アマドコス2世 (オドリュサイ王)とは? わかりやすく解説

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アマドコス2世 (オドリュサイ王)

(Amadocus II から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/28 13:54 UTC 版)

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アマドコスまたはアマトコス (ギリシア語: Ἀμάδoκoς, Amadokos, Amatokos) は、オドリュサイトラキア人の王 (在位: 紀元前360年 - 紀元前351年ごろ)。史学上、父とされるアマドコス1世と区別するためアマドコス2世と呼ばれる。

生涯

テオポンポス英語版の断片的に残る記述に拠れば、アマドコス2世はアマドコス1世 (メードコス)の息子である[1]。テオポンポスによれば同じアマドコスという名の王が親子で2人おり、子はマケドニア王ピリッポス2世と同時代人であったといい、これがアマドコス2世であると間接的に考えられる[2]

アマドコス2世が王位を目指し始めた時期ははっきりしていない。「アマドコス」とコテュス1世英語版が紀元前380年代後半か紀元前370年代前半に争っていたということが貨幣研究から知られているが、これは父アマドコス1世を指している可能性が高い[3]。紀元前360年秋にコテュス1世が暗殺されるとその子のケルソブレプテス英語版が跡を継いだが、アマドコス2世やベリサデス英語版をはじめ何人もの対立者が名乗りを上げた。そのうち何人かはケルソブレプテスに倒されたものの、アマドコス2世とベリサデスはアテナイの支援を受けて対抗し、ケルソブレプテスに王国の分割を受け入れさせた。ケルソブレプテスはトラキア東部を、アマドコス2世がトラキア中部を、ベリサデスがトラキア西部を支配することになった。アマドコス2世の支配領域は、ヘブロス川の西、マロネイアの北に広がっていたと考えられている。スタロセル英語版村のKozi Gramadi Peakにあるトラキア人支配者の要塞化された集落は、アマドコス2世の者であった可能性が高い。紀元前354年もしくは紀元前353年、ケルソブレプテスとピリッポス2世が、連携してアマドコス2世とアテナイを攻めようとしたが失敗した。するとケルソブレプテスはアテナイと同盟を結びなおし、アマドコス2世と引き離したうえで、みずからアマドコス2世を攻めた。しかし今度はピリッポス2世が介入して、紀元前352年にケルソブレプテスを破った。このころ以降、アマドコス2世は歴史上から姿を消した[4]。アマドコス2世の跡を継いだテレス2世 (3世)英語版は、おそらく彼の息子である[5]

脚注

  1. ^ Isocrates, Speeches and Letters, "To Philip", 6; Harpocration, Lexicon of the Ten Orators, s.v. "Amadokos"
  2. ^ Vulpe 1976: 32; Tacheva 2006: 107; Topalov 1994: 137 supports the testimony of this source with evidence from the rulers' coin types.
  3. ^ Tacheva 2006: 146-147 sees Cotys' rival as Amadocus I.
  4. ^ Delev 2015: 49.
  5. ^ Mihailov 1989: 54-55; Topalov 1994: 161-163.

参考文献

  • P. Delev, Thrace from the Assassination of Kotys I to Koroupedion (360-281 BCE), in Valeva et al. (eds.), A Companion to Ancient Thrace, Wiley, 2015: 48-58.
  • A. Fol et al., The Rogozen Treasure, Sofia, 1989.
  • Hammond, N. G. L.; "Philip's Actions in 347 and Early 346 B.C." in Classical Quarterly, v. 44 (1994), pp. 367–374.
  • G. Mihailov, The Inscriptions, in: Fol et al., The Rogozen Treasure, Sofia, 1989: 46-71.
  • Smith, William; Dictionary of Greek and Roman Biography and Mythology, "Amadocus (2)", Boston, (1867)
  • M. Tacheva, The Kings of Ancient Thrace. Book One, Sofia, 2006.
  • S. Topalov, The Odrysian Kingdom from the Late 5th to the Mid-4th C. B.C., Sofia, 1994.
  • J. Valeva et al. (eds.), A Companion to Ancient Thrace, Wiley, 2015.
  • R. Vulpe, Studia Thracologica, Bucharest, 1976.

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