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マーガレット・スミス・コート

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/30 02:17 UTC 版)

マーガレット・スミス・コート
Margaret Smith Court
マーガレット・スミス・コート
基本情報
国籍 オーストラリア
出身地 同・オルベリー
生年月日 (1942-07-16) 1942年7月16日(81歳)
身長 175cm
体重 67.5kg
利き手
殿堂入り 1979年
ツアー経歴
デビュー年 1960年
引退年 1975年
ツアー通算 140勝(オープン化後)
シングルス 92勝(オープン化後)
ダブルス 48勝(オープン化後)
生涯獲得賞金 値なし
4大大会最高成績・シングルス
全豪 優勝(1960-66・69-71・73)
全仏 優勝(1962・64・69・70・73)
全英 優勝(1963・65・70)
全米 優勝(1962・65・69・70・73)
優勝回数 24(豪11・仏5・英3・米5)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 優勝(1961-63・65・69-71・73)
全仏 優勝(1964-66・73)
全英 優勝(1964・69)
全米 優勝(1963・68・70・73・75)
優勝回数 19(豪8・仏4・英2・米5)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 優勝(1963-65・69)
全仏 優勝(1963-65・69)
全英 優勝(1963・65・66・68・75)
全米 優勝(1961-65・67・69・70)
優勝回数 21(豪4・仏4・英5・米8)
国別対抗戦最高成績
BJK杯 優勝(1964・65・68・72)

マーガレット・スミス・コートMargaret Smith Court, 1942年7月16日 - )は、オーストラリアニューサウスウェールズ州オルベリー出身の女子テニス選手。自己最高ランキングは1位。

1970年にオープン化以降女子初となる「年間グランドスラム」を達成した選手で、4大大会でのシングルスの優勝回数は女子歴代1位の「24勝」を記録している。

4大大会ではシングルスの他に、ダブルスで19回、混合ダブルスで21回の優勝しており、合計64回の優勝は歴代1位の記録である。また、混合ダブルス初の年間グランドスラムを達成しており(シングルスとあわせて)2回の達成は史上唯一である。

旧姓は「マーガレット・スミス」(Margaret Smith) であるが、バリー・コート (Barry Court) との結婚後、両方の姓を併用して「マーガレット・スミス・コート」夫人と名乗った。日本では単純にコート夫人と呼ばれることが多い。

経歴

マーガレット・コート(左)とケリー・レイド(右)。1970年8月2日、オランダ、ヒルフェルスム

マーガレット・スミスは本来左利きであったが、テニスでは右利きに直された。女子選手として体力をつけるため、早くから熱心に基礎体力トレーニングに打ち込み、当時の女子テニスに画期的な影響を与えている。1960年に地元の全豪選手権4大大会初優勝を飾り、以後同大会に前人未踏の7連覇を達成。1962年ウィンブルドンを除く4大大会年間3冠を獲得。ウィンブルドンには1963年に初優勝を飾っている。1967年にバリー・コートと結婚して「マーガレット・スミス・コート夫人」となり、この年は1年間競技を退いた。

1968年にテニス界は史上最大の転換期を迎え、プロ選手の4大大会出場を解禁する「オープン化」という措置を実施する。大会の名称も変更されて、全豪オープン全仏オープンウィンブルドン選手権全米オープンとなった。1968年以後のテニス記録は「オープン化時代」(Open Era) と呼ばれ、それ以前の時代とは明確に区別される。コート夫人はアマチュア選手として4大大会出場を続けてきたが、オープン化措置の実施後にプロ選手となった。この過渡期にはトーナメントにも変化が多く、1968年1969年には全米オープンが年に2度開催されている。1回目の方が正式な「オープン化時代大会」として公式記録となっており、年末の12月に別途開催された2回目の大会は「全米選手権」とされている。1968年の場合、全米オープン選手権の公式記録には「オープン化時代大会」の優勝者バージニア・ウェードイギリス)の名前を記載されている。このため、コート夫人が優勝した2回目の「全米選手権」は公式優勝記録になっていない。1969年の場合は、公式記録では「オープン化時代大会」の優勝者はコート夫人となっている。

1970年、マーガレット・スミス・コート夫人は女子テニス史上2人目の「年間グランドスラム」を達成する。女子選手初の年間グランドスラム達成者は、1953年モーリーン・コノリーアメリカ1934年 - 1969年)であった。コート夫人はコノリー以来「17年ぶり」の偉業達成となる。それから18年後、1988年シュテフィ・グラフ(当時・西ドイツ)が女子3人目の年間グランドスラム達成者となった。グラフはこれを機会に、折に触れてコート夫人と比較されるようになる。

コート夫人は1970年の年間グランドスラムに加えて、4大大会年間3冠も生涯通算「4度」達成している(1962年1965年1969年1973年に3つの大会で優勝している)。それぞれの年では、1962年1969年1973年ウィンブルドンのみを落とし、1965年には全仏選手権のみを落としている。

1973年、コート夫人は31歳にして年間「102勝6敗」の驚異的な成績を挙げ、女子テニスツアーでも出場25大会のうち「18勝」の成績を挙げた。この年は4大大会でも自身4度目の年間3冠を獲得し、ウィンブルドンを除く3大会に優勝を飾っている。1975年に現役を引退し、1979年国際テニス殿堂入りを果たした。

彼女はまだ独身選手の「マーガレット・スミス」だった頃、1963年に同じオーストラリアケン・フレッチャー1940年 - 2006年)とペアを組んで、混合ダブルス部門の「年間グランドスラム」を達成している。1970年の女子シングルス年間グランドスラムは、結婚後のことであった。2部門で年間グランドスラムを達成した選手は、テニスの歴史を通じてコート夫人ひとりだけである。

テニス競技の過渡期に活動した人であることから、コート夫人の優勝記録は種々に分類される。アマチュア選手として獲得したもの、「オープン化時代」以後に獲得したシングルス・タイトル92、プロ選手として獲得したシングルス・タイトル79などである。1歳年下のライバル、ビリー・ジーン・キング夫人(アメリカ)と並んで、コート夫人は長いテニス経歴を通じて絶大な強さを誇っていた。

全豪オープン会場にある「マーガレット・コート・アリーナ」

2000年全豪オープン開幕に先立ち、メルボルン市のナショナル・テニスセンターにて、「オープン化時代」(Open Era) の第1回大会として行われた1969年全豪オープン」の男女シングルス優勝者の功績を讃える式典が行われた。センター・コートには男子シングルス優勝者ロッド・レーバーを記念して「ロッド・レーバー・アリーナ」の名前を与え、隣の1番コートにはコート夫人にちなんだ「マーガレット・コート・アリーナ」の名前がつけられた。

1999年8月に現役を引退したシュテフィ・グラフの4大大会優勝記録が、通算「22勝」(全豪4、全仏6、ウィンブルドン7、全米5)で終わったため、グラフが“あと2”届かなかったコート夫人の通算24勝は、今なおテニス4大大会の最多優勝記録としてそびえ立っている。なお、グラフが最後の4大大会優勝を飾った1999年全仏オープンでは、コート夫人が彼女に優勝カップを贈呈した。

記録

グランドスラム歴代記録(全期間)

達成 期間 記録 他記録者
グランドスラムシングルス最多優勝 1960–1973
24
単独記録
グランドスラム最多優勝 1960–1975
64
単独記録
グランドスラム混合ダブルス最多優勝 1960–1975
19
単独記録
全豪シングルス最多優勝 1960–1973
11
単独記録
全豪最多優勝 1960–1977
21
単独記録
全仏最多優勝 1962–1973
13
単独記録
年間グランドスラム達成(シングルス) 1970
-
モーリーン・コノリー
シュテフィ・グラフ
年間グランドスラム達成(混合ダブルス) 1963 & 1965
-
単独記録
トリプルクラウン[1] 1963–1970
5
スザンヌ・ランラン
キャリアボックスセット [2] 1960–1969
2
単独記録
4大大会連続優勝 1969–1971
6
モーリーン・コノリー
マルチナ・ナブラチロワ
全豪9年間中8回優勝 1969-1971 シュテフィ・グラフ
グランドスラム3冠 1962–1973
5
シュテフィ・グラフ

グランドスラム記録

期間 グランドスラム記録 他記録者
1960全豪選手権 —
1969全英
すべての大会で2回以上優勝 (ボックスセット) 単独記録
1963, 1965&1969
全豪選手権/オープン
同じ大会のシングルス・ダブルス・混合ダブルスで優勝 (トリプルクラウン) ダフネ・アクハースト
ナンシー・ウィン・ボルトン
1970全豪 — 1970全米 年間グランドスラム モーリーン・コノリー
シュテフィ・グラフ
1969全豪 — 1973全豪 オープン化以降の勝率「92.85%」 (26-2) 単独記録
1969全米 — 1971全豪 グランドスラムシングルス6大会連続優勝 モーリーン・コノリー
マルチナ・ナブラチロワ
1969全豪 — 1973全米 オープン化以降のグランドスラム決勝勝率「91.66% 」(11-1) 単独記録
全米オープン オープン化以降の勝率「90.32%」 (28-3) 単独記録
全仏オープン オープン化以降の勝率「95.23% 」(20-1) 単独記録
全豪オープン オープン化以降の勝率「92.85%」 (26-2) 単独記録

他記録

期間 記録 他記録者
1960–1977 女子シングルス歴代最多優勝「192」 単独記録
1968-1976 グラスコートシングルスオープン化以降最多優勝「46」 単独記録
1968–1977 シングルスオープン化以降最高勝率 (全サーフェス) 91.17% (593–56) 単独記録
1968–1977 シングルスオープン化以降最高勝率 (ハードコート) 91.73% (111-10) 単独記録
1968–1977 シングルスオープン化以降最高勝率 (グラスコート) 93.01% (293-22) 単独記録
1970 オープン化以降シングルス年間最多優勝「21」 単独記録
1973 年オープン化以降シングルス優勝WTAツアー記録「18」 単独記録

4大大会優勝

(注:1968年は12月に別途開催された2度目の「全米選手権」を制しているが、これは公式優勝記録にならない。)
大会 対戦相手 試合結果
1960年 全豪選手権 ジャン・レヘイン 7-5, 6-2
1961年 全豪選手権 ジャン・レヘイン 6-1, 6-4
1962年 全豪選手権 ジャン・レヘイン 6-0, 6-2
1962年 全仏選手権 レスリー・ターナー 6-3, 3-6, 7-5
1962年 全米選手権 ダーリーン・ハード 9-7, 6-4
1963年 全豪選手権 ジャン・レヘイン 6-2, 6-2
1963年 ウィンブルドン選手権 ビリー・ジーン・モフィット 6-3, 6-4
1964年 全豪選手権 レスリー・ターナー 6-3, 6-2
1964年 全仏選手権 マリア・ブエノ 5-7, 6-1, 6-2
1965年 全豪選手権 マリア・ブエノ 5-7, 6-3, 5-2 (途中棄権)
1965年 ウィンブルドン選手権 マリア・ブエノ 6-4, 7-5
1965年 全米選手権 ビリー・ジーン・モフィット 8-6, 7-5
1966年 全豪選手権 ナンシー・リッチー 不戦勝
1969年 全豪オープン ビリー・ジーン・キング 6-4, 6-1
1969年 全仏オープン アン・ヘイドン=ジョーンズ 6-1, 4-6, 6-3
1969年 全米オープン ナンシー・リッチー 6-2, 6-2
1970年 全豪オープン ケリー・メルビル 6-1, 6-3
1970年 全仏オープン ヘルガ・ニーセン 6-2, 6-4
1970年 ウィンブルドン ビリー・ジーン・キング 14-12, 11-9
1970年 全米オープン ロージー・カザルス 6-2, 2-6, 6-1
1971年 全豪オープン イボンヌ・グーラゴング 2-6, 7-6, 7-5
1973年 全豪オープン イボンヌ・グーラゴング 6-4, 7-5
1973年 全仏オープン クリス・エバート 6-7, 7-6, 6-4
1973年 全米オープン イボンヌ・グーラゴング 7-6, 5-7, 6-2
テニス4大大会女子シングルス優勝記録
順位 優勝回数 選手名
1位 24勝 マーガレット・スミス・コート
2位 23勝 セリーナ・ウィリアムズ
3位 22勝 シュテフィ・グラフ
4位 19勝 ヘレン・ウィルス・ムーディ
5位タイ 18勝 クリス・エバート | マルチナ・ナブラチロワ
7位タイ 12勝 スザンヌ・ランラン | ビリー・ジーン・キング
9位タイ 9勝 モーリーン・コノリー | モニカ・セレシュ
11位 8勝 モーラ・マロリー
12位タイ 7勝 ドロテア・ダグラス・チェンバース | マリア・ブエノ | イボンヌ・グーラゴング | ジュスティーヌ・エナン | ビーナス・ウィリアムズ*
*は現役選手

4大大会成績

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

シングルス

大会 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 SR
全豪オープン 2R W W W W W W W A F W W W A W A QF 11 / 14
全仏オープン A A QF W QF W F SF A A W W 3R A W A A 5 / 10
ウィンブルドン A A QF 2R W F W SF A QF SF W F A SF A SF 3 / 12
全米オープン A A SF W F 4R W A A QF W W A SF W A QF 5 / 11

ダブルス

大会 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 SR
全豪オープン A F W W W F W F A SF W W W A W A F QF 8 / 14
全仏オープン A A 3R F F W W W A A F SF SF A W A A A 4 / 10
ウィンブルドン A A F SF F W 3R F A QF W QF F A QF A QF A 2 / 12
全米オープン A A 2R QF W F A A A W F W A F W A W A 5 / 10

混合ダブルス

大会 1959 1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 SR
全豪オープン A A A A W W W SF A F W NH NH NH NH NH NH 4 / 6
全仏オープン A A SF A W W W 3R A A W SF 3R A A A A 4 / 8
ウィンブルドン A A SF A W F W W A W SF 2R A A F A W 5 / 10
全米オープン A A W W W W W A A A W W A W F A SF 8 / 10

脚注

  1. ^ 同じ大会でシングルス・ダブルス・混合ダブルス全てで優勝
  2. ^ シングルス・ダブルス・混合ダブルスでグランドスラム達成

外部リンク

記録
先代
ヘレン・ウィルス・ムーディ
グランドスラム最多タイトル獲得記録
1970年 –
次代
-
先代
モーリーン・コノリー・ブリンカー (1953)
年間グランドスラム達成
1970
次代
シュテフィ・グラフ (1988)

「Margaret Smith Court」の例文・使い方・用例・文例

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