龍吉公主とは? わかりやすく解説

竜吉公主

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/13 07:03 UTC 版)

竜吉公主のレリーフ(マレーシアペラ州

竜吉公主(りゅうきつこうしゅ)は、中国明代の神怪小説『封神演義』に登場する仙女である。昊天上帝瑤池金母の実娘として描かれ、天界の高位仙女として位置付けられている。物語中では洪錦と結婚し、封神後は「紅鸞星」の神位を授かる[1]

概要

蟠桃宴で仙酒を誤ってこぼした過失により、鳳凰山青鸞斗闕に幽閉されていた[1][2]武王の紂王討伐戦において、太公望率いる軍を支援するため天界から派遣され、水遁術や各種法宝を用いて活躍した[3]

経歴

  1. 人間界介入:追放中に金吒・木吒兄弟を羅宣の火攻めから救出(第64回)[1]
  2. 洪錦との婚姻:月下老人の仲介により敵将・洪錦と結婚(第66回)。「符元仙翁」が示した水属性の宿命による[3]
  3. 法宝提供:火霊聖母の金霞冠対策に瑤池の法宝を提供(第71回)[4]
  4. 万仙陣の戦い:夫と共に金霊聖母に挑むが、四象塔と龍虎如意で戦死(第84回)[1]
  5. 封神:「紅鸞星」に封神される(第99回)[5]

能力

法宝名 効果 使用場面 典拠
霧露乾坤網 火炎攻撃を中和する水系結界 羅宣の万里起雲煙を無効化 [3]
四海瓶 毒霧・妖気を浄化する宝瓶 李奇の毒霧を清浄化 [6]
二龍剣 自動追尾型飛剣 火鴉術の破壊 [3]
瑤池白光剣 本命法宝 常時携行武器 [1]

解釈

物語的意義

  • 天人関係:天界の王女が人間界に介入する構図は「天意の具現化」を表現し、封神計画における天庭と闡教の政治的駆け引きを反映している[7]
  • 宿命観:洪錦との政略結婚は「天命不可避」テーマの象徴であり、道教思想の「劫運」概念と連動する[3][8]

文化的影響

伝統文化

  • 京劇:『天河配』(19世紀後期成立)で天女役の原型として継承[9]
  • 民間信仰:縁結びの神「紅鸞星」として道教祭祀で信仰される[10]

現代メディア

  • 漫画:藤崎竜『仙界伝 封神演義』(1996-2000)で自由奔放な補助役として再解釈(太公望チームの一員)
  • 映画:『新白蛇伝之竜吉公主』(2018)で許仙の母として設定改変

版本比較

版本 竜吉公主の描写 特筆事項
明刊本(許仲琳) 高貴で従順な天女 洪錦との結婚を天命として受容
清刊『封神真詮』 戦闘能力が強調 四海瓶で黄河陣を破る追加描写
藤崎竜漫画版 自由奔放で能動的 太公望軍団の主要メンバーとして活躍

出典

  1. ^ a b c d e 許仲琳 (1590). “第55回、64回、66回”. 封神演義. 南京: 金陵徳聚堂 
  2. ^ 封神演義人物大鑑. 上海: 上海古籍出版社. (2010). p. 112 
  3. ^ a b c d e 吉岡義豊 (1983). 道教の神々. 東京: 平河出版社. p. 245 
  4. ^ 褚人獲 (1695). 封神真詮. 巻12. 北京: 清代刊本 
  5. ^ “紅鸞星”. 中国神話辞典. 北京: 人民出版社. (2003) 
  6. ^ 封神演義法宝大全. 北京: 北京燕山出版社. (2015). p. 78 
  7. ^ 王, 靖宇 (2017). “封神演義における天庭戦略”. 東方学 142. 
  8. ^ 小野四平 (1997). 中国近代小説の起源. 東京: 汲古書院. pp. 110-125 
  9. ^ 中国京劇劇目集成. 7. 上海: 上海文芸出版社. (2018) 
  10. ^ 二松学舎大学道教文化研究所 (2005). 道教神霊体系の研究. 東京: 二松学舎大学出版部. p. 189 

参考文献

  • 許仲琳 (1590). 封神演義. 南京: 金陵徳聚堂 
  • Wang, Li (2018). “竜吉公主形象的演變研究”. 宗教学研究 42: 88-95. 
  • 鈴木, 陽一 (2002). “封神演義の神々と道教儀礼”. 東方宗教 (100): 45-60. 

関連項目


竜吉公主(りゅうきつこうしゅ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 15:06 UTC 版)

封神演義の登場人物一覧」の記事における「竜吉公主(りゅうきこうしゅ)」の解説

昊天上帝瑶池金母娘。天界犯した罪により下界落とされていたが、羅宣と劉環が西岐城焼いた際に、周を援けるために下山した。後に月合仙翁導きによって洪錦夫婦になる。仙陣で夫と共に没した

※この「竜吉公主(りゅうきつこうしゅ)」の解説は、「封神演義の登場人物一覧」の解説の一部です。
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