東レ科学振興会とは? わかりやすく解説

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東レ科学振興会

(Toray Science Foundation から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/02 13:24 UTC 版)

公益財団法人 東レ科学振興会
Toray Science Foundation
設立 1960年(昭和35年)6月
設立者 東レ株式会社
種類 公益財団法人
目的 科学技術の基礎的研究の助成、優れた業績の表彰などを通じて、科学技術の振興と文化の向上に寄与すること
本部 日本 〒103-0021
東京都中央区日本橋本石町3-3-16
(日本橋室町ビル)
会長 日覺昭廣
ウェブサイト 公式サイト
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公益財団法人東レ科学振興会(とうれかがくしんこうかい、Toray Science Foundation)は、科学技術の基礎的な研究に対する助成や、優れた業績の表彰などを行う公益財団法人である。

東レ株式会社が創業35周年を記念して、1960年昭和35年)に設立した。日本の企業財団による科学技術振興の先駆けであり、国内の民間科学助成としては最大級の規模と権威を持つ団体の一つである[1]

概要

1960年6月、科学技術の振興と文化の向上に寄与することを目的として設立された。 設立に際しては、当時の東洋レーヨン(現・東レ)社長らが「社会に奉仕する」という社是を具現化するため、当時の金額で10億円という巨額の私財および会社資金を寄出した[2]。これは当時の民間企業による寄付としては破格の規模であり、その後の日本の企業フィランソロピー(社会貢献活動)のモデルケースとなった。

主な事業として、科学技術分野における業績の表彰(東レ科学技術賞)、研究助成、および中等教育の理科教育者への表彰(東レ理科教育賞)を行っている。

2010年(平成22年)に公益財団法人への移行認定を受けた。

特色と評価

同財団の賞および助成は、日本の科学界において極めて高い評価を受けている。

  • ノーベル賞への登竜門
    歴代の「科学技術賞」受賞者や「研究助成」受領者からは、後にノーベル賞文化勲章を受賞する研究者が多数輩出されている。
    特に2001年ノーベル化学賞を受賞した野依良治は、ノーベル賞受賞の12年前に東レ科学技術賞を受賞しており、インタビューにおいて「(特定の反応に対するノーベル賞よりも)東レ科学技術賞のほうが私の業績(有機金属化学に基づく有機合成)を的確にとらえて評価してくださった」と述べている[3]
    このように、研究者の知名度が世界的になる前の「若手・中堅」の段階でその将来性を見抜く選考眼は、科学技術コミュニティ内で「ノーベル賞の登竜門」「前哨戦」として認知されている[1]
  • 高額な支援規模
    特に「科学技術研究助成」は1件あたり最大3,000万円(総額1億3,000万円)という、民間の基礎研究助成としては異例の規模で行われており、国家プロジェクト(科研費など)に匹敵するインパクトを個人の研究室に与えている。

主な事業

同財団は以下の顕彰・助成事業を毎年実施している。

理学・工学・農学・薬学・医学(基礎医学)の分野において、学術上の業績が顕著なもの、学術上重要な発見をしたもの、効果が大きい重要な発明をしたものに対して贈られる。

  • 内容:賞状、金メダル、副賞500万円(1件につき)。
  • 毎年2名程度が選出される。

東レ科学技術研究助成

国内の研究機関において、理学・工学・農学・薬学・医学(基礎医学)の分野で基礎的な研究に従事している若手研究者(原則として推薦時45歳以下)の独創的な研究計画に対して、研究費の助成を行う。

  • 内容:1件につき1,000万円 - 3,000万円程度(総額1億3,000万円の範囲内で約10件を決定)。
  • 萌芽的(スタートアップ)な研究を支援することを重視している。

中学校・高等学校の理科教育において、創意工夫によって著しい教育効果をあげた教員に対して贈られる。

主な受賞・受領者

同財団の支援対象者からは、後にノーベル賞を受賞した研究者が5名(2024年時点)輩出されている。特に、ノーベル賞受賞の10年以上前にその将来性を見抜き、賞や助成金を授与していた事例が多い[4]

東レ科学技術賞(受賞)

業績に対する表彰(本賞・金メダル・賞金)を受けた主な研究者(カッコ内は受賞年度)。

  • 江崎玲於奈(1960年度) - 1973年ノーベル物理学賞(受賞の13年前)
  • 野依良治(1989年度) - 2001年ノーベル化学賞(受賞の12年前)
  • 赤崎勇(2000年度) - 2014年ノーベル物理学賞(受賞の14年前)

東レ科学技術研究助成(受領)

若手時代に研究資金の助成を受けた主な研究者(カッコ内は受領年度)。

  • 本庶佑(1980年度) - 2018年ノーベル生理学・医学賞(受賞の38年前)
    • 助成テーマ:「リンパ球分化の過程における抗体遺伝子再構成の分子機構」
  • 山中伸弥(2003年度) - 2012年ノーベル生理学・医学賞(受賞の9年前)
    • 助成テーマ:「ES細胞における分化多能性と高い増殖性の維持機構」

沿革

  • 1960年(昭和35年)6月 - 財団法人東レ科学振興会として設立(初代理事長:田代茂樹)。
  • 1961年(昭和36年) - 第1回贈呈式を挙行。
  • 2010年(平成22年)11月 - 公益財団法人へ移行。

脚注

  1. ^ a b 東レ科学技術賞 - Chem-Station (2005年3月18日) 2024年1月確認
  2. ^ 東レの歴史 1960年代 - 東レ株式会社公式サイト
  3. ^ 科学と社会をつなぐ「赤い糸」を実感させてくれた(野依良治博士インタビュー) - 東レ科学振興会60周年記念誌
  4. ^ ノーベル賞受賞者 - 東レ科学振興会

関連項目

外部リンク




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