BTR-MD
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/26 05:39 UTC 版)
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BTR-MDM
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| 基礎データ | |
|---|---|
| 全長 | 6.1 m[1] |
| 全幅 | 3.1 m[1] |
| 全高 | 2.5 m[1] |
| 重量 | 13.2 t[1] |
| 乗員数 | 乗員3名 + 兵員12名[1] |
| 装甲・武装 | |
| 装甲 | 防弾アルミ製[2] |
| 主武装 | PKT 7.62mm機関銃×2丁(車体前方、車長用キューポラ)[1] |
| 機動力 | |
| 速度 | 70 km/h(整地)[1] 10 km/h(水上)[1] |
| エンジン | UTD-29M ターボチャージドディーゼルエンジン[1] 500 hp |
| 行動距離 | 500 km[1] |
BTR-MD ラクーシュカ(ロシア語: БТР-МД «Ракушка»)は、ロシア連邦で開発された空挺装甲兵員輸送車[1]。計画名はオブイェクト955[3]。BMD-4空挺戦闘車をベースに開発された車両で、2010年代前半からロシア空挺軍で配備されている[1]。名称の「ラクーシュカ」は「貝殻」の意[2]。
開発
旧式化したBTR-D空挺装甲兵員輸送車の後継として開発された車両で、原型のBTR-MDはBMD-4空挺戦闘車をベースに開発され、2013年ないし2014年から配備が開始された[1][4][5][注釈 1]。その後、BMD-4の改良型であるBMD-4MをベースとしたBTR-MDM ラクーシュカ-Mが開発され、2014年ないし2015年から配備が開始されている[4][5][6]。
空挺軍での運用試験は、新型装備の試験部隊としての役割を担う第106親衛空挺師団で行われたといわれる[7]。2015年の春には実運用状態となり、同年5月の対独戦勝パレードでは赤の広場を数十両が行進した[3][6]。
設計
BMD-4よりも車高を増して車内容積を大きく取っており、居住性はBTR-Dと比べて大幅に向上している[1][2]。全長は6.1メートル、重量は13.2トンで、Il-76輸送機であれば2両を搭載でき、Mi-26重輸送ヘリコプターでも1両を吊り下げ輸送することができる[3]。BMD-4と同じく、乗員と兵員を乗せたまま輸送機からの空挺降下が可能[2]。
車内配置は、車体前方に車長、操縦手、機関銃手の3名の乗員が搭乗する操縦室、中央に兵員12名が搭乗する兵員室があり、後部にエンジンなどを収めた機関室がある[2]。兵員室は、武装した兵員の代わりに担架3基を搭載して負傷兵の輸送に使用したり、最大2トンまでの燃料や弾薬を搭載して物資輸送に使用することもできる[3][4]。兵員の乗降は、兵員室上面にある2枚のハッチか、背面にあるハッチから行われる[4]。
武装は7.62ミリのPKT機関銃が2丁で、1丁は車体機銃として前面右側に取り付けられており車内から機銃手が操作し、もう1丁は車長用キューポラに取り付けられており車長が操作する[1][4]。車長用の機銃は遠隔式で、車内からの操作が可能である[1][4]。
装甲は軽量化のため最小限に抑えられており、小火器や砲弾片までに対応した防弾アルミニウム製である[2][3]。また、NBC防護装置と自動消火システムを搭載している[3]。
エンジンは、BTR-MDでは450馬力の2V-06-2ディーゼルエンジンであったが、BTR-MDMでは500馬力のUTD-29Mターボチャージドディーゼルエンジンを搭載しており、最高速度は時速70キロメートルと装軌式装甲車としてはかなりの高速を発揮できる[1][3][4][6]。車体は油気圧式の懸架装置により車高を変更できる[4]。また浮航能力を有しており、シーステート3までの水面状況で運用が可能[3][4]。
派生型
上述のBTR-MDMのほか、自走迫撃砲、装甲救急車、装甲指揮車、装甲回収車などの派生型がある[3]。一部の派生型は延長された車体を持ち、履帯の接地輪の数も片側7個に増加している[3]。
運用
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ロシア
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ロシア空挺軍で配備が進められ、2015年春までには実戦運用が可能な状態となった[1][3]。2022年のウクライナ侵攻時点では122両が配備されており、ウクライナ軍との戦闘に投入されたが、公開情報の収集分析(OSINT)を行っているOryxによれば、開戦初頭のアントノフ国際空港の戦いで少なくとも2両が撃破されたのを始め、2026年5月時点で少なくとも54両のBTR-MDMが撃破もしくは損傷、鹵獲されている[2][8][9]。国際戦略研究所が発行している「ミリタリー・バランス」によれば、2025年11月時点での保有数はBTR-MDMが150両とされる[10]。
アントノフ国際空港で撃破されたBTR-MDM
脚注
注釈
出典
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 大久保ほか 2017, p. 110.
- 1 2 3 4 5 6 7 荒木 & 井坂 2025, p. 83.
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 “BTR-MD Rakushka Russian Amphibious/Airborne Armored Personnel Carrier (APC)” (英語). odin.t2com.army.mil. アメリカ陸軍 (2024年8月7日). 2026年5月25日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 岩城 2015, pp. 64–65.
- 1 2 小泉ほか 2015, pp. 124–126.
- 1 2 3 “BTR-MDMラクーシュカ空挺装甲兵員輸送車”. 時事ドットコム. 2026年5月25日閲覧。
- ↑ 小泉ほか 2015, p. 123.
- ↑ “Destination Disaster: Russia’s Failure At Hostomel Airport”. Oryx (2022年4月13日). 2026年5月25日閲覧。
- ↑ “Attack On Europe: Documenting Russian Equipment Losses During The Russian Invasion Of Ukraine”. Oryx. 2026年5月25日閲覧。
- ↑ IISS 2026, p. 197.
参考文献
- The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2026) (英語). The Military Balance 2026. Routledge. ISBN 978-1041314240
- 荒木雅也、井坂重蔵『世界のAFV 2025-2026』アルゴノート社、2025年4月16日。 ISBN 978-4-914974-56-5。
- 岩城人志 編「WAR MACHINE REPORT No.48 ニュールック ロシア軍AFV」『月刊PANZER』、アルゴノート社、2016年9月。
- 大久保義信ほか『ソ連・ロシア軍装甲戦闘車両クロニクル』ホビージャパン、2017年10月20日。 ISBN 978-4-7986-1554-7。
- 小泉悠ほか『イラストでまなぶ!ロシア連邦軍』ホビージャパン、2015年3月31日。 ISBN 978-4798609959。
関連項目
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