年限りで退団し帰国した。年俸交渉で大いに揉め、球団持ちだったプエルトリコへの渡航費も「帰ったつもり」で貯金していたという[1]

一部媒体ではヘクター・ロペスの弟だと言われていた事があるが、ヘクターはパナマ出身であるのに対しアルトゥーロはプエルトリコの出身であり実際に血縁関係はない。


注釈

  1. ^ この打席で着用していたヘルメットはなぜか南海ホークスのものだった。この試合は江藤慎一のサヨナラ本塁打で終わっているが、先頭打者初球本塁打で始まり、サヨナラ本塁打で終わった例としては、当時、シーズン公式戦においても1938年の1例(参照)のみの記録。[4]
  2. ^ a b オールスターゲーム初打席での初回先頭打者本塁打も史上初。[5]

出典

  1. ^ a b c d プロ野球データファイル(ベースボール・マガジン社)第62号
  2. ^ a b c d 『日本プロ野球歴代名選手名鑑』395ページ
  3. ^ a b フジテレビトリビア普及委員会 『トリビアの泉〜へぇの本〜 5』講談社、2004年。 
  4. ^ 講談社刊 宇佐美徹也著『プロ野球記録大鑑』P430
  5. ^ 陽「びっくり」先頭初打席弾”. 日刊スポーツ (2012年7月21日). 2018年4月25日閲覧。
  6. ^ アルトマン、ロペス、リー、レオン、ディアズ&フランコ「東京の下町から川崎、そして千葉は幕張へ。ロッテ強打の助っ人たち」/プロ野球20世紀の男たち - 週刊ベースボールONLINE 2019年10月20日配信


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