自伝的小説とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 自伝的小説の意味・解説 

自伝的小説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/26 08:46 UTC 版)

自伝的小説(じでんてきしょうせつ、:autobiographical novel)は、オートフィクションのテクニックを使ったり、自伝的要素とフィクションの要素が混じり合っている小説の形態である。文学的な技法は、フィクションであるということがお約束であるということで、自伝回顧録とは区別される。 自伝的小説は、部分的にフィクションであるため、著者は読者がテキストに「自伝的な約束事」を満たすことを期待することを求めない[1]。 作中人物の名前や物語の舞台は、たいてい変更されるし、イベントはよりドラマチックになるように演出されているが、それでも物語はなお著者の人生の物語に非常によく似ている。著者の人生の出来事が語られている一方、それが真実であるかどうかと行った言い訳は存在しない。イベントは芸術的、もしくはテーマ上の理由から誇張されたり、変更を加えられたりしている。

著者が精通している設定や状況を描いた小説が、かならずしも自伝的とは限らない。著者の人生から取り込んできた部分を、物語のあまり重要ではない脇道のエピソードとして使っているというような自伝的小説というのもない。ほとんどの基準で自伝的小説とみなされるためには、著者をモデルにした主人公と、彼または彼女の人生の出来事を反映した中央のプロットラインが必要である。これらの要件を完全には満たしていない、または真の出来事からさらに離れている小説は、半自伝的小説と呼ばれることもある。戦争、家族の対立、性的関係などの個人的な強烈な経験を描く多くの小説は、自伝的小説として書かれている。 一部の小説は、公然と「ノンフィクション小説」(en:nonfiction novel)と名乗っている。そのような作品の定義は、曖昧なままである。 この呼名は、最初トルーマン・カポーティの非自伝的な小説「冷血」に関連して広く使われたが、その後、自伝からおおっぴらに採ってきた題材で書かれたものにも使われるようになった。

多くの場合、価値観や現実の他の側面を掘り下げていく文脈で、本質的に真実である作品を創り上げていくことに重点が置かれている。ロバート・M・パーシグの「禅とオートバイ修理技術」やディビス・ミラーの「モハメッド・アリの道」のような本は、描いている出来事の描写にフィクションが混在していることを認めているが、それらは本質的なところでは真実なのだと言っている。

注目すべき自伝的小説

関連項目

脚注

  1. ^ Philippe Lejeune"Autobiographical Pact," pg. 19

「自伝的小説」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「自伝的小説」の関連用語

1
プチ=ルイ デジタル大辞泉
100% |||||

2
ペンデニス デジタル大辞泉
100% |||||

3
椿の海の記 デジタル大辞泉
100% |||||

4
泥棒日記 デジタル大辞泉
100% |||||

5
繁盛にほんばし弁菊 デジタル大辞泉
100% |||||

6
かくて有りけり デジタル大辞泉
100% |||||

7
オストロフスキー デジタル大辞泉
100% |||||

8
或阿呆の一生 デジタル大辞泉
100% |||||

9
行きづまった男 デジタル大辞泉
100% |||||

10
阿片常用者の告白 デジタル大辞泉
100% |||||

自伝的小説のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



自伝的小説のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの自伝的小説 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS