ニュー・ヴァリューズ
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『ニュー・ヴァリューズ』 (New Values) は、アメリカ合衆国のミュージシャン、イギー・ポップの3枚目のスタジオ・アルバム。イギー名義のソロ・アルバムとしては、初めてデヴィッド・ボウイが参加していない[注 1]。1979年4月にアリスタ・レコードから発売された。
- ^ この作品までにボウイが参加したイギー及びザ・ストゥージズのスタジオ・アルバムは『ロー・パワー』、『イディオット』、『ラスト・フォー・ライフ』の3作品。
- ^ RCAロンドン支社国際部門に在籍していたが、イギーの2作品(『イディオット』『ラスト・フォー・ライフ』)に傾倒し、イギーがRCAを離れる際に一緒に退社してイギーのマネージャーになった。イギーに付き合って薬物依存になるまでは優秀なマネージャーだったという[2]。
- ^ ウィリアムソンは当時、音楽業界から距離を置いた状態で、夜勤の仕事をしながらポモナ・カレッジで電子工学を履修していたが、学費の足しになると考えてプロデュースを引き受けた。『キル・シティ』も同様の理由でリリースに関わっている[3]。
- ^ ベン・エドモンズは「そういう作品になると期待していた。」と語っている[2]。一方、ウィリアムソンは「そういう注文は受けたが、彼らの言う「パンク」の定義が曖昧だったので、あまり気にしなかった」と語っている[3][4]。
- ^ 10曲では不足だったため、レコーディング中もイギー、サーストン、ウィリアムソンによる作曲活動は続いていた。このため、イギーは午前3時に大音量でギターを鳴らすといった作曲活動を繰り返し、様々なホテルを追い出された[2]。
- ^ ジャッキー・クラークはアイク&ティナ・ターナーのバックバンド、アイク&ティナ・ターナー・レヴューのギタリスト。サーストンがこのバンドにゲスト参加した際に知り合った。本作ではベースを担当しているが、本作リリース後のツアーではギターに戻っている[2]。
- ^ イギーとクラウス・クリューガーは当時ともに西ベルリンに住んでおり、プライベートで知り合いだった[2]。
- ^ ウィリアムソンは一時期パラマウント・スタジオにレコーディング・エンジニアとして在籍していたことがあり、その関係でスタッフやスタジオ・ミュージシャンたちと付き合いがあった[2]。
- ^ 当時のイギーの恋人、エスター・フリードマンによれば、マネージャーのピーター・デイヴィスはイギーの荒れた生活に付き合っているうちに薬物依存になってしまい、それ以降、ビジネスの相手としては当てにならなくなったという[2]。
- ^ 「ドント・ルック・ダウン」と「エンドレス・シー」ではウィリアムソンがギターを弾いているが、それ以外の曲ではスコット・サーストンがギターを担当した。[4]
- ^ この2曲のウィリアムソンのギター演奏に立ち会ったメンバーはほとんどいなかったようで、ドラムスのクラウス・クリューガーは次作『ソルジャー』の準備段階でウィリアムソンのギター演奏を初めて生で聞いたと語っている[2]。
- ^ イギーはウィリアムソンが全面的に作曲にも演奏にも関わることを期待していたが、音楽活動を再開する気のなかったウィリアムソンは演奏も作曲活動もやむを得ない状況にならない限り断っている[注 10][注 11]また、プライベートでもイギーと距離を置き、イギーが再開していたドラッグにもアルコールにも付き合わなかった[2]。
- ^ ビルボード総合チャート最高位186位[5]。
- ^ 当時のザ・ストゥージズは『ロー・パワー』が商業的に失敗し[注 13]、指示を無視した行動に手を焼いた所属事務所メインマン[6]から解雇されるという境遇に置かれていたが、デイヴィスは副社長スティーヴ・ハリスの提案を受け入れて『ロー・パワー』を改めてプロモーションするためのツアーの実行に同意した[2]。
- ^ クライヴ・デイヴィスはコロムビア社長時代にザ・ストゥージズを擁護した[注 14]にもかかわらず、バンドが商業上失敗に終わったためにイギー作品のアメリカでの商業的価値に疑問を抱いており、本作のアメリカ発売を確約しなかった。この決断がアリスタにおけるイギーのキャリアを不安定にさせるきっかけとなった[2]。
- ^ ただし、皮肉にもエドモンズは本作リリース前にアリスタを離れ、EMIに移籍していた[2]。
- ^ イギーの英語版Wikipediaでは、オーストラリア、ニュージーランドといったオセアニア方面における本作のチャートアクションは良かったとの記載がある。実際にニュージーランドでは16週にわたって50位以内にチャートインしていたことが確認できる[25]。
- ^ イギーとグレン・マトロックが在籍していたバンドリッチ・キッズのエージェントが同一人物(ジョン・ギディングス)で、イギーはその人物からマトロックを推薦された[29]
- ^ ブライアン・ジェームズ以外のメンバーはグレン・マトロック、クラウス・クリューガー、アイヴァン・クラール[2]。
- ^ アイヴァン・クラールはパティ・スミス・グループ、グレン・マトロックはセックス・ピストルズに在籍していた。
- ^ a b Deming, Mark. “New Values - Iggy Pop | Songs, Reviews, Credits”. AllMusic. 2021年5月5日閲覧。
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- ^ Iggy Pop - Five Foot One - YouTube
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- ^ Wright, Mic (2012年4月16日). “Number 13 Baby: Frank Black's Favourite Albums Revealed”. The Quietus. p. 8. 2014年12月20日閲覧。
- ^ “70年代から東京のディープなロックシーンを追い続けてきた写真家・佐藤ジンによるイギー・ポップ来日公演時の貴重な写真を『BOOKMARC』にて一挙公開!”. オリコン・ニュース. 2021年5月5日閲覧。
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- ^ “David Brock | ディスコグラフィー | Discogs”. Discogs. 2021年5月5日閲覧。
- ^ “Earl Shackelford | ディスコグラフィー | Discogs”. Discogs. 2021年5月5日閲覧。
- ^ “The Alfono Sisters | ディスコグラフィー | Discogs”. Discogs. 2021年5月5日閲覧。
- ^ “Peter Haden | ディスコグラフィー | Discogs”. Discogs. 2021年5月5日閲覧。
- 1 ニュー・ヴァリューズとは
- 2 ニュー・ヴァリューズの概要
- 3 プロダクション
- 4 リリース
- 5 日本との関係
- 6 外部リンク
- New Valuesのページへのリンク