カテプシンKとは? わかりやすく解説

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カテプシンK

(Cathepsin O から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/12 03:37 UTC 版)

Cathepsin K
Ribbon diagram of cathepsin K, colored by secondary structure. From PDB 1TU6.
PDBに登録されている構造
PDB Ortholog search: PDBe, RCSB, PDBj
識別記号
記号 CTSK; CTS02; CTSO; CTSO1; CTSO2; PKND; PYCD
その他ID OMIM英語版601105 MGI英語版107823 HomoloGene英語版68053 ChEMBL: 268 GeneCards: CTSK Gene
EC番号 3.4.22.38
RNA発現パターン
その他参照発現データ
オルソログ
ヒト マウス
Entrez英語版 1513 13038
Ensembl英語版 ENSG00000143387 ENSMUSG00000028111
UniProt英語版 P43235 P55097
RefSeq (mRNA) NM_000396.3 NM_007802.3
RefSeq (protein) NP_000387.1 NP_031828.2
Location (UCSC) Chr 1:
150.77 - 150.78 Mb
Chr 3:
95.5 - 95.51 Mb
PubMed search [1] [2]
KEGG GENES hsa:1513 mmu:13038

カテプシンK(略称CTSK)は 、CTSK遺伝子によってエンコードされているシステインプロテアーゼ

機能

カテプシンKは、カテプシンB、L、Sなどと同様、リソソームに局在するシステインプロテアーゼの1つである。

手塚らにより、ウサギ破骨細胞に特異的に発現する遺伝子の1つとしてOC-2がクローニングされ[1]、本遺伝子が新規システインプロテアーゼをコードする可能性が示された。その後、ヒトにおけるOC-2相同遺伝子もクローニングされ[2]、データベース検索の結果、本遺伝子が、カテプシンLやカテプシンSと中程度の相同性を示す新規システインプロテアーゼをコードすることが明らかとなった。本遺伝子のクローニングに関しては、複数の研究グループがほぼ同時期に論文報告を行い、カテプシンK、カテプシンO2、カテプシンXといった名称が提唱されたが、最終的にカテプシンKが正式名称として採用されることになった。なお、このKは、クローニングに携わった、久米川、小久保、(手塚)建一といった主要メンバーのイニシャルに含まれるKに由来する[3]

破骨細胞において産生されたカテプシンKは、骨表面に面した波状縁から骨表面へ向けて分泌され[4]、主要骨基質成分であるⅠ型コラーゲンを強力に分解にすることにより、骨吸収に関わる[5]。なお、破骨細胞にはカテプシンB、L、Sの発現も認められるが、その程度はカテプシンKに比べてきわめて低い[6]

臨床的意義

カテプシンKは濃化異骨症英語版の原因遺伝子であることが明らかにされた[7]。フランスの画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックは本疾患を患っていたとされ、骨の形成不全のため、特異な風貌と繰り返す骨折を余儀なくされ、36歳でその生涯を終えている[8]。また、カテプシンK遺伝子欠損マウスは骨硬化症様の表現系を呈することも報告された[9]

これらの研究成果により、実際に生体においてもカテプシンKが破骨細胞による骨吸収に関与することが示されたため、有望な新規骨粗鬆症治療薬として、多くの製薬企業がカテプシンK特異的阻害剤の開発を手掛けた。その中で、メルクが開発したオダナカティブ英語版については、第3相臨床試験の結果が良好ということで、近い将来に上市される可能性が高い[10]

脚注

  1. ^ Tezuka,K.,Sato,T.,Kamioka,H.,Nijweide,P.J.,Tanaka,K.,Matsuo,,T.,ohta,M.,Kurihara,N.,Hakeda,H. and Kumegawa, M (1992). “Identification of osteopontin in isolated rabbit osteoclasts.”. Bioechem.Biohys.Res.commun. 186 (2): 911-917. doi:10.1016/0006-291X(92)90832-6. 
  2. ^ Inaoka,T.,Bilbe,G.,Ishibashi,O.,Tezuka,K.,Kumegawa,K.and Kokubo,T. (1995). “Molecular Cloning of Human cDNA for Cathepsin K: Novel Cysteine Proteinase Predominantly Expressed in Bone”. Biochem.Biophysic.Res.Commnu. 206 (1): 89-96. doi:10.1006/bbrc.1995.1013. 
  3. ^ NPO法人科学映像館HP カテプシンK物語
  4. ^ Littlewood-Evans A, Kokubo T, Ishibashi O, Inaoka T, Wlodarski B, Gallagher JA, Bilbe G. (1997). “Localization of cathepsin K in human osteoclasts by in situ hybridization and immunohistochemistry”. Bone 20 (2): 81-86. doi:10.1016/S8756-3282(96)00351-1. 
  5. ^ Inui,T.,Ishibashi,O.,Inaoka,T.,Origane,Y.,Kumegawa,K.,Kokubo,T. and Yamamura,T. (1997). “Cathepsin K Antisense Oligodeoxynucleotide Inhibits Osteoclastic Bone Resorption”. J.Biol.Chem. 272: 8109-8112. doi:10.1074/jbc.272.13.8109. 
  6. ^ Ishibashi, O., Inui, T., Mori, Y., Kurokawa, T., Kokubo, T., Kumegawa, M. (2001). “Quantification of the expression levels of lysosomal cysteine proteinases in purified human osteoclastic cells by competitive RT-PCR”. Calcified Tissue International 68 (2): 109-116. doi:10.1007/BF02678149. 
  7. ^ Gelb, B.D., Shi, G.P., Chapman, H.A., Desnick, R.J. (1996). “Pycnodysostosis, a lysosomal disease caused by cathepsin K deficiency”. Science 273 (5279): 1236-1238. PMID 8703060. 
  8. ^ ブロンズ新社HP
  9. ^ Saftig, P., Hunziker, E., Wehmeyer, O., Jones, S., Boyde, A., Rommerskirch, W., Moritz, J.D., Schu, P., von Figura, K. (1996). “Impaired osteoclastic bone resorption leads to osteopetrosis in cathepsin-K-deficient mice”. PNAS 95 (23): 13453-13458. doi:10.1073/pnas.95.23.13453. 
  10. ^ Sarah C P Williams (2012). “Potential first-in-class osteoporosis drug speeds through trials”. Nature Medicine 18: 1158. doi:10.1038/nm0812-1158. 



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