高地脳浮腫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/14 02:36 UTC 版)
高地脳浮腫 | |
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別称 | High-altitude cerebral oedema (HACO) |
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携帯型高圧酸素室の実演の様子 | |
概要 | |
診療科 | 荒野医療 |
症状 | 協調運動障害、混乱[1] |
原因 | 標高>4,000メートル (13,000 ft)[1] |
危険因子 | 急な標高上昇、高地での激しい運動、高山病の既往歴[1] |
診断法 | 症状に基づく[1] |
鑑別 | 精神病、低血糖、一酸化炭素中毒、低ナトリウム血症 |
合併症 | 発作[1] |
予防 | 徐々に標高を上げる[1] |
治療 | 直ちに標高を下げる、酸素、デキサメタゾン、携帯型高圧酸素室[1] |
予後 | 致命的となる可能性がある |
頻度 | < 1%(4,000メートル (13,000 ft))[1] |
分類および外部参照情報 |
高地脳浮腫(こうちのうふしゅ、 英: High-altitude cerebral edema、HACE)は、高地の影響で脳が腫れる疾患である[1]。症状には、協調運動障害や混乱などが多くあげられる[1]。多くの場合、発症前には頭痛、睡眠障害、吐き気、食欲不振などの急性高山病の症状がみられる[1]。発作や高地肺水腫の発症につながる場合がある[1]。
発症は、標高4,000メートル (13,000 ft)以上で2日後におこるの一般的であるが、標高2,500メートル (8,200 ft)でも発症する場合がある[1]。危険因子としては、急激な標高の上昇、高地での激しい運動、高山病の既往歴などがあげられる[1]。根本的な機序としては、低酸素による血管拡張、毛細血管からの漏出、血液脳関門の障害が関与していると考えられる[1]。診断は症状に基づいておこなわれる[1]。
治療は迅速に標高を下げることである[1]。下降が不可能な場合、酸素、デキサメタゾン、または携帯型高圧酸素室が使用される場合がある[1]。予防方法としては、寝る場所の標高を徐々に高くしていくことである[1]。医薬品のアセタゾラミドも予防に用いられている[1]。
HACEはまれな疾患であり、標高4,000メートル (13,000 ft)以上に登る人の1%未満に発症する[1]。一般的に女性よりも男性に多くみられる[1]。発症から24時間以内に死亡することもある[1]。HACEが明確に説明されたのは1913年にトーマス・レイヴンヒル(Thomas Ravenhill)によるのが最初である[2]。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w Jensen, JD; Vincent, AL (January 2020). “High Altitude Cerebral Edema”. StatPearls. PMID 28613666.
- ^ Milledge, James S.; West, John B.; Schoene, Robert B. (2007) (英語). High Altitude Medicine and Physiology. CRC Press. p. 252. ISBN 978-1-4441-1368-6. オリジナルの2021-08-28時点におけるアーカイブ。 2020年12月4日閲覧。
外部リンク
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