CMC Markets
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/09/15 18:30 UTC 版)
CMC Markets plc(シーエムシー・マーケッツ)は、ロンドンに本社を置くイギリスの金融サービス会社である。差金決済取引(CFD)やスプレッド・ベッティングなどのオンライン取引サービスを提供している。1989年にピーター・クラダスが設立し[1]、ロンドン証券取引所に上場している[2]。
歴史
設立とブランドの統一
創業者のクラダスは外国為替取引の世界で働き、大手国際銀行でチーフディーラーを務めた後、1989年に1万ポンドを出資して同社を設立した[1]。
同社はCMCグループの名称のほか、英国では「deal4free.com」の名称でも営業していた。2004年2月には、競合するIGインデックスが、この名称はCMCとの取引が常に無料であるかのような印象を与え、実際には顧客が各種の手数料を負担しているとして、CMCの広告3件について英国の広告基準協議会(ASA)に苦情を申し立てている。2005年、同社は世界共通のブランドとしてCMC Marketsに名称を統一し、deal4free.comの使用をやめた。当時の同社は世界7か所に拠点を持ち、100を超える国に顧客を抱えていた[3]。
株式公開
2006年5月、同社はロンドンでの株式公開を予定していたが、相場の急変で金融株が売られたことを受けて計画を取り下げた。当初は約8億ポンドの企業価値が見込まれ、執行会長だったクラダスは保有株の30%を約2億4000万ポンドで売り出す予定だった[4]。
2014年3月期には税引前利益3280万ポンドを計上し、前期の400万ポンドの赤字から黒字に転換した。クラダスはこの決算の発表に際し、企業価値10億ポンド規模での上場の可能性に言及した[5]。
2020年以降
2020年には同社の株価が大きく上昇し、『イブニング・スタンダード』紙は、同年に英国株で2番目に値上がりした銘柄と報じた。同紙によると、クラダスが保有する約60%の株式の価値は1年間で約4億5000万ポンド増え、7億400万ポンドに達した[6]。
2025年3月にはバミューダに事務所を開設し、バミューダ金融管理局から投資業務とデジタル資産業務の認可を受けた[7]。
2026年6月に発表された2026年3月期決算では、純営業収益が前期比15%増の3億9260万ポンド、税引前利益が1億130万ポンド、税引後利益が7370万ポンドであった。この期にはオーストラリアでの顧客補償に関する費用520万ポンドを計上している[2]。
論争と訴訟
創業者をめぐる問題
2012年3月、『サンデー・タイムズ』は、保守党の共同財務責任者を務めていたクラダスが、覆面取材の記者に対し、最高25万ポンドの献金と引き換えにデーヴィッド・キャメロン首相やジョージ・オズボーン財務相との夕食会への出席を持ちかけたと報じた。映像の公開後にクラダスは党の役職を辞任し、キャメロンはこの発言を「まったく容認できない」と述べた[8]。
クラダスは同紙の発行元を名誉毀損で提訴し、2013年6月、高等法院のテューゲンハット判事は、記事がクラダスの主張するとおりの名誉を毀損する意味を持つと認めた[9]。その後に命じられた18万ポンドの損害賠償は、2015年3月に控訴院で5万ポンドに減額された。同紙と記者らは、この判決によって報道の正当性が認められたと主張した[10]。
2020年12月にクラダスが爵位を与えられた際には、貴族院任命委員会が、2012年の問題で党の役職を辞任したことを理由に、叙爵すべきではなかったとの見解を示した[6]。
オーストラリアでの規制と訴訟
オーストラリア証券投資委員会(ASIC)は2023年、規制で定められたレバレッジの上限を超えるCFDを個人顧客に提供していたと自ら報告したCFD業者7社の一つとして、同社のオーストラリア子会社CMC Markets Asia Pacificを挙げた。7社はいずれも違反を自主的に報告して顧客への補償計画をASICに提出し、2021年3月以降、7社合わせて1500人を超える個人顧客に計430万オーストラリアドルを支払ったか、支払いに合意した[11]。
オーストラリアでは、リスクの高い金融商品をめぐって同社を相手取った集団訴訟も起こされている。2026年2月、裁判所は、同社が提出した2万7000件の文書を精査した原告側に対し、個人的な助言に関する請求を追加することを認めた[12]。
脚注
- 1 2 David Hellier (2016年1月13日). “Brexit backer Peter Cruddas to sell £200m-plus of CMC Markets shares”. The Guardian (英語). 2026年9月15日閲覧.
- 1 2 “Preliminary full year results for the period ended 31 March 2026” (PDF) (英語). CMC Markets plc (2026年6月4日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ “Branding: No such thing as a free deal” (英語). Euromoney (2005年11月1日). 2026年9月15日閲覧。
- ↑ Julia Kollewe (2006年5月24日). “Volatile market conditions force CMC to pull float”. The Independent (英語). 2026年9月15日閲覧.
- ↑ James Ashton (2014年9月5日). “Peter Cruddas flags up £1bn float after CMC storms into profit”. Evening Standard (英語). 2026年9月15日閲覧.
- 1 2 Jim Armitage (2020年12月23日). “Peter Cruddas peerage may be controversial, but his CMC Markets is the second biggest share price riser of 2020”. Evening Standard (英語). 2026年9月15日閲覧.
- ↑ Claire Shefchik (2025年3月31日). “CMC Markets opens Bermuda office”. The Royal Gazette (英語). 2026年9月15日閲覧.
- ↑ Daniel Boffey, Haroon Siddique (2012年3月25日). “Tory treasurer's cash-for-access boast unacceptable, says David Cameron”. The Guardian (英語). 2026年9月15日閲覧.
- ↑ Josh Halliday, Rajeev Syal (2013年6月5日). “Former Tory co-treasurer Peter Cruddas wins Sunday Times libel case”. The Guardian (英語). 2026年9月15日閲覧.
- ↑ Roy Greenslade (2015年3月17日). “Appeal court reduces damages award against Sunday Times to £50,000”. The Guardian (英語). 2026年9月15日閲覧.
- ↑ “23-298MR ASIC oversees more than $17.4 million in compensation to retail investors by OTC derivative issuers” (英語). Australian Securities and Investments Commission. 2026年9月15日閲覧。
- ↑ Christine Caulfield (2026年2月26日). “Class action against CMC Markets can add personal advice claim” (英語). Lawyerly. 2026年9月15日閲覧。
外部リンク
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