ジョナサン・クレーリーとは? わかりやすく解説

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ジョナサン・クレーリー

(Jonathan Crary から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/29 10:17 UTC 版)

ジョナサン・クレーリー(1953年6月13日 -, Jonathan Crary)はアメリカの美術評論家兼エッセイストであり、コロンビア大学現代美術・理論マイヤー・シャピロ講座教授である。

代表的な著作に『観察者の系譜』(原題:Techniques of the Observer: On Vision and Modernity in the 19th Century)(1990年)、『知覚の宙吊り』(原題:Suspensions of Perception: Attention, Spectacle, and Modern Culture)(2000年)がある。現代美術や映画の批評でも知られるほか、1986年からは共同創設者としてZone Booksの編集に関わる。Zoneは思想史、美術理論、政治学、人類学、哲学など現代思想を精力的に扱う出版社として知られる。

来歴

バーモント州出身のジョナサン・クレーリーはコロンビアカレッジで文学士号を取得した後、サンフランシスコ芸術大学(San Francisco Art Institute)で映画と写真を学び芸術学士号を取得した。それからニューヨークに戻り、1987年にコロンビア大学で博士号を取得した。

彼が最初に教鞭をとったのは、カリフォルニア大学サンディエゴ校の視覚芸術学科である。1989年にはコロンビア大学で常勤職に就いた。プリンストン大学ハーバード大学客員教授も務めている。これまでグッゲンハイム、ゲティ、メロン、全米芸術基金のフェローシップを受賞し、プリンストン高等研究所のフェローを務めた。2005年には教育と指導の功績が認められ、コロンビア大学優秀教員賞を受賞している[1]

著作

1990年に出版された『観察者の系譜』は、近代視覚文化の起源を扱った本として国際的に注目され、13の言語に翻訳されている。

2005年出版の『知覚の宙吊り』は、1880年から1905年頃の時期に焦点を当て、19世紀後半に導入された新しい視覚の方法を探求している。クレーリーはこの変化を主観的な視覚の出現と述べている。さらに、クレーリーは注意(attention)が「主体性の近代化の中での新しい対象」になったと論じている。クレーリーの本は、さまざまな文化の知覚がどのように再構築され、不確実性が議論されたかを検討している。この新しい視覚の発展は、視覚が観察者の見たものに基づく主観的な思考に依存していることを示唆しており、論争を巻き起こした。したがって、この新しい視覚の方法は、多くの人々の間で不明確、不確実で、常に疑問視されるものと考えられた。

2015年の『24/7 :眠らない社会』は、資本主義と睡眠との関係を論じ、金融化と情報化が融合した現代資本主義社会が要求するノンストップ(24/7)オペレーションのペースが人間の心理や生理に及ぼす悪影響を批判的に分析した。グローバルな情報コミュニケーションネットワークのオペレーションにおける人間の知覚の現状を論じた同書は、21の言語に翻訳された。

クレーリーは現代の「アート・イン・アメリカ」「アートフォーラム」「オクトーバー」「アッサンブラージュ」「カイエ・デュ・シネマ」「フィルム・コメント」「グレイ・ルーム」「ドムス」「ビレッジ・ボイス」を含む出版物において、現代の芸術と文化についても執筆している。クレーリーは批評家でもあり、30以上の展覧会カタログに批評エッセイを執筆している。

著作

  • Tricks of the Light: Essays on Art and Spectacle. New York, NY: Zone, 2023. ISBN 978-1942130857
  • Crary, Jonathan. Scorched Earth: Beyond the Digital Age to a Post-Capitalist World. London and New York: Verso, 2022. ISBN 978-1784784447
  • Crary, Jonathan. 24/7: Late Capitalism and the Ends of Sleep. London and New York: Verso, 2013. ISBN 978-1781680933, ISBN 978-1781680933 
  • Crary, Jonathan. Suspensions of Perception: Attention, Spectacle and Modern Culture. Cambridge (Mass.) and London: MIT, 2000. ISBN 9780-585270821, ISBN 9780-585270821 
    • 『知覚の宙吊り: 注意、スペクタクル、近代文化』 岡田温司 監訳, 大木美智子, 石谷治寛, 橋本梓 訳、平凡社、2005.8/平凡社ライブラリー、2025
  • Crary, Jonathan, and Sanford Kwinter. Incorporations. New York, NY: Zone, 1992.
  • Crary, Jonathan. Techniques of the Observer: on Vision and Modernity in the Nineteenth Century. Cambridge (Mass.) and London: MIT, 1990. 
    • 『観察者の系譜: 視覚空間の変容とモダニティ』 遠藤知巳 訳、以文社「以文叢書」、2005.11
  • Crary, Jonathan. "Origins of Modern Visual Culture | Department of Art History | Columbia University." Visual Media Center | Columbia University in the City of New York. Web. 13 Apr. 2011.
  • Crary, Jonathan. iDubai. Göttingen: Steidl, 2010. Photographs by Joel Sternfeld, text by Crary. ISBN 9783865219169, ISBN 9783865219169
  • Virilio, Paul, and Jonathan Crary. The Aesthetics of Disappearance. Los Angeles, CA: Semiotext, 2009.
  • Barth, Uta. Uta Barth: The Long Now. Gregory R. Miller & Co. (July 31, 2010) ISBN 978-0980024241

参考文献

  • Barth, Uta, and Jonathan Crary. Uta Barth, The Long Now. New York: Miller, 2010. Print.
  • Cooke, Lynne, Karen J. Kelly, and Jonathan Crary. Robert Lehman Lectures on Contemporary Art. New York: DIA Art Foundation, 2004. Print.
  • Riley, Bridget, Anne Montfort, Nadia Chalbi, Hélène Studievic, and Jonathan Crary. Bridget Riley Rétrospective: Musée D'art Moderne De La Ville De Paris, 12 Juin-14 Septembre 2008. London: Ridinghouse, 2008. Print.
  • Lee, Ellen Wardwell., Jonathan Crary, and William M. Butler. Seurat at Gravelines the Last Landscapes. Indianapolis, IN: Indianapolis Museum of Art in Cooperation with Indiana UP, 1990. Print.
  • Turner, J. M. W., Mark Francis, and Jonathan Crary. J.M.W. Turner: the Sun Is God. Liverpool: Tate Gallery, 2000. Print.

外部リンク

  1. ^ Jonathan Crary | Department of Art History & Archaeology | Columbia University”. arthistory.columbia.edu. 2025年12月29日閲覧。



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