プロトキン限界
(Plotkin bound から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2009/09/23 19:30 UTC 版)
プロトキン限界(英: Plotkin bound)とは、バイナリ符号のパラメータ(符号語の数)の限界値の1つ。
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定義
2進数の符号 C の符号語の長さが n、すなわち の部分集合であるとする。C における最小ハミング距離を d とすると、次が成り立つ。
ここで d(x,y) は x と y のハミング距離である。符号語の長さが n で最小ハミング距離が d のときの可能な最大符号語数を A2(n,d) とする。
定理 (プロトキン限界):
d が偶数で 2d > n の場合、
d が奇数で 2d + 1 > n の場合、
d が偶数の場合、
d が奇数の場合、
となる。ここで は床関数を意味する。
証明
x と y のハミング距離を d(x,y) とし、C に存在する符号語数を M とする(つまり、M と A2(n,d) は等しい)。するとプロトキン限界は、 について2種類の方法で限界を求めることで得られる。
まず x として選択肢が r 個あるなら、y の選択肢は r − 1 個になる。定義から全ての x と y について であるから、次が成り立つ。
また、C の符号語を並べた の行列を A とする(行が符号語に対応)。A の i番目の列にあるゼロの個数を si とする。つまり、i番目の行には M − si 個の1がある。d(x,y) = d(y,x) であるため、
という総和におけるある行の1や0の寄与は常に 2 である。従って、次が成り立つ。
M が偶数なら、右辺は si = M / 2 のときに最大となり
となる。以上の の上限と下限を組み合わせると、次式が導かれる。
2d > n の場合、この式は次のように変形できる。
M が偶数の場合なので、次が成り立つ。
一方、M が奇数なら のときに
が最大化する。従って、次が成り立つ。
以上の の上限と下限を組み合わせると、次式が導かれる。
または、2d > n なら
となる。Mは整数なので
となり、限界の証明が完了する。
参考文献
- Binary codes with specified minimum distance, M. Plotkin, IRE Transactions on Information Theory, 6:445-450, 1960.
関連項目
- シングルトン限界
- ハミング限界
- ギルバート=バルシャモフ限界
- ジョンソン限界
プロトキン限界と同じ種類の言葉
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