employee stock ownershipとは? わかりやすく解説

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従業員持株会

【英】employee stock ownership

従業員持株会設立して自社株式継続的に購入する制度
一般的に、従業員持株会には企業側が購入資金補填等を行うため、従業員有利な条件株式購入することが可能となる。また企業としても、最も信頼できるステークホルダーである従業員安定株主として株式継続保有するメリットがあると同時に従業員経営参画意識醸成することも可能となる。

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ESOP

(employee stock ownership から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 00:50 UTC 版)

ESOP(イーソップ、イソップ)とは、『Employee Stock Ownership Plan(従業員による株式所有計画)』の頭文字をとったものであり、企業拠出による従業員に対する退職時雇用者株式給付制度を指す。米国ではEmployee Retirement Income Security Act(ERISA:従業員退職所得保障法)およびInternal Revenue Code (I.R.C.:内国歳入法典)において定義[1][2]され、制度の租税法上の適格性要件が厳格に定められた適格退職金・年金制度であり、確定拠出型年金信託の一形態である[3][4][5]。アイルランド及び英国(及びオーストラリア等の連邦諸国)においても、米国と同様の法制度が存在する。また、中国[6]、ロシア、ハンガリーなどで同様の制度導入が進んでいるといわれている。


  1. ^ ERISA407条(d)(6)
  2. ^ I.R.C.4975条(e)(7)
  3. ^ 黒田敦子『アメリカ合衆国における自己株報酬・年金の法と税制』税務経理協会、1999年、p.109-115
  4. ^ 別添資料 ESOP(Employee Stock Ownership Plan)~自社株に投資する確定拠出型年金”. 経済同友会 (2000年1月16日). 2010年3月3日閲覧。
  5. ^ 従業員による株式所有を推進するための各種制度は、ESOPのほかにもRistricted stock(制限付株式賞与)、ESPPs(Employee Stock Purchase Plans:日本における従業員持株会に類似)、Broad based stock options(原則として従業員全員に広範に付与するストック・オプション、インセンティブ・ストック・オプションとは別)、401(k)プランにおける自社株投資枠などいくつかのものがある。ESOPやRistricted Stockは企業給付型であり、ストック・オプション、ESPPsなどは従業員負担型といえる。
  6. ^ NCEOの調べによれば、世界第2位の規模を持つ従業員所有企業は中国の通信会社Huaweiである。このケースでは、退職時に株式を売り戻すrestricted stock(制限付株式報酬プラン)の一種を通して95,000人の従業員のうちの61,000人によって全株式が所有されているという。退職時に株式を売り戻すことから年金給付ではないが、ノンレバレッジドESOPに近い形態といえる。また、レノボなどを傘下に持つLegend Holdingsもemployee stock ownership associationを通じて35%を従業員(約30,000人)が所有しているという。
  7. ^ 制度のスポンサーである雇用者が、雇用者会社の株式を購入するための現金を毎年拠出する形態
  8. ^ 雇用者会社によって、従業員の口座に一定の金額を拠出する制度。株式の購入に借入を併用することができる。
  9. ^ 米山秀隆「コーポレートガバナンスの改革」富士通総研経済研究所” (2001年7月16日). 2010年3月17日閲覧。
  10. ^ コーポレート・ガバナンスの観点からは、従業員所有だけでなく、消費者所有(CSOP)などステークホルダー株主化推進制度が他に提案されている。
  11. ^ 日本の従業員持株制度は、従業員にとって、小額資金を継続的に拠出することにより無理なく雇用者会社株式を購入でき、それにより、長期的に財産形成を行うことを目的としている。しかし、「このようなことが特定の制度的目的の下で推進されてこなかったという事情もあり、株価の値下がりはもとより、譲渡制限、会社経営の悪化に対する歯止め、持株会運営主体と会社との経営政策上の癒着(への対応)など、従業員の権利保護に対する側面に対して体系的な法規制を欠いている」(中西敏和「従業員持株信託と受託者の責任」『信託法研究』15号p.46‐47|信託法協会1991年)という欠点が指摘されている。
  12. ^ 従業員持株会が必ずといってよいほど置かれている。(中略)なぜ置かれているのかを考えてみれば、結局は従業員株主管理のためにあると言える。現在の従業員持株会は、一応会社から切り離された独立の団体であるが、実際には会社の一機関として活動しているといってもよく、従業員の利益になる部分もあるが、多くは会社の利益のためにある。 (道野真弘 「従業員持株会の問題点」『立命館法学』一九九七年六号(二五六号)P.340” (2000年1月16日). 2010年3月3日閲覧。
  13. ^ 従業員持株会とESOPの相違については井潟正彦、野村亜紀子「米国ESOPの概要とわが国への導入-従業員を新たな株主として位置づける時代」『知的資産創造』2001年3月号P.56-71” (2001年4月1日). 2010年3月17日閲覧。
  14. ^ My thinking about ESOPs began in 1931 in the bottom of what we call the Great Depression., Louis O. Kelso "Labor's Untapped Wealth",at the Air Line Pilots Association Retirement and Insurance Seminar, March, 1984, Washington, D.C.
  15. ^ The Kelso Institute Pubrications Bibliography” (2010年3月4日). 2010年3月3日閲覧。
  16. ^ "The trouble with today's techniques of finance is that they're designed to make the rich richer. None are designed to make the poor richer. That's why the poor are poor. Because they're not rich." (Louis O. Kelso, San Francisco Examiner & Chronicle, 1978)
  17. ^ "People are hungering for property - for a secure, permanent and independent link with spaceship earth that ownership represents and which only ownership can protect or defend. It is humiliating to possess nothing, to own nothing, and hence to produce nothing and to count for nothing." (Louis O. Kelso and Patricia Hetter, Washington Post, June 18, 1972)
  18. ^ 菅晃千「日本版ESOPへの展望」『Mergers & acquisitions research report : MARR』(174)、レコフ事務所、p.32-35, 2009年
  19. ^ ケルソは『資本主義宣言』のなかで、単純労働(機械的労働)の機械による代替が進行し、労役の価値が減少してゆくことで雇用が減少する現実を見抜いており、この点から、完全雇用が幻想であって経済活動を衰退させる元凶になり得ること、過剰消費やバブルの崩壊による景気の変動を抑制しながら経済的平等の実現に向かうためには、人の富の生産への関与を労役から私有財産を通じた参加にシフトさせる必要があることを説いている。
  20. ^ 資本が主として工場や機械のような生産器具によって構成される場合には、「生産のための道具を労働者の手に渡すこと」を意味し、生産活動の主体を道具から労働に還元される結果となる。また、高度情報化の進展により資本の主たる構成要素が従来のような生産器具ではなく、知的財産であるような場合においては、特に資本側に収奪された人の知的創造価値を返還する重要な機能を果たし得る。
  21. ^ 「古来からある株という日本語は、売買してカネを儲けるものではなく、事業に参加することの証である。株をもつもの同士の連帯がそこでは意味されていた。事業に参加するための出資、これが株である。この古典的な言葉の由来を私たちは思い起こすべきであろう。あえて言う。現在のリスク売買を主体とする金融ゲームは、どのような理論的衣装を施されようとも、人間の生活を根底的に破壊するものであるということを。  いま求められているのは、「自由」の美名の下で金融ゲームに走る金融権力をいかに制御するのか、という社会の知恵である。」; 本山美彦『金融権力 ―グローバル経済とリスク・ビジネス』、岩波新書、2008年
  22. ^ "A powerful free market economy must have powerful consumers, as well as powerful producers. Adam Smith was right about that. But today that requires consumers who have the combined earning power of their labor and their own capital. Unless we change our Stone Age economic policy, however, and begin to democratize capital ownership through the ESOP LBO and related financing methods based on private property and free market principles, while discouraging methods of finance that foster Wall Street rip-offs of the ESOP—our standard of living and world leadership position will continue to decline." Louis O. Kelso and Patricia Hetter Kelso, "Why I Invented the ESOP LBO"より” (2010年3月3日). 2010年3月3日閲覧。
  23. ^ "Employee Ownership Report", July–August 2010,A publication of the National Center for Employee Ownership,例えば、Employee Buy-Outの一形態であるESOPは、仲介業者なしオーナーチェンジが実行されるため、仲介業者のビジネスチャンスが失われることを意味する。
  24. ^ NCEO "Largest Study Yet Shows ESOPs Improve Performance and Employee Benefits"などの更新がある” (2010年7月15日). 2010年10月27日閲覧。
  25. ^ 竹中啓之「ESOP制度と株式会社支配の可能性」経営研究Vol.44, No.2, p.65-77、大阪市立大学経営学会、1993年7月
  26. ^ 尾西正美「アメリカ企業の従業員株式所有制度-C.M.Rosen/K.J.Klein/K.M.YoungのESOP調査を中心にして-」埼玉大学経済研究室 社会科学論集 (73):p.155-209 1991年3月
  27. ^ Peninsula Newspapers, Inc., において、創業者からのemployees buyoutとして実施
  28. ^ "The Capitalist Manifesto"   The Kelso Institute Downloadable Booksよりダウンロード可能” (2000年1月16日). 2010年3月3日閲覧。
  29. ^ The Kelso Institute Important Dates” (2000年1月16日). 2010年2月17日閲覧。
  30. ^ The History of the Employee Share Ownership Centre” (2000年1月16日). 2010年3月3日閲覧。
  31. ^ 黒田敦子『アメリカ合衆国における自己株報酬・年金の法と税制』税務経理協会、1999年、p.109
  32. ^ 黒田敦子『アメリカ合衆国における自己株報酬・年金の法と税制』税務経理協会、1999年、p.154-155
  33. ^ 黒田敦子『アメリカ合衆国における自己株報酬・年金の法と税制』税務経理協会、1999年、p.117
  34. ^ 新社会保障制度改革の提言(その5) 米国ESOPの日本導入”. 経済同友会 社会保障改革委員会 (2000年3月26日). 2010年3月3日閲覧。
  35. ^ 2001年当時は金融危機から日本の株式市場が低迷し、投資有価証券の時価評価開始による金融機関保有株式の放出、持ち合い解消も重なったことから、株価対策、持ち合い解消の受け皿としての機能が強調され、ESOP本来の意義が理解されないまま、金庫株制度の拡充によって問題意識自体が終息している。
  36. ^ ESOPとは”. 電機連合 (2009年2月2日). 2010年3月3日閲覧。
  37. ^ 人事改革、各社の試み 三洋電機が「ESOP型」退職金制度”. 日本エス・エイチ・エル (2009年2月2日). 2010年3月3日閲覧。
  38. ^ J-ESOP開発者の1人は、次のように語っている。「バブル経済に危機感を抱いて証券会社に入社して以来、企業の側から株式というものについて考え続けてきた。日本では未だに多くのサラリーマンが株式会社に雇用されているにもかかわらず、株式を長期保有していないどころか、資産運用や金儲けの手段としてしか株式を見ていないように思われる。一方で、企業経営者の側も、株価が同業他社に比べて高いとか低いということには関心を持っているようだが、株価が何に基づいて形成されているかを考えず、証券会社に平然と株価操作を持ちかけることさえあった。このような株式に対する無理解から株式市場が満足に機能しない状況を打開し、株式を真にそれを持つべき者の手元に行き渡らせるには、ESOPによってしかないとの想いを従来から抱いていた。 しかし、2003年頃経済同友会からなされたESOP導入の提言は、株価対策に矮小化され、かき消されてしまった。次にESOPと銘打って出てきたものは、およそESOPとは似ても似つかない従業員持株会を変形した自社株運用スキームであり、自社株式の運用損益を会社が負担するから、従業員持株会を勝手に使っても許されるだろうという程度の杜撰なものだった。 そのようなスキームではあっても、現実が歪んでいる以上、持ち合い解消や敵対的買収の幻影に怯える経営者の目に有り難いものに写ったとしても仕方がないだろう。不公正な取引であっても経営者がそれに責任を持ち、株主がそれを許容するのであれば、他所からどうこう言う筋合いでもないのだろう。しかし、実際に、いくつかの取引先からどのようなスキームなのか教えてほしいという要請があり、このディスカッションの中でESOPの可能性を確認できたのは幸運だった。この時点でJ-ESOPを開発しなければ、日本においてESOPが成立するチャンスは永久に失われると考え、半ば強引に開発を進めた。この結果、一応の評価を得つつあるように見えることは幸いである。従業員持株会借用スキームは、複数の金融機関がセールスしているようだが、彼らは米国のピープルズ・キャピタリズムの歴史を学んだことはないのだろうし、ERISA法の成立過程も、ましてルイス・ケルソーも読んだことがないのだろうと思う。個人的には、ケルソーの思想は、民主主義を人間の自由のうちに実現することを理想とし、人間の自由は経済的自由なしには実現不可能であるという点において、ハイエクの思想に近似していると思う。ハイエクは、理論的に社会主義の危険性と自由からの逃走(隷属への道)に対する警告を発したが、ケルソーは、ESOPという手段でその思想(資本主義革命)を現実のものにしようとしたのである。」
  39. ^ 株式給付信託(J-ESOP)の導入(詳細決定)に関するお知らせ”. 株式会社ダイドーリミテッド (2009年2月2日). 2010年3月3日閲覧。


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